小学館文庫から2022年1月に谷川俊太郎さんの詩集「モーツァルトを聴く人」が発行されたので、購入して読みました。
カバー表紙。表紙の絵が素晴らしい。絵は堀内誠一さんによるものです。
(カバー裏にある本書の紹介)
未刊行の絵本「ピアノのすきなおうさま」がカラーで収録されています。
(気になった詩と感想)
『人を愛することを出来ぬ者もモーツァルトに涙する もしもそれが幻ならこの世のすべては夢にすぎない』。著者のモーツァルトへの愛がよく出ている一編です。自らを省りみながら、深く共感しました。
『木々の緑をホリゾントとして地平をのぞみ ここではフォルテッシモで断ち切られる音も ピアニッシモで消え去っていく音も 波紋のように未来へとひろがる』。八ヶ岳高原音楽堂のために書いたものだと思いますが、音楽そのものに対する著者の想いが溢れていて、感動した一編です。
「魂に触れる」というこの詩は、帯裏面の本書の紹介でも引用されていますが、僕の心にも残る詩でした。『あの日わたしは見えない魂に触れた あのひとのそしてわたしのそしてモーツァルトの魂 その記憶がいまも私を生かしてくれる あのひとを失ったいまも』。
帯を掛けてコピーしました。谷川俊太郎さんの詩の、言葉づかい、リズムに触発されながら、一気に最後まで読みました。久しぶりにいい詩を読みました。
(著者略歴)
(詩「魂に触れる」に出てくる「クラリネット協奏曲 イ長調 k.622」を聴きました。)
ジャック・ランスロ(cl)、パイヤール指揮パイヤール室内管弦楽団の演奏です。
レオポルド・ウラッハ(cl)、アルトゥール・ロジンスキ指揮ウィーン国立歌劇場管弦楽団。録音は古いですが、味わい深い演奏です。