モーツァルト
交響曲第35番 ニ長調 K.385 「ハフナー」
ショパン
《ドン・ジョヴァンニ》の「お手をどうぞ」による変奏曲 変ロ長調 op. 2
*川口成彦(ピアノ)
藤倉大
Bridging Realms for fortepiano
(第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクール委嘱作品/日本初演)
*ユリアンナ・アヴデーエワ(ピアノ)
ショパン
アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ op.22
*ユリアンナ・アヴデーエワ(ピアノ)
ショパン
ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 op.21
※ アンコール曲 前奏曲雨だれ
*トマシュ・リッテル(ピアノ)
Pleyel 1845 owned by Emma Akiyama
二人目の「ショパン・コンクールの覇者」は、2018年に開催された第1回「ショパン国際ピリオド楽器コンクール」の優勝者:トマシュ・リッテル である。
二日目は、彼がショパンのピアノ協奏曲第2番を弾く。
つい先日もブルース・リウが日本ツアーで演奏していた曲だが(ショパン・コンクールの覇者(3))、ピリオド楽器での演奏を聴くのは私もこれが初めてである。
HIP(Historically informed performance 歴史的情報に基づく演奏) が彼の特色らしいが、コンクール本選でも第2番を選んだそうである(川口成彦さんも)。
ピアノ独奏が始まるや否や、別の世界が現れたような感じで、後は快感に浸るだけの時間となる。
「あっという間に音が減衰する」プレイエルが、彼の手にかかると実に滑らかに”歌う”のである。
彼いわく、
「基本的にはピリオドだから、モダンだからということを演奏中は考えていません。作曲家の書いたものを、楽器を通して語るということに集中しています。あくまでも演奏を通してオーセンティックな表現を届けたいのです。」(パンフレットより)
2楽章は、ショパンが音楽学校で出会ったソプラノのコンスタンツ・グワドコフスカのことを想って作曲したというから、その思いを表現することになるのだろう。
その意味では、トマシュ・リッテルの演奏は模範的であり、何度も聴きたくなるくらいである。
(ただ、2楽章は途中で暗転して激しい調子になるので、朝の目覚めの音楽(眠くならないクライスレリアーナ)には使えないのが残念。)
川口成彦さんは、私見では、「世界一気持ちよさそうに演奏するピアニスト」で、私も年に1度は生で聴きたくなる。
今回も完璧な演奏で、後ろで聴いている18世紀オーケストラのフルート奏者やオーボエ奏者などは、終始ニコニコしながら川口さんの演奏に魅入っていた。
個人的には、川口さんにも、「ショパン・コンクールの覇者」という称号を贈りたいところである。