夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

「友達」

2021年10月10日 18時02分16秒 | Weblog

演技集団、シス・カンパニー公演。


安部公房の戯曲原作をドラマ脚本「俺のスカート、どこ行った?」の加藤拓也が演出した。

加藤は1993年生まれ。演出・脚本家で若手注目株の人物である。

独り暮らしの男の部屋に、ある日、見も知らぬ9人の家族がやってくる。彼らは親しげで笑

みを浮かべ、戸惑う男を気にすることもなく、

あっという間に部屋を占拠していく

わけがわからない男は警察に連絡するが、被害が出ていないのだから何もできないといい、

婚約者に話すと知らない年ごろの女性もいて、

男の言うことが信じられないという。

さらに、弁護士にも相談するが自分も2ヶ月前からそういう状況にあり、最近はその状況

に慣れてきて〝そういうものなのだ〟と、逆に説得されてしまう。

仕事も辞めることになり、お金もなく、追い詰められていく男。

男の行く末はどうなってしまうのか?

 

戯曲のもとになっている短編小説「闖入者」に改訂版の戯曲も合わせて今回の上演作品と

なっている。「闖入者」は、ラジオドラマ、テレビドラマ化を経て「友達」というタイト

ルに変わり、67年に青年座で初演された。

昨年からのコロナ禍で、外に出られず家で1人の状況の人も多かったと思われる。誰かが

いれば、と思いながらもどこまで他人に家で受け入れられるのか。善意と悪意の境目は

どこなのか?

ユーモアと恐怖が交差する。長女と次女の対比もあり、そこに怖さを抱える。最後は衝撃

的だ。

安部公房スタジオ出身の浅野和之が祖母(祖父ではない)、父と母は山崎一とキムラ緑子。

長男を林遣都、次男は岩男海史、三男に大窪人衛。長女を富山えり子、次女は有村架純

末娘に伊原六花。

男を演じるのは青年座出身の鈴木浩介。婚約者を西尾まり。弁護士は内藤裕志、警官は長

友郁真と手塚祐介、管理人を鷲尾真知子が演じる。ベテランの舞台俳優とテレビでお馴染

みの人気俳優が混じり、古典的で普遍的な物語がどう反応しているかが見物となる。

スピーディーに話が進みながらも、なんで今この題材?と思うがしかし、パンフレットを

読んで、観劇後に家族や友達の定義についていろいろ考えた作品。


9月3日から26日まで新国立劇場小劇場で行われたあと、10月2日から10日まで大

阪のサンケイホールブリーゼブリーゼでの公演だった。