安倍晋三の尖閣諸島「実効支配・有効支配の確立」は領土として単にそこに存在させていることではない

2013-04-19 08:41:52 | 政治

 「誤記・謝罪」昨日(2013年4月18日)記事――《海江田代表は参院選で沈没するなら、党首討論でアベノミクスの否定的要素を予言して沈没すべきだった - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》で、「円安」と表記すべきところを「円高」と間違えて表記してしまいました。午後2時30分の時点で訂正。謝罪します。

 4月17日(2013年)記事――《安倍晋三断言の尖閣諸島対中国「冷静且つ毅然とした対応」が功を奏している止まない領海侵入 - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》で安倍晋三が尖閣諸島周辺領海内中国艦船出没に対して「安倍内閣が発足した直後から、前の政権の方針を根本から見直し、冷静かつ毅然とした対応を行う方針を示した」と言っていたことに実効性を伴わせていないと批判したが、この記事をアップロードした同日の午後3時から党首討論が行われ、石原慎太郎の尖閣諸島に関わる質問に対して安倍晋三は相変わらず口先だけの強がり発言を行なっている。

 石原慎太郎「尖閣の実効支配、具体的にどういう形で、今の政府は尖閣諸島を実効支配しているのか。政府が人を置くなり、金を出してインフラを造るなりしてほしい」

 安倍晋三「尖閣についてだが、歴史的にも国際法的にも日本の固有の領土であることは疑いのないことではあるが、実効支配ということについては、われわれは日本の領海、そして接続水域において海上保安庁の船が日本の実効支配を守るために、しっかりと24時間態勢でそこに存在して、日本の支配、実効支配、有効な支配を確立をしている」(以上MSN産経記事から)

 ブログ記事を書いたあとに「日本の支配、実効支配、有効な支配を確立をしている」と断言しているのだから、見過ごすことはできない。

 「海上保安庁の船が日本の実効支配を守るために、しっかりと24時間態勢でそこに存在して」いると言っているが、巡視船ができることは中国艦船が接続水域内に航行してきた場合は無線で領海内に立ち入らないように警告を発し、領海内に侵入してきた場合は同じく無線で領海外退去の警告を発する対応が精一杯で、日本側のそういった対応に対して中国側が直ちに従うわけではなく、接続水域航行も領海侵入も、領海外への退去も彼らの自由意志に任せているのが現状となっている。

 いわば中国政府の意志行動としてある領海侵入に関しては阻止する力を持たず、罰する力も持たず、日本側の領土領有意志の支配を有効たらしめるに無力な状態にある。

 実力で阻止もしない、拿捕して罰することもしない点に於いてまるで触らぬ神に祟りなしの体たらくである。

 だとしても、中国側の「釣魚島は中国固有の領土だ」とする主張にも関わらず、日本は尖閣諸島を日本の領土とはしている。

 果たしてこのような領土状態を実質的に「日本の支配、実効支配、有効な支配を確立をしている」と言えるのだろうか。

 先ず中国との関係に於いて尖閣諸島の領有権問題で外交的にも経済的にも障害を来している。最近の例では5月下旬にソウル開催で調整していた日中韓3カ国首脳会談が中国が日本との対立を理由に開催に難色を示していて見送られる見通しとなった(47NEWS)と言う。

 経済的障害の例の一つとして対中投資の一時的な減少、持ち直しているというものの中国人観光客の減少、あるいは輸出入の減少は今後共再現されない保証はない。

 外交的にも経済的にも障害を来している「実効支配、有効な支配」とは実質性を損ない、形式化を免れ難い。

 また、領土とは人間が住めない過酷な自然条件下にある以外、その土地と周辺の領海が可能とする開発を含めた様々な経済活動・様々な市民活動(=市民生活)を備え得て初めて領土・領海と言えるはずで、尖閣諸島に関しては市民活動どころか、自分たちの領土でありながら日本人の上陸さえ認めない状況、領海内で漁業活動は行われて入るが、海底に豊富な資源の埋蔵が認められていながら、宝の持ち腐れ状態に置いて何ら利用しない状況は果たして真の意味で「実効支配、有効な支配を確立している」と言えるのだろうか。

 このことは日本固有の領土でありながら、ロシアが実効支配している北方四島を見れば、理解できる。ロシアは日本のどのような抗議にも耳を貸さずに北方四島の開発を進め、市民活動を滞りなく推進している。日本の固有の領土であるという点からしたら逆説的だが、ロシアは現在のところ北方四島に関して「実効支配、有効な支配を確立をしている」と言える。

 いわばロシアの北方四島に対するように日本が尖閣諸島とその周辺海域が可能とする開発を含めた経済活動を推し進め、市民活動を展開して初めて尖閣諸島に対して「実効支配、有効な支配を確立をしている」と言えるはずだ。

 このことを別の言葉で言うと、「実効支配、有効な支配」と経済活動、市民活動は対応しているということ、あるいは対応させていなければならないということである。

 対応させて初めて、「実効支配、有効な支配を確立をしている」ことが証明され得るということでもあるはずである。

 尖閣諸島に当てはめて言うと、尖閣諸島に対して「実効支配、有効な支配を確立をしている」と言うためには尖閣諸島とその周辺海域が可能とする開発を含めた経済活動を推し進め、市民活動を展開しなければならないことになる。

 だが、安倍晋三は可能とする開発を含めた経済活動や市民活動を対応もさせずに「実効支配、有効な支配を確立をしている」と言っている。

 実質的には領土として単にそこに存在させているに過ぎない。

 ここには口先だけの強がりしか見えてこない。一種のゴマ化し以外の何ものでもない。

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