安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ブルー・ミッチェル BRING IT HOME TO ME

2018-07-11 20:02:11 | トランペット・トロンボーン

近所のセブンイレブンに寄ったら、雑誌「男の隠れ家」の別冊「夏、山へ。2018」があったので購入しました。メインは、槍ヶ岳登山ですが、尾瀬や針の木岳についても特集されています。パラパラと読んで、今回惹かれたのは、「尾瀬を行く」で、唄は知っていてもまだ尾瀬には出かけたことがないので、秋でもよいので一度訪れてみたいと考え始めました。一度聴いたら、手放せなくなったアルバム。

BLUE MITCHELL (ブルー・ミッチェル)
BRING IT HOME TO ME (Blue Note  1966年録音)

    

ブルー・ミッチェル(1930~79年)は贔屓のトランぺッターで、ブルーノートレーベルの「The Thing to Do」など1960年代前半のものも聴いていましたが、彼はファンク・フュージョン系の演奏も行ったので、その直前の66年録音のこのアルバムには興味を持てませんでした。しかし、たまたまレコードを入手したところ、まずまずよくて、愛聴盤になり、国内盤CDも購入しました。

メンバーは、ブルー・ミッチェル(tp)、ジュニア・クック(ts)、ハロルド・メイバーン(p)、ジーン・テイラー(b)、ビリー・ヒギンズ(ds)。ミッチェルとクックはいいコンビですが、このアルバムではクック(ts)のソロもたくさん聴けて、双頭バンドといってもよいくらいです。

曲は、ジャズ・オリジナルです。ジミー・ヒース作「Bring It Home To Me」と「Ginger Bread Boy」、ブルー・ミッチェル作「Blues 3 For 1」と「Blues's Theme」、トム・マッキントッシュ作「Port Rico Rock」、スタンダードの「Portrait Of Jennie」の6曲。ジミー・ヒース作の2曲の演奏がとりわけ注目されます。

このアルバムは、国内盤レコードが発売されなかったのではないかと思います。渋いメンバーで、演奏もおおらかなところがあって緩いと考えられたのかもしれません。しかし、メイバーン(p)、テイラー(b)、ヒギンズ(ds)の繰り出すリズムに乗って演じられるジャズロックの「Bring It Home To Me」や「Ginger Bread Boy」、バラード「Portrait of Jennie」、ハードバップ路線の「Blue's Theme」とミッチェル(tp)、クック(ts)、メイバーン(p)のプレイが大いに楽しめます。

【USA盤のレコードも聴きました】

   

   

ステレオ盤で、RVGの刻印が盤面にあります。

 【男の隠れ家 夏、山へ。2018】

   

表紙

   

目次。内容が充実しています。

   

上高地から槍ヶ岳に一度上ったことがあります。

   

上高地の記事も。

   

針ノ木岳も一度行ければいいなと考えています。

   

針ノ木小屋が手前に見えます。

   

尾瀬をのんびりと歩くのもよさそうです。ただ、長野からだと日帰りは難しそうなので、どちらかに泊まることも検討しなくてはいけないかもしれません。

   

尾瀬の周りの山もよさそうです。


刀屋 (蕎麦 長野県上田市)

2018-07-10 20:07:06 | グルメ

先週の土曜日に、上田市に名古屋フィルハーモニーの演奏会を聴きにいきましたが、午後3時からの開演だったので、少し早く市内に入り、刀屋(かたなや)で蕎麦を食べました。こちらのお店は、作家の池波正太郎さんが利用したことで知られていて、観光で訪れる方も多く、時間によってはかなり混んでいます。

昼時だったので、一階は混んでいて、少々狭い席に相席で座りました。他では見たことがなく珍しい「真田そば」を注文しました。味噌味の汁につけて食べるのですが、味噌味は太くて素朴な蕎麦にちょうどあっていました。蕎麦の盛りがよく、満腹になり、演奏会では眠らないように気を付けようと思いながらお店を後にしました。

外観。西向きのせいでしょうか、陽射しを遮るために葦簀を立てかけてありました。

暖簾をくぐり店内へ

   

看板が歴史を感じさせます。

店内。二階にも部屋があります。

小上がりもあります。

お品書き。

真田そば。多分、当店のオリジナルだと思います。

蕎麦はボリュームがあります。太くて腰の強い蕎麦です。盛り蕎麦も、蕎麦は同じです。

味噌となめこが入っています。ここにカツオのだし汁を入れて溶き、そこに蕎麦つゆを入れて味を調整して、蕎麦をつけて食べます。店員さんが食べ方を教えてくれました。六文銭の「真田家」の家紋を連想させるように、なめこは6個あるはずです。

薬味の乗っている器の下に、透明なだし汁が入っています。

 【刀屋(かたなや)】

住所:長野県上田市中央2-13-23
電話:0268-22-2948
ホームページ:刀屋 (食べログのページです)


川瀬賢太郎指揮 名古屋フィルハーモニー交響楽団演奏会 (7月7日 長野県上田市サントミューゼ)

2018-07-09 20:14:11 | 演奏会・ライブ

名古屋フィルの名曲コンサートが上田市のサントミューゼであったので、行ってきました。上田公演は3回目になりますが、今回はベートーヴェンの曲が取り上げられたので、どんな演奏になるか楽しみに出かけました。

   

(出 演)

指揮:川瀬賢太郎
ピアノ:小川典子
管弦楽:名古屋フィルハーモニー交響楽団

(曲 目)

ベートーヴェン / ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 作品73「皇帝」

ベートーヴェン / エリーゼのために(バガテル イ短調 WoO59)【小川典子さんのアンコール曲】

<休憩>

ベートーヴェン / 交響曲第3番 変ホ長調 作品55「英雄」 

(感 想)

ベートーヴェンの重量級の2曲を堪能したコンサートでした。まず、ピアノ協奏曲第5番ですが、堂々としたスケールの大きな、安定した演奏でした。小川さんの演奏は初めて聴きましたが、ミスタッチやテンポの乱れのない正確なもので、第1楽章のカデンツァも素晴らしかった。ただ、音質がドライなところがあり、しっとり感があればなおさらよいのにと感じました。

アンコールで弾いた「エリーゼのために」も見事な演奏で、旋律をきれいに出すとともに、左手の動きがよくわかる演奏でした。「エリーゼのために」は小曲ですが、小川さんはこういった独奏曲を面白く聴かせてくれるピアニストでもあるのでしょう。

休憩を挟んで、後半は交響曲第3番「英雄」。指揮者の川瀬賢太郎さんは既に大活躍している若手指揮者ですが、颯爽としたかっこいい指揮ぶりでした。渾身の力を入れたというか、すべての楽章においてテンポが速く、音量もかなり出していると思われました。第3楽章は、全体に躍動感があって、名古屋フィルのホルン陣もよい演奏をしていて印象に残りました。

僕はこの交響曲では第4楽章が好きなのですが、ダイナミックさが全開で激しく厳しい演奏のように感じられました。それはそれでよいのですが、あらかじめ、穏やかな「英雄」の演奏(べーラ・ドラホシュ指揮ニコラウス・エステルハージ・シンフォニア(NAXOS))を聴いて行ったので、一層そのような感じがしたのかもしれません。

お客様はざっと6割くらいしか入っていなくて、土曜日のマチネーということもありますが、ちょっと寂しく、もったいない気がしました。

【会場入り口に飾られた大きな看板】


ハーブ・エリス THANK YOU CHARLIE CHRISTIAN

2018-07-08 19:41:14 | ギター

先日、群馬県前橋市のジャズ喫茶「木馬」に行った際に、市内のコンビニで『高崎・前橋本」という本を購入しました。高崎には、群馬交響楽団の演奏会を聴くために出かけますが、その際の夕食のお店探しに役に立ちそうです。また、高崎や前橋のジャズ喫茶を訪れることも多く、街にも関心をもっているので、その面でもこの本は使えそうです。使えるギタリストの作品。

HERB ELLIS (ハーブ・エリス)
THANK YOU, CHARLIE CHRISTIAN (Verve 1960年録音) 

   

ギタリストのハーブ・エリスは、1953年11月にバーニー・ケッセルの後任としてオスカー・ピーターソン・トリオの一員となり、1959年末にエド・シグペン(ds)に代わるまで行動を共にし、その間にヴァーヴ・レコードに多くの録音を残しています。彼自身のリーダー作は、ヴァーヴに5枚ありますが、これは、多分最も有名なものです。

メンバーは、ハーブ・エリス(g)、フランク・ストラッツェリ(p)、チャック・バーグホーファー(b)、ハリー・ババシン(cello)、ケニー・ヒューム(ds)。地味なメンバーですが、実力のある人を揃えたようです。チェロを加えていますが、アンサンブルの面白さを狙ったようです。

曲は、エリスの自作が「Pickley Wickley」、「I Told You I Loved You, Now Get Out」、「Cook One」、「Karin」、「Cerry Kijafa」、「Thank You, Charlie Christian」、「Everything's Pat」、「Workin' With The Truth」の8曲。それに、アーヴィング・バーリンの「Alexander's Ragtime Band」、ボビー・トゥループ作「Lemon Twist」の全10曲。エリスの自作は、自分で演奏するためもあってか、ギター向けの佳曲です。

ハーブ・エリス(g)のスイングするご機嫌な演奏が聴けます。「Pickley Wickley」は、ほのぼのとし、黒人霊歌を思い起こさせる曲想で快調な滑り出し、最後の「Workin' With The Truth」は、スローなフォークソング調の曲で、エリスの美しいトレモロが入るしみじみとした素晴らしい演奏が聴けます。白眉は、ジャズ・ギターのパイオニア「チャーリー・クリスチャン」に捧げた「Thank You, Charlie Christian」だと思いますが、グルーヴィーなエリス、高音を用いたストラッツェリ(p)のユニークなソロ、ババシンのチェロと、聴きごたえがあります。 

【高崎・前橋本】

   

表紙。

   

目次。グルメばかりでなく、農業やアート、音楽のことなどに触れていて、好感がもてます。

   

さっそく、高崎で行ってみたい洋食屋さんを見つけました。「香味亭」だそうです。

   

こちらは、うどんの店。「まさか」という店名も面白い。

   

萩原朔太郎に所縁の前橋の街を紹介しています。

前橋に開店したブックバーの紹介。一度寄ってみたいです。

     

赤城山へのハイキングの記事もありました。


原田マハ著 「フーテンのマハ」(集英社文庫)

2018-07-07 19:27:23 | 読書
このところ、仕事や家庭の事情などで、遠くへ出かける余裕がなく、東京日帰りがせいぜいといった状況になっています。そのうちにとは思っていますが、当面難しそうなので、代わりに書店で目にした原田マハ著「フーテンのマハ」を読んでみました。

   

著者の原田マハさんは、「楽園のカンヴァス」や「暗幕のゲルニカ」といった美術関連の小説を書いている、今や人気作家と言っていい小説家です。もちろん、他の分野の作品もあり、それらは、主として旅で得たインスピレーションが元になって描かれているようです。32編からなるこのエッセイ集は、小説家になる前からのプライべート旅と、小説家になってからの取材を兼ねた旅行の部分に、大きく二つに分けられます。

プライベート旅について書かれた章がかなり面白く、「岐阜の須恵器」、「別府ヤングセンター」、「餃子の生まれ変わり」、「親切なおじさんはタクシーに乗って」といった章がそれに当たります。例えば、『旅先では、人間の脳内に「へんなモノ買ったるぞ物質」なる刺激物質がドドーンと流れて、~不可解なものを買ってしまう』と記し、須恵器とか犬の手押し車を買ってしまい、旦那様にあきられているようです。

 

(「岐阜の須恵器」の挿絵)

小説に登場する人物のモデルや街と出会った様子が活き活きと描かれています。「永遠の神戸」や「沖縄の風に誘われて」の章がそうなのですが、原田さんの美術関連以外の小説では、人との出会いなど旅などにおける体験がものをいっています。

 

(「永遠の神戸」の挿絵)

取材旅行で訪れたヨーロッパにおけるモネ、ゴッホ、ピカソなどの足跡を巡る旅は、直接には小説を書くためのものですが、彼らが書いた絵とモデルになった土地などとの対比考察が行われていて、美術館勤務やキュレーターとしての経歴がある原田さんだからこそ書ける文章になっています。

 

(「運命を変えた一枚の絵」挿絵。ピカソの家の前の広場で鳩と寛ぐ著者)

全体に明るく、空想の世界に遊ばせてもらえるところもあって、面白いエッセイです。「フーテンのマハ」とはよく名付けたもので、いまもどこか旅をしているに違いありません。なお、本文の挿絵(イラスト)は、原田マハさん本人のものです。

 

(「睡蓮を独り占め」の写真。オランジェリー美術館における著者)