おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

朝三暮四

2013-07-25 19:48:12 | 格言・ことわざ

宋に狙公なる者有り。狙を愛し、之を養って羣を成す。
能く狙の意を解し、狙も亦公の心を得たり。
其の家口を損して、狙の欲を充せり。
俄にして匱し。将に其の食を限らんとす。
衆狙の己に馴れざるを恐るるや、
先ず之を誑かして曰はく、
「若に茅を与えんに、朝に三にして暮に四にせん。足らんか」と。
衆狙皆起って怒る。俄にして曰(い)はく、
「若に茅を与えんに、朝に四にして暮に三にせん。足らんか」と。
衆狙皆伏して喜ぶ。
(『列子』)

宋の国に狙公という人がいた。猿を可愛がって群れをなすほど養っていた。
サルの気持ちを理解することができ、猿も同様に主人の心をつかんでいた。
自分の家族の食べ物を減らしてまで、猿の食欲を充たしていた。
ところが急に貧しくなったので、猿に与える餌の茅(どんぐり)を減らすことにした。
猿たちが自分になつかなくなってしまうのではないかと心配したので、
まず猿たちを誑かして言った。
「お前たちにどんぐりをやるのに、朝は三つで暮は四つにする。足りるか」
すると猿たちは皆起ち上がって怒りだした。そこで狙公は急に言い変えて、、
「それじゃ、朝は四つで暮は三つにしよう。足りるか」と言うと、
猿たちは皆平伏して喜んだ。

 目先の違いに気をとられて、実際は同じであるのに気がつかないこと。また、うまい言葉や方法で人をだますこと。

 というわけ。むしろ、「目先の違い」よりも「目先(今日・明日)の欲」に目がくらんでしまうことではないか。将来につけが回されることを分かっていても、なおかつ目の前のごちそうに飛びつく、集団・大衆(個々だったらよく考え、どう判断するかは、微妙なはず)心理。
 ※この故事では「衆狙皆(猿たちは皆)」がカギだと思います。
 
「朝日新聞」23日朝刊に寄せた内田樹さんの文章の「落ち」として用いられていました。目先の利益誘導・欲得にかこつけて巧みに国民の歓心を得、将来の計を軽んずる政治家と、いとも簡単に騙される国民への痛烈な皮肉です。

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