6月8日に公開され、今も大ヒットロングラン上映を続ける。ご存知のとおり、第71回カンヌ国際映画祭最高賞受賞作。『誰も知らない』『そして父になる』などで家族をテーマに描いてきた是枝裕和監督作品。
東京・下町、高層マンションの谷間にポツンとある平屋の家。
祖母の初枝(樹木希林)の年金を目当てに、長男の治(リリー・フランキー)、信代(安藤サクラ)の夫婦と信代の妹・亜紀(松岡茉優)、夫婦の息子・祥太(城桧吏)が集まり家族を形成している。明るくて楽しそうな家族。だが、年金で足りない分は万引きで稼いで生活をしていた。
ある日、団地の廊下に出されて震えていた女児を、信代がかわいそうだからと連れて帰る。家族の人数が一人増えても、貧しくても、笑って生活できる場所があった。
しかし、ある出来事が家族を引き離す。そして、徐々に家族の秘密が明らかとなっていく。
ヒューマンではあるが、サスペンス的な要素も組み込まれた。
前半の伏線が回収されていくなかで、あまり触れられていない亜紀を演じる松岡茉優の役が闇。JKビジネスの店で働く女性を演じているが、そこの客である〝4番さん〟の池松壮亮とともに、かなり深い闇がありそうなのだ。どうしてこうなった?と想像が掻き立てられる。
そして、是枝監督が投じる問題のひとつ、子どもの福祉。
ネグレクトを含む虐待親よりも、食事をさせてくれる優しい他人…が子育てしたらあかんの(日本は戸籍制度だから、就学の問題は発生するけれども)?
関わったらダメなの?など、もろもろ、議論できる。
ドキュメンタリーのような映画。
低下層で暮らす人や家族は存在する。この映画が外国で賞をとったことによりニュースになり、本来、観るつもりがなかった人を含めて、鑑賞した人は多数となっている。老若男女。
最近は虐待・DVケースもニュースで目にする機会が増えた。例えばであるが、個人情報の取り扱いも含め、民生委員・児童委員の方の取り組みに期待できそう。地域住民の関係も。
もちろん、万引きを含む軽犯罪は許されるものではない、というのは大前提としてある。