明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



作中、郷土芸能が登場する。その神楽は中部地方のシミジミとしたものである。ユーチューブで観ると、鏡花の描写そのままで、旅先で見たことは間違いがない。よくぞ廃れることなく継承してくれていた。問題はそれを実際撮影に行くか、面を含め、装束を揃え、こちらで再現するかである。出版時期がいつなのか、編集者から相変わらず連絡がないので判らないが、その祭りが結構年の後半であるので、撮り損ねたり何かの事情で中止となったら目も当てられない。見物客も時代が違うので使えない。そう考えると、こちらで再現したほうが安全ではある。鏡花は作中、どこの何祭りと書いていないので、よほどの細部ははしょってもかまわないであろう。しかしちょっとのカットに係わらず、舞う時に使う道具は需要が少ないせいか高価なのが困る。練習用は安いが見栄えが悪い。こうして撮影用のおかしな物ばかりが残っていくわけである。  もし再現する場合、面を被ってひょうきんに舞ってもらうのは、当然未だに連絡してこない編集者である。私の指示通りに動いてもらう。なんなら熱した鉄板の上で、裸足で舞ってもらうのも一興であろう。 主人公の妖怪だが、作り惜しみもいい加減にしないといけない。

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