直木賞と本屋大賞をダブル受賞した恩田陸の原作を元に実写化。今作は上下巻からなる長編小説をピアノコンクールに焦点を当てたエピソードとなっている。
若手ピアニストの登竜門とされるピアノコンクール。
今年はレベルが高い。そんなことが言われる中、結婚をしていて年齢的にも今年が最後のチャンスと捉える高島明石(松坂桃李)。著名な教授の教え子としてすでに有名なマサル・カルロス・レヴィ・アナトール(森崎ウィン)。そして、マサルの幼馴染で、天才の名前をほしいままにしながら、あることが原因で7年前からピアノが弾けなくなっている栄伝亜夜(松岡茉優)。そこに謎を秘めた少年・風間塵(鈴鹿央士)の4人が集まる。
原作にある、細かい人間関係は極力省かれている。
まず、栄伝亜夜はこのコンクールには自分から応募したものでないということ。
女性審査員を演じる斉藤由貴と男性外国人の審査員は、元夫婦であるということ。この二つは知っておいてもいい。
ただ、ピアノコンクールにフューチャーしているので、それを重視して観るなら問題はないだろう。
文字による圧倒的な音楽描写が原作の力であるなら、映画は映像と音響表現に徹していることがあげられる。
4人はライバルでありながらも、共感し、共鳴しながら成長していく物語。
監督は『愚行録』の石川慶。原作でも象徴となる曲目「春と修羅」をそれぞれがどう表現するのか、期待。
エンドロール後、一部で拍手が起こっていたので、クラシックコンサートを楽しめたという感想もありなのだと思う。
映画とするか、コンサートと捉えるか。好みは分かれる映画か??
ただ、映画としてはキャストにパンチがないような気がするが、楽しみ方は自由である。