安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

千早 茜著「西洋菓子店プティ・フール」(文春文庫)を読みました。

2022-02-23 19:30:00 | 読書

書店で見て面白そうだったので、千早茜著「西洋菓子店 プティ・フール」を購入し、読みました。

   

表紙

(著 者)

千早 茜(ちはや・あかね)さんは、1979年北海道江別市生まれ。2008年立命館大学文学部卒業、2008年「魚」で小説すばる新人賞、13年「あとかた」で直木賞候補、14年「男ともだち」で直木賞候補、21年「透明な夜の香り」で渡辺淳一文学賞受賞。著書多数。詳しくは下記をご覧ください。

   

(帯裏面掲載のあらすじ)  

   

(感 想)

千早茜さんという小説家は初めてだったのですが、本作では、ケーキ(洋菓子)やそれを作る職人さんを扱っていて、素材が新鮮だったので、購入しました。近藤史恵さんの「ビストロ・パ・マル」シリーズなどレストランやコックさんを題材にした小説は多いですが、ケーキは珍しい。

主人公や、その祖父が実際に菓子を作る場面や、お菓子そのものについて、よく取材をしてあって、感心しました。『菓子の魅力ってのは背徳感だからな。こんな綺麗なものを食べていいのかって思わせなきゃなあ』という祖父の発言も、なるほどと納得できました。

小説の筋としては、主人公の亜樹やその周辺の人々の人間模様が描かれていますが、どろどろとした心理描写を書いている部分があります。そのへんは、あっさり書いてほしかったと感じましたが、全体としては題材の良さもあって、面白い小説でした。