【演奏予定曲】
<プログラム A>2/5
ナタリー・ジョアヒム:ヴァイブラン(オルフェウス委嘱作品・2024年1月世界初演)
ショパン:ピアノ協奏曲第1番 (オルフェウス版/リー編)[ピアノ:辻井伸行]
シューマン:謝肉祭(オルフェウス版/ワズワース編)
<プログラム A>2/5
ナタリー・ジョアヒム:ヴァイブラン(オルフェウス委嘱作品・2024年1月世界初演)
ショパン:ピアノ協奏曲第1番 (オルフェウス版/リー編)[ピアノ:辻井伸行]
シューマン:謝肉祭(オルフェウス版/ワズワース編)
チケットは「完売」とされていたものの、大雪のせいで客席はやや寂しく、6~7割くらいしか埋まっていない。
私は、「オルフェウス室内管弦楽団」の公演は初めてだが、「音楽における民主主義」を標榜しているだけあって、当然コンサート・マスターはおらず、それどころか最初の音合わせもしない(まあ、楽屋で済ませて来たのかもしれないが)。
最初の「ヴァイブラン」を全く先入観なしに聴いていたら、「森の一日~夜明けから夕暮れまで」というイメージが浮かんだ。
木々のざわめきや鳥のさえずりを模した音楽だと感じたのだ。
ところが、この解釈は見当違いだったようで、解説には、「先祖たちと共有するささやかな幸せと結びつくひととき」とある。
やはり、音楽を図像・映像に置き換えて解釈しようとするのは正道ではなく、音楽はそのまま音楽として受け止めるべきなのだろう。
さて、実質的なメインとも言うべき辻井さんのショパンのコンチェルト1番。
1楽章はやはり”軽く”かつ”疾走感を持って”演奏すべきなのだろうが、今日の辻井さんは違った。
ピアノの音が”鼻声”のようで、かつ、ねばっこく、重たく聴こえるのである。
緊張やリハーサル不足、単なるコンディション不良など、いろいろ原因は考えられるのだが、二日前に同じプログラムを仙台で上演しているから、緊張やリハーサル不足ということはなかろう。
そうすると、消去法でコンディション不良か?と思いきや、二楽章ではちょっと良くなり、3楽章で完全に本調子になった。
それどころか、アンコールのワーグナー/リスト編「エルザの大聖堂への行列」は入魂の演奏で、稀に見る素晴らしい出来栄えである。
何と、今日の辻井さんは、アンコールで調子がピークに達するという「追い込み型ピアニスト」だったのである。
ところで、今日のコンサートで気になったのは、コンチェルトの1楽章が終わった時点で拍手をするお客さんが多数いたことである。
こんな情景をサントリー・ホールで見るとは、思ってもみなかった。
この調子だと、運営側は、「ショパン『ピアノ協奏曲第1番』は、3楽章の演奏終了後に拍手をして下さい」などと事前アナウンスをしなければなくなるかもしれない。