Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

扉の中、あるいは心の中の深い闇

2024年06月27日 06時30分00秒 | Weblog
プログラムA
ワーグナー:歌劇『さまよえるオランダ人』序曲
Wagner: "Der fliegende Holländer" Overture
ドビュッシー:歌劇『ペレアスとメリザンド』組曲(ラインスドルフ編)
Debussy: “Pelléas et Mélisande“ Suite (arr. Leinsdorf)
バルトーク:歌劇『青ひげ公の城』(演奏会形式・日本語字幕付)
(メゾソプラノ:エリーナ・ガランチャ、バスバリトン:クリスチャン・ヴァン・ホーン)
Bartók: “Bluebeard's Castle” (Concert Performance, with Japanese subtitles)
(Elīna Garanča, mezzo-soprano / Christian Van Horn, bass-baritone)

 METオーケストラの13年ぶりの来日公演。
 コロナ問題で中止となった2年前に予定していたプログラム(公演チラシ)とは全く異なる演目で、意表を突かれた。
 プログラムAの方が私の好みに合っていたのでこちらを選択。
 すると・・・。
 なんとまあ、オケが大編成なこと!
 ステージから溢れんばかりに団員さんが席を占めている。
 昨日のハンガリー・ブダペスト交響楽団の倍近い人数で、昨年のベルリン・フィル並の陣容である(但し、ヴァイオリン第一主義ではなく、各楽器まんべんなく人数が多い印象)。
 予想どおり、ワーグナーにピッタリの響きで、音量が圧倒的である。
 だが、私の最大のお目当ては、後半のバルトーク「青ひげ公の城」。
 Wikipediaにもあるとおり、台本の元となったのはメーテルリンクの戯曲であり、前半2曲目の「『ペレアスとメリザンド』組曲」(メーテルリンク原作)との関係性が分かる。
 さらに、今回の演目のチョイスについて、ヤニック・ネゼ=セガンはこう語る。

 「バルトークがここにいたら同意しないと思いますが、彼はワーグナー、特に『さまよえるオランダ人』に影響を受けたと考えていますので、この2つはよい組み合わせになったと思います。」(公演プログラムp18)

 確かに、二人の主人公が緊迫する会話を交わしながらストーリーが展開するところは共通している。
 興味深かったのはエンディングで、ユディットが7番目の扉の中に消えた後、青ひげが「もうこれで完全に闇の中だ…」といって、暗闇のなかに消えるシーンである。
 青ひげが「知ろうとしてはいけない」と何度も諭したにもかかわらず、ユディットは全ての扉を開けることに固執し、結局7番目の扉を開けて、中に消えてしまう。
 それぞれの扉は青ひげの心の異なる領域を象徴しているようであるが、7番目の扉を除き、いずれも内部は血に塗れている。
 台本を書いたバラージュ・ベーラは、
 「青ひげに限らず、人間は誰しも心の中に深い闇を抱えているが、ふだんは扉によって閉ざされている。他者は、その扉を決して開いてはならない。もし扉を開き、中に入ってしまおうものなら、その世界に引きずり込まれてしまい、二度と外に出ることが出来なくなってしまう。
とでも言いたかったのではないだろうか?
 ちなみに、青ひげのモデルとされるジル・ド・レは、武術に長け、教養も高く、美男で非常に裕福で、敬虔なキリスト教徒だったそうである。
 そんな模範的な人物も、心に深い闇を抱えていたのである。
 ・・・そう言えば、かつて「関西検察エース」と呼ばれ、弁護士となった後「犯罪被害者支援」の仕事をしていたこの人も、心の中に深い闇を抱えていたのだろうか?

 「大阪高検は25日、準強制性交容疑で弁護士、北川健太郎容疑者(64)=京都府=を逮捕した。北川容疑者は元検事。大阪地検のトップをはじめ、西日本の主要ポストを歴任した「関西検察のエース」として知られ、関係者には衝撃が広がった。
 
コメント
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