before you can say Jack Robinsonは、直訳すれば、「ジャック・ロビンソンと言い終わる前に」であるが、これは「あっという間に、すごい速さで」という意味でよく使われる。
柴田元幸監訳『英語クリーシェ辞典 もんきりがた表現集』(研究社)には、「楽天的にものを言うときに使われるのが普通」と記されている。
今日のGetUpEnglishでは、この表現を学習しよう。
○Practical Example
"I’ll beat you before you can say Jack Robinson, Itachi."
"You can’t, Sasuke. You won't stand half a chance against me."
「イタチ、おまえをあっという間に倒してやる」
「無理だ、サスケ。おまえはおれに絶対に勝てない」
half a chanceは「少しのチャンス」であるが、否定文で使われることが多く、to stand half a chance againstで、「……に勝てるチャンス[見込み]は少しもない」という意味になる。
●Extra Point
もちろん、戦いだけでなく、ごく普通の状況でも使われる。
◎Extra Example
"Whatever you do, don't lose your temper, Steve. That can nix the business deal faster than you can say Jack Robinson."
"All right, Woz."
「何があろうと、短気を起こすなよ、スティーヴ。それでこの取引はあっという間にパーになるからな」
「わかった、ウォズ」
☆Extra Extra Point
faster than one[you] can say Jack Robinsonという言い方もよくする。
★Extra Extra Example
"Where is Mr. Nagase?"
"When we pay the bill, he always disappears faster than one can say Jack Robinson."
「長瀬先生はどこですか?」
「勘定の話になると、あの先生ははあっという間にいなくなってしまうよ」
さて、なぜJack Robinsonという人名が使われるのか? 『英語クリーシェ辞典』には、以下の大変ありがたい情報が掲載されている。
「ジャック・ロビンソンが何者かについては、 多くの憶測はあるものの定説はない。 活字として登場したもっとも古い例は、 ファニー・バーニーの小説 『エヴリーナ』 (Fanny Burney, Evelina, 1778) のなかの 'I'd do it as soon as say Jack Robinson.' (電光石火、 またたく間に片付けてやるぜ。) John Smith などという名と同じで、 名も姓もごくありふれたものだから広まったにすぎない、 という説も有望。 クリーシェになったのはおそらく19世紀で、 今日も広く使われる」