明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



キャストが決まった、といいながら、ウチに新たに来た桜東錦を見ていたら迷いが生じてきた。らんちゆうのような肉瘤に覆われた顔がなんとも愛敬がある。子供の頃はどこが良いのだ、と思っていたが。いわゆるキモ可愛いという奴か。ちょっと空気の読めない役人閭丘胤の役よりも寒山じつとくに通じる物がある。ホームセンターには、うなるほど居たので、その中から、たやすく似たような相方を選ぶことができるだろう。急遽主役となった。マンガが原作の映画などは、多少演技に難があつても、原作に似ている配役が良い。それと同じである。豊干がピッタリだったせいで、頭の中で思い込まなければならないなら、イメージにあつている方が良いにきまつている。これで明日、相方を探せば、後のは、残りの中から決めるか、また毛色の違った、例えは出目金辺りから探しても良い。余った連中は、ベランダで飼うことにしよう。 これで2年間眺め暮らす予定の"寒山じつとく"は、結団が見えてきた。連中を背景に、寒山詩のブログ、またはせっかく泳いでいるのだから動画にしても良い。いずれにしても制作に対しての備忘録にもなるだろう。

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金魚の餌はせいぜい1日1、2回で良く、やり過ぎないのが長生きさせるコツなのだが、魚を飼うのが久しぶりなこともあり、ついほんの一つまみを何度も、これは良くない。隠れて眺めても、エサを欲しがりじたばた。 小学生の頃は、友人宅によばれる時は、母が他所様でガツガツしたらみっともない、と食事してから送り出されたのを思い出す。 その母は最盛期は80キロ超級を誇ったが、私がおっぱいを吸い過ぎ、お腹が減っ たからだ、とすべて私のせいにしていた。それはともかく。水槽内の寒山拾得、豊干がピッタリだったことから、全体のイメージが決まって来た。虎はともかく、まもなくキャストがすべて決まるだろう。 豊干禅師こと青文魚は中国から輸入されたらしい。そう思うと、黒い体色も僧衣のように見え、僧衣の下から透けるいぶし銀がなんともいえない。地味で一匹だったら飼う気はしない、といっていたが、今は一番見ている。 本日ちょっとした打ち合わせを済ませ、ホームセンターに材料を探しに。ついでに、ついペットショップへ。そういえばもう一人、閭丘胤(りょ きゅういん)がいた。説話の始まりは役人である閭丘胤が、頭痛に困っていたところに豊干という旅の僧が現れ、閭丘胤の頭に含んだ水をプッと吹き掛けると頭痛が治ってしまう。そこから話は始まり、最後に、なんとも置いてきぼりな空気にさらされて終わる。その閭丘胤を忘れていた。と思ったら、かわいい金魚を見つけた。これで本当にすべての登場人物が決まったのではないか。後は、石や流木で中国の山中を模してレイアウト。 私はどうも二年後の寒山拾得展のため、毎日この60センチ水槽内の金魚を眺め暮らすことにより活路を見いだそうと、どうも本気で考えているようである。寒山拾得で個展をやる、などという人間の考えることは良くわからない。

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