英語の歌詞を理解するのはむずかしいが、日本語の歌詞を英語話者に説明するのはもっとむずかしいかもしれない。
本日のGetUpEnglishはこのことを考えてみよう。
あるアメリカ人の友人がサザンオールスターズの大ファンで、ある日「希望の轍」の歌詞について尋ねられた。
https://www.youtube.com/watch?v=UK5xSs9jBlk
ハイライト部分はこうだ。
熱く熱くこみあげる涙に
oh my love is you
たわむれの放射線
揺れる揺れる 面影は哀しく
oh my, oh yeah,
Be the one for tonight oh, oh,...
情熱の重さは夜の凪
さまよう夏の日は陽炎
これは確かにむずかしい。だが、そのあとに「遠く遠く離れゆくエボシライン」と出てくるので、おそらく江ノ島の海岸で愛しい人を思って歌っているのだと思う。
「熱く熱くこみあげる涙に」は、
Tears well up in my eyes
という言い方でどうにか意味が伝わると思う。だが、残念ながら、「熱く熱く」がちょっと出せず、桑田佳祐のあのボーカルのよさが伝わらないのが非常に残念だ。
「たわむれの放射線」はちょっとはっきりしないし、そこがサザンのよさなのであるが、おそらく「放射線」、「一筋の光」の下で「愛しい人と戯れている」、「すてきな時間を過ごしている」ということではないかと思う。
であれば、
Having fun with a ray of sunlight
で意味は通じるだろう。
「揺れる揺れる 面影は哀しく」は、想う人のイメージが夕暮れ時の江ノ島海岸の空に揺れているということだと思うので、
Your image is moving sadly
でよいのではないだろうか?
「情熱の重さは夜の凪」は、「あなたへの想いはとても重い、夜の凪よりもずっと」ということだろうから。
My heart is filled with you in an evening calm
でなんとか通じるか?
「さまよう夏の日は陽炎」は
Summer days is shimmering in the heat
でどうにか表現できるだろうが、「さまよう」に込められた何とも言えないサザンのよさが出ない。
そもそも「希望の轍」もうまく訳せないし、意味は少しずれるが、
The Road of Hope
とするのが英語として自然だと思う。
うーむ、日本の大衆音楽はすばらしいが、それを英語にするのはむずかしい。だからこそ日本の音楽にoriginalityがあるということになるかもしれない。