高市早苗の学校給食食材国産化と安倍政権の就活大学4年4月解禁の愚かしい取り組み

2013-04-03 09:07:14 | Weblog

 自民党の高市早苗政調会長が3月30日、長崎市での講演などで公立学校の給食食材の全面国産化を夏の参院選公約に盛り込むよう検討する考えを示したと言う。《学校給食の国産化検討 参院選公約で自民・高市政調会長》MSN産経/2013.3.30 23:56)

 現在の給食費負担を維持したままの実現には年間約500億円の国の補助が必要との試算も明らかにしたそうだ。

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加した場合に打撃を受けることが予想される農林水産品に関しての言及。

 高市政調会長「輸出戦略に加えて国内でも需要を増やす。需要を増やすには学校給食は大きな効果がある」――

 一つの手かもしれないが、確実に需要を見込むことができる政府お抱えのシステムとして現状維持志向の甘えを生みかねない逆効果、例え入札で納入単価を決めたとしても、そこに利権を入り込ませることで単価を維持する癒着・慣れ合いが生じかねない逆効果を考えると、歓迎すべき国産化とは思えない。

 こういったことに加えて、真に必要な選択はこのような単発的な需要策の創出ではなく、農業全体に亘る活性化策や新しい農業の創造であって、そういったことの志向からしたら、愚かしい取り組みとしか言いようが無い。

 学校は児童・生徒が社会に出る前の重要な教育空間である。児童・生徒を国産の農林水産物で育てるよりも、現在の暗記教育では期待可能性を限定的とする新しい産業を創造する能力の基礎となる考える力、あるいは従来の常識化した慣習を打ち破って新しい生き方や新しい社会、新しいルール、新しいモノづくり等を創り出す力の基礎となる探究心を育むことに重点を置いた教育システムとなっていなければ、教育空間としての意味を失う。

 そういった教育シムテム下で学んて、それぞれの分野に亘る広い意味での科学する力を基礎的に身につけた児童・生徒が社会に出た場合、科学する予備軍として自ずとその力を発揮していき、ゆくゆくは日本の産業や日本の文化、ひいては日本の社会の全体的な発展に寄与するはずで、寄与した場合の日本全体に亘る将来的な波及効果、国益となって蓄積されていく知の量・経済効果は農林水産業全体に亘る活性化策の創造や新しい農林水産物業の創造にもつながっていくことになり、国産の農林水産物を給食として消費する利益よりも遥かに大きく、こういった観点からも比較すると、高市早苗の提案はやはり愚かしい取り組みそのものと言うことができる。

 力を注ぐべき問題点を根本的に大間違いしている。

 安倍政権は大学3年生の12月からスタートの企業の就職説明会の開始時期を、早過ぎて学力低下につながっているという理由で4年生の4月以降とする考えでいるという。

 4ヶ月間違いで、どれ程学力がつくというのだろうか。暗記思考に慣らされているだろうことを前提とすると、格段の学力がつくと考えているとしたら、その脳ミソを疑う。

 大学生が一般的に暗記思考に慣らされているのは、何度かブログに書いてきたが、テレビ番組が企業の評価として、「東大生は企業から見ると処理能力は優秀だが、 指示待ち人間が多い」と言っていることや、世界的に著名な建築家安藤忠雄が自身の建築事務所に雇っている東大や京大の卒業生に対して「優秀な学校だと言われている学校だけれども、先ずは自分から一歩踏み込むことはしないから、言われたことはやる。だけどそれ以上のことはやらない」と評価していることは東大や京大以下の大学生も似た傾向にあるはずだから、全般的に暗記思考型人間であることが分かる。

 もし暗記教育となっている日本の教育システムを以上見てきたように考える力を育み、広い意味での科学する力にまで高めていく思考教育を主体とした教育システムに脱却できたなら、小中高と引き継いで大学でも、どのような教科を学んでも自分で考え、自分で決定していく力をなお蓄積していき、自ずと科学する力に磨きをかけるだろうから、そういった思考能力を基礎としていれば、就職活動からも社会を学び、企業の会社説明から、その業種に関して自ら考えてそれ相応の知識を広めることもするだろうし、面接会場で初めて出会う企業人からも人間を学び、知識・教養の糧とするだろうから、4カ月間の教室での拘束で得る暗記思考を基礎とした暗記学力でしかない学力に価値を置くこととどちらが重要なことか、明らかに分別できる。

 やはりどこに問題があるかを履き違えている。

 米倉経団連会長「自分が会長を務めている住友化学の新入社員の声を聞くと、就職活動のスタートを遅らせるのは、僅か数か月の間に結婚相手を決めろというのと全く一緒で、かなり難しいという意見が結構あった。

 就職活動の開始時期を遅らせることは、学生にとっては死活問題になってくる。そのことをよく考えたうえで、政府は方針を決めてほしい」(NHK NEWS WEB

  長谷川経済同友会代表幹事「企業が学生の質の低下を嘆くのであれば、3年生は勉学に集中させたいという大学の要請に当然、応えるべきだ」(毎日jp

 個人の考える思考性がしっかりとしていたなら、他人に教えられなくても、自分から学び、考えを発展させていく。思考性が身についていなければ、いくら他人から教えられても、自身の知識・情報に取り込んで既知とした自身の知識・情報と加味・濾過して自分の考えとして発展させていくことはできない。

 安倍政権の就活解禁期限にしても、高市早苗の公立学校給食食材の国産化同様に取り掛かるべき選択を間違えた愚かしい取り組みにしか見えない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする