自分で創業したゲーム会社を解任されたジミー(シュー・グァンハン)は、
故郷へ帰ると、日本からの懐かしい絵ハガキを見つける。
18年前の台湾。大学の合格発表を待ちながら、カラオケ店でバイトをするジ
ミーは、日本からやってきたバックパッカー・アミ(清原果耶)と出会う。
財布をなくしたというアミはカラオケ店で働くようになり、教育係は少し日本
語が話せるジミーが担当することに。スラムダンクのファンで日本語が話せる
ようになったというジミーをアミは信頼する。一方、アミに一目惚れしたジミ
ーだったが、バイクに乗って一緒に出かけても、映画を観に行っても手を繋げ
ずにいる。
そんなある時、アミが突然帰国することになる。意気消沈するジミーだが、
ある場所にアミを誘う。そして、アミはある提案をする。
実家に戻り、絵ハガキを手にしたジミーは日本へと向かう。東京から鎌倉、
長野、新潟。そしてアミの故郷の福島へ。鈍行列車に揺られ、大学生の幸次
(道枝駿佑)やネットカフェの店員・由紀子(黒木華)、アミを知る地元の中
里(松重豊)など一期一会があり、アミの家へとジミーは辿り着く。
アミの母・裕子(黒木瞳)に迎えられ、アミの真実を知るジミーは、閉じ込
めてきた自分の気持ちを見つめる。
日本を感じさせる台湾の景色が懐かしく映る。美しい街並みと映像。人と人
との触れ合いにホッとする。激しい感情の起伏はないが、心の動きがわかる。
36歳になった主人公が、18歳の自分にさよならし、新たな一歩を踏み出すスト
ーリー。そしてところどころで、岩井俊二監督で中山美穂が主演していた映画
『Love Letter』のオマージュを感じさせる場面が描かれている。列車のトン
ネルを抜けると雪。川端康成の一説を思い出させるが、列車を降りたジミーは
「お元気ですかーー!」と叫ぶ。このシーンは後半の重要な箇所に繋がること
が後にわかる。
「Love Letter」がアジアで人気があったのを実感するものでもあった。中国
語では「情書」というタイトルとなっていた。ラストシーンも『Love Letter』
を彷彿させるものではあったと思う。心に入り込む展開は嫌いじゃない。うま
くまとめた秀作だと思う。
監督・脚本は『余命10年』『新聞記者』の藤井道人。音楽は、これもジミー
とアミの台詞で出てくるMr.childrenで「記憶の旅人」。映画の主人公に寄り添
う歌詞となっている。
ちなみに、我が家にある『Love Letter』のパンフレットを引きずり出して
あらすじを確認してみた当方であった。
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