文化庁で行っている事業の「オーケストラ・キャラバン」(当事業へのリンク)の公演の一つとして、広島交響楽団の上田公演があったので、聴いてきました。文化庁の事業の一環とはいえ、広島交響楽団が遠い長野県に来てくれたことに、まず感謝しました。
(出 演)
指揮:沼尻竜典
ヴァイオリン:南紫音
管弦楽:広島交響楽団
沼尻竜典さんは、1990年ブザンソン指揮者コンクールで優勝。現在、びわ湖ホール芸術監督、トウキョウ・ミタカ・フィル音楽監督、2022年4月より神奈川フィル音楽監督に就任予定。ドイツ・リューベック歌劇場音楽総監督を務めたほか、ケルン歌劇場、バイエルン州立歌劇場等世界各国のオーケストラ、歌劇場に客演。南紫音さんは、2015年ハノーファー国際ヴァイオリン・コンクール第2位。国内主要オーケストラ、フランス国立管、リール国立管などと共演。これまでに3枚のCDをリリース。詳しくは下記をご覧下さい。
(曲 目)
ウェーバー / 歌劇「オベロン」序曲
メンデルスゾーン / ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
J. S. バッハ / 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番 ホ長調 BWV1006Ⅵ「ジーグ」(ソリストアンコール曲)
〈休憩〉
メンデルスゾーン / 交響曲第4番 イ長調 「イタリア」 作品90
モーツァルト / ディベルティメント ニ長調 K136より第2楽章 (オーケストラアンコール曲)
(感 想)
開演前にパンフレットを眺めていたら、本日の客演奏者として16人が掲載されていたので、驚きました。メインの交響曲「イタリア」のためだと思いましたが、響きがどうなるか興味が湧きます。本日は、指揮者、ソリストともによく見える席です。
このヴァイオリン協奏曲には、嫋嫋とした旋律で心をとらえて離さないというイメージを持っていたのですが、南さんの演奏は、ダイナミックで迫力があり、重音など技巧的にも聴かせどころの多い、スケールの大きな曲だということが伝わる、優れたものでした。
メンデルスゾーンの「イタリア」は好きな曲ですが、沼尻竜典さんの指揮、音造りは重厚で、中低音が充実していて、例えば、明るい第1楽章の第1主題も厚みがあって、全体にドイツの作曲家の作品だと思わせるものでした。エネルギッシュで、また、聴いてみたい指揮者です。
(演奏者の詳しいプロフィール)
(あらかじめ聴いたCD)
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲。ヒラリー・ハーン(vn)、ヒュー・ウルフ指揮オスロフィルハーモニー(2002年録音)
メンデルスゾーン・交響曲第4番「イタリア」。クラウディオ・アバド指揮ロンドン交響楽団(1984年録音)