ロッシーニ:歌劇《セヴィリアの理髪師》序曲
リスト:ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調
チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 Op.64
久しぶりのコバケン先生ということで、最前列やや右寄りの席を早々とゲット(サントリー・ホールの半分以下の値段!)。
「コバケン先生が振るハンガリーのオケ、新進気鋭のピアニストとの共演」というと、なにやら既視感が湧いてくる。
調べると、私にとっては、2016年のハンガリー国立フィル来日公演以来のハンガリー・オケのコンサートなのだった。
リスト:交響詩「レ・プレリュード」
リスト:死の舞踏 (ピアノ:牛田智大)
ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 Op.95「新世界より」
この時は、コバケン先生は病気のため来日出来なくなったコチシュの代役だった(しばらくしてコチシュは逝去)。
オケとの息はピッタリだったが、何しろ、コバケン先生はハンガリー国内では大活躍しており、ハンガリー政府から「第十字功労勲章」を授けられているのだ。
テーマは "articulation" であろう。
このことは、アンコールの「ラ・カンパネラ」ではより一層はっきりと感じられた。
メインのチャイ・5番だが、これが稀に見る名演奏。
コバケン先生は暗譜なのだが、これが素晴らしい指揮で、私が気付いたのは以下のとおり。
・各楽章の冒頭で、先陣を切る奏者に「お願いしますよ」と会釈する。
・動きは常に1秒先を行き、指でメインの奏者に先出しの合図する。
・合図をする奏者の方を向き、きちんとアイコンタクトをする。
・クライマックスでは、観客席上方を指さし、「あそこに向けて音を放って!」というジェスチャーをする。
とりわけ4楽章のラストは、「勝利の音楽」と呼ぶにふさわしい響きであった。
演奏終了後、コバケン先生はステージ上を歩き回り、団員さん一人一人と握手をしていた。
一人一人を尊重するという姿勢が何よりも素晴らしく、これだと、団員さんも気持ちよく演奏できるだろう。