明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



久し振りにトラック運転手の連中と飲む。正月三日以来であろう。アートコレクターズ誌(生活の友社)特集〝引用の美学〟が届いたので持っていった。蛸に絡まれた画狂老人葛飾北斎が掲載されている。 本物の蛸のリアルさに耐えるため、先月も道端に寝ていて通報されパトカーに乗ったばかりの元ドライバーの爺さんに白粉塗りたくり百六十センチに満たない身体を百八十センチの北斎の身体に使った。着物も本物使おうと、三日に酔っ払って私の頭をペンペン叩いた男に着物を着せて使った。口癖のようにウチの会社はブラックですから、と言うのだが、ハタから見るとブラックな連中が集まったから、ブラック企業ではないのか?陶芸家の河井寛次郎の詩に〝鳥が選んだ枝 枝が待っていた鳥〟というのもある。それはともかく。結果として全くイメージ通りの作品になった。美術誌に載ってしまった訳だが、観る人にとっては、被写体の出自、品質はどうでも良いことであろう。ただし蛸だけは前日活け締めされた瀬戸内海産の上物を使用している。

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アートコレクターズ(生活の友社)引用の美学 存在しないものを撮る 石塚公昭

 ※『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載12回『大つごもり 樋口一葉

 


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