Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

追い込み型ピアニスト(2)

2024年02月06日 06時30分00秒 | Weblog
【演奏予定曲】
<プログラム A>2/5
ナタリー・ジョアヒム:ヴァイブラン(オルフェウス委嘱作品・2024年1月世界初演)
ショパン:ピアノ協奏曲第1番 (オルフェウス版/リー編)[ピアノ:辻井伸行]
シューマン:謝肉祭(オルフェウス版/ワズワース編) 
 

 チケットは「完売」とされていたものの、大雪のせいで客席はやや寂しく、6~7割くらいしか埋まっていない。
 私は、「オルフェウス室内管弦楽団」の公演は初めてだが、「音楽における民主主義」を標榜しているだけあって、当然コンサート・マスターはおらず、それどころか最初の音合わせもしない(まあ、楽屋で済ませて来たのかもしれないが)。
 最初の「ヴァイブラン」を全く先入観なしに聴いていたら、「森の一日~夜明けから夕暮れまで」というイメージが浮かんだ。
 木々のざわめきや鳥のさえずりを模した音楽だと感じたのだ。
 ところが、この解釈は見当違いだったようで、解説には、「先祖たちと共有するささやかな幸せと結びつくひととき」とある。
 やはり、音楽を図像・映像に置き換えて解釈しようとするのは正道ではなく、音楽はそのまま音楽として受け止めるべきなのだろう。
 さて、実質的なメインとも言うべき辻井さんのショパンのコンチェルト1番。
 1楽章はやはり”軽く”かつ”疾走感を持って”演奏すべきなのだろうが、今日の辻井さんは違った。
 ピアノの音が”鼻声”のようで、かつ、ねばっこく、重たく聴こえるのである。
 緊張やリハーサル不足、単なるコンディション不良など、いろいろ原因は考えられるのだが、二日前に同じプログラムを仙台で上演しているから、緊張やリハーサル不足ということはなかろう。
 そうすると、消去法でコンディション不良か?と思いきや、二楽章ではちょっと良くなり、3楽章で完全に本調子になった。
 それどころか、アンコールのワーグナー/リスト編「エルザの大聖堂への行列」は入魂の演奏で、稀に見る素晴らしい出来栄えである。
 何と、今日の辻井さんは、アンコールで調子がピークに達するという「追い込み型ピアニスト」だったのである。
 ところで、今日のコンサートで気になったのは、コンチェルトの1楽章が終わった時点で拍手をするお客さんが多数いたことである。
 こんな情景をサントリー・ホールで見るとは、思ってもみなかった。
 この調子だと、運営側は、「ショパン『ピアノ協奏曲第1番』は、3楽章の演奏終了後に拍手をして下さい」などと事前アナウンスをしなければなくなるかもしれない。

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