おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

読書82「写真的思考」(飯沢耕太郎)河出ブックス

2010-02-04 20:46:59 | つぶやき
 この間、ちょっとした履歴書を提出するために、そこに貼る写真が必要になった。わざわざ撮りにいくのも、面倒。そこで、職場の同僚にデジカメで撮ってもらい、ついでにプリントアウトしてもらった。3×4㌢。そこそこの出来映えに感謝、感謝。
 その方、ついでに茶目っ気かどうか、その写真を拡大して、まるで葬式の遺影くらいの大きさ。にやにや笑いながら、さてどうしますか?
 これはちょうどいい、なんて冗談でもって受け答え、さて扱いに困った! 捨てるにも捨てられず、切り刻むにも、何だかこっちの体も傷つくようで、気になる。回りの連中もさてどうしたものか、おちおち下手な発言も出来ずに・・・。
 写真が持つ独特の存在感、ふとそんな気になった。ついでに、やけに年取った顔のアップを見せつけられ、愕然としてもいたが。
 この本の表紙の写真。天才アラーキーの、面目躍如とした写真の一枚を掲げて、その写真によって触発される、読み手の心のありようを探っている。
 この著書。筆者の視点は、「生」を切り取りことによる永遠性と、その生を奪う「死」の影とを、読者に鋭く突きつけていく。たんなる歴史や芸術論にとどまらず、父親の死にまつわる体験的写真論ともいうべき内容が説得的。荒木の写真観への分析・批評から始まって、実に読み応え、見応えのある書である。
 個人的な興味としては「不思議な国のアリス」のルイス・キャロルが撮った少女のヌード写真。今、年賀状で大流行の家族スナップ写真(寄り添いの作法)。
 さらには、幼くして新だ子どもの記念写真。幼児の生々しい死の姿を通して、生き残った者へ問いかけ、視線・・・。本格的な写真論としてすばらしい書となっている。
 件の写真。家に持ち帰り、さてどうしたものか思案している。 
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 156 西大島~南砂~亀戸 | トップ | 「検察の『暴発』はあるのか... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

つぶやき」カテゴリの最新記事