ビジネス小説としては異例の大ヒットとなった『もしも徳川家康が内閣総理大
臣になったら』が映画化。
2020年、新型ウイルスが日本に蔓延し、首相官邸でクラスターが発生。あろう
ことか内閣総理大臣が急死してしまう。未曽有の危機に直面する政府が実行し
た最後の手段は、「歴史上の偉人たちをAIで復活させ、最強の内閣を作る」と
いうことだった。
総理大臣を任されたのは“江戸幕府“の礎を作った伝説の男・徳川家康(野村
萬斎)、官房長官には“幕末の風雲児”坂本龍馬(赤楚衛二)、経済産業大臣には
最強にして最恐の革命家・織田信長(GACKT)、財務大臣には農民から太閤ま
で成り上がった豊臣秀吉(竹中直人)たち。しかも、文部科学省には紫式部
(観月ありさ)、聖徳太子(長井短)は法務大臣に、総務大臣は北条政子
(江口のりこ)。徳川吉宗(高嶋政宏)は農林水産大臣、徳川綱吉(池田鉄洋)
は厚生労働大臣に、足利義満(小手伸也)は外務大臣という歴史上の人物たち
が入閣した。圧倒的なカリスマ感とえげつなく早い政策の決断に記者や官僚は
驚愕する。そしてやがては、国民が熱狂し、“推し”ができてくる。
そんな中、テレビ局の新人記者・西村理沙(浜辺美波)は、希望のアナウンサ
ーに配置してもらおうと、スクープ狙い。政府のスポークスマンである坂本龍
馬に近づくのだが、はからずも偉人ジャーズの裏に隠された謎を追うこととな
る。
陰謀の正体とは?
安寧の世を作ることに徹する家康は、「今の時代は何でも人任せにしている。
自分で考えて、自分で動くこと。」というメッセージを残す。狂気を帯びた武
将や日本を統一することを強引に推し進めた武将も、江戸時代を潰した浪人
も、やり方が違っただけで「安寧の世」を作ろうと思ったことは同じ。AIの記
憶に組み込まれた情報には、お互いを非難し攻撃する要素はインプットされて
いない。だが、性格や行動はいわゆる史実と同じことを行う。それを踏まえて
展開をみると、すっきりとうなづけるものがある。
個人的には、≪徹子の部屋≫ならぬ、≪政子の部屋≫での北条政子を演じる江
口のりこと三英傑の画面の強さと緩さが絶妙だった。
偉人たちがどの要職についているかも、うまい選出。偉人たちの現代への順応
力もさすがです。
そして、キーワードは冒頭の会見シーンの言葉「ぜよとは?」「ぜよは、ぜよぜ
よ」のバズリから楽しく鑑賞しよう。監督は『翔んで埼玉』『テルマエ・ロマ
エ』の武内秀樹。今回もいいキャストを揃えてきている。
♩人生50年~と舞歌う織田信長役のGACKTと、そこに差し込まれる徳川家康
の野村萬斎の舞がコラボレーション。悲しくも、美しい場面となっているので
注目してほしい。
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