おやじのつぶやき

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「検察の『暴発』はあるのか」(郷原信郎)日経ビジネスオンラインより

2010-02-05 23:21:16 | つぶやき
 以下の記事は「日経ビジネスオンライン」より郷原信郎さんの「ニュースを斬る」(2月3日)のものです。大変示唆的なので勝手に紹介します。

「郷原信郎が検察と政治の関係を考える」(下)より
 検察の危機の根本的な原因は、社会的価値判断が不要な一般的刑事事件中心の刑事司法において「正義」を独占してきた検察が、社会が複雑化・多様化する中で、様々な分野における法令違反行為に対する健全な制裁機能を果たすことを求められているにもかかわらず、組織の閉鎖性、硬直性ゆえに、社会の構造変化に対応できず、大きく立ち後れていることにある。
 検察は、今回の事件を機に、検察組織が直面している危機的な状況を認識し、特捜検察の組織体制や権限行使の在り方についての抜本的な改革に自ら着手しなければならない。
 最悪のケースは、検察の「暴走」が成功し、「小沢VS検察」が検察の勝利に終わった場合だ。最大の政治権力者を、今回のようなレベルの政治資金規正法違反の容疑で葬り去ることができるとすれば、もはや、マスコミ報道を味方につけた検察の権力に対抗できる個人も組織もなくなるであろう。昭和初期に、帝人事件をはじめとする検察の疑獄摘発と軍部の台頭によって民主主義が崩壊したのと同様に、戦後初めての選挙による政権交代によって新しいステージに入りつつあった日本の民主主義は重大な危機に瀕することになる。
 最後に、「THE JOURNAL」のコメントの中にあった、戦時下の体験を綴った匿名の一文を紹介して、本稿を締めくくることとしたい。
 「戦時中、軍国少年だった私です。太平洋戦線が始まった頃、学校の担任教師が『2・26事件』を論評し、政府要人を殺害した青年将校の所業について≪彼らの行為は自分の生命を犠牲にして、腐敗と悪臭に満ちた重臣たちを征伐した≫と、小学生の私たちに教えました。戦後になって、その教師たちも、自分たちの誤りに気づいたことと思いますが、戦時中は、大多数の日本国民が、『2・26事件』の犯人(青年将校)を、そのように評価していたのは事実です。
 これは戦時中に書かれた数々の書物に残っていますが、中には事件の犯人たちを≪幕末の勤皇の志士≫と同じとまでなぞらえ、称賛していた作家もいたのです。
 だからこそ、事件を起こした青年将校たちは≪自分たちの政府要人たちの殺害は、昭和維新を実行する【正義の鉄槌】と信じ込み≫新聞・世論も、それを安易に容認していたのです。その結果、あの悲惨な太平洋戦争へ傾斜していったのです。
 今回の東京地検特捜部の独走は、戦前の『2・26事件』ほか、数々の≪自分たちだけが、正義である≫の誤った独断で、日本を破滅に導いた悪夢の再来としか思えません。
 【自分たちだけが正しい】。こうした考え方を、凶器同然の【国家権力の逮捕権】を持っている人々が思いこんだとき、民主主義は破滅いたします。」
 
 以下は、私の感想です。 
 東京地検特捜部。民主党・小沢幹事長を巡る執拗な家宅捜索、事情聴取ついで元・現秘書3人の逮捕・追求・起訴、そして権利としての黙秘権行使を告げ、容疑者扱いした上での小沢さんへの事情聴取などの目的は、「政治資金規正法」違反での捜査を装いながら、その実は、胆沢ダムをめぐる献金事件摘発、それによる小沢逮捕、告発さらには結果として国会議員辞職まで追い込むことではなかったか。さらには、民主党政権・民主党の崩壊を狙ったものか。
 野党議員だった小沢さんには職務権限はなく、ダム建設に関わる(受託)収賄罪などは成立しない、にもかかわらず、「談合」の存在、小沢事務所(小沢さん)へのダム工事にまつわる不正なヤミ献金、裏金解明・・・と、次々「関係者」情報と称して、マスコミを巻き込んで、巨悪に向かう「正義」の闘いを演じた特捜部。
 それが、いわばざる法に近い「政治資金規正法」違反(虚偽)でのみ、ある種の形式犯として、現職国会議員の起訴で終わったとしたら、大山鳴動してネズミ一匹、検察「正義」の美名のもとに、石川議員たちを見せしめ的に逮捕・拘留、起訴したにすぎない。
 にもかかわらず、特に産経新聞をはじめとして、検察からの情報操作に意図的に乗っていったとしか思えないような(追従した)、土地購入資金から始まって、4億円のうちの5000万円(1億円)献金(裏金)疑惑、さらに別の4億円の不明な原資と使途、これらすべてを疑惑としてとらえ、検察の追求姿勢を全面的にバックアップしていた・・・。
 こうした、この間の報道の流れからすると、小沢資金疑惑追求の内容について、巧妙に視点を変えていった、一連のマスコミ報道。今後、いったいどのような反省・評価を行うのであろうか。

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