明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



本という物は、元々材木だとつくづく思う。これを縛って、というのが苦手な物の一つでグズグズになり、癇癪起こしてガムテープということになる。 工芸の学校を卒業し、就職したのが岐阜県の山の中の工場であったが、そこは商品の配送センターで、その工場の一画に大きなガス窯が設置されていたが、まだ稼働前で、テストその他の準備で、二ヶ月のあいだ商品の梱包をやることになったが、段ボール箱に詰めるのはともかく、問題は包装であった。サイズ形が様々で慣れることはなかった。しかしぶきっちょにも上がいて、七歳上の同僚は、商品を箱詰めのする段階で段ボールのふちに爪の根元をぶつけ、しまいに血を滴らせる始末で、外されてしまった。彼の手のひらには、真ん中にたった一本しか線がなくびっくりしたが、大人物か与太郎のどちらかであったろう。 片付けに疲れて遅い食事に出かけると、いつもの従業員がいない。無断で休んで、電話しても出ないという。何を教えてもみんな忘れてしまうらしい。もう五十になると聞いて驚く。とてもそうは見えない。「あれは発達障害だから歳取らねぇんだ。本当ですよ。 正月はどうしてたんです?」「部屋の片付けです(今日からだけど)」「あいつなんか好きな事ばかり一所懸命で、部屋なんかめちゃくちゃ、どうしようもないですよ。」 長居は無用、とっとと帰った。

 

 



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