高市早苗は日本の戦争を侵略戦争だと認め、靖国神社の戦没者を侵略戦争加担者と位置づけている

2013-04-26 05:13:28 | Weblog

 戦前日本の戦争を侵略戦争と認めつつ、「自衛のための戦争だった」とするタテマエを取っている、4月24日の発言はどう解釈してもそうなる、奈良2区(比例近畿ブロック)選出、52歳の高市早苗が4月23日午前8時、「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」メンバーらと雁首を揃えて靖国神社を参拝した。

 翌4月24日、都内で講演。《「外交問題になること自体おかしい」自民・高市氏、靖国参拝反発の中韓を批判》MSN産経/2013.4.24 13:27)

 高市早苗「外交問題になること自体がおかしい。例えば植民地政策や開戦時の国家意志が良かったのか、悪かったのかとなると、フランス、アメリカ、イギリス、オランダはどうだったのか。

 (米国の)アーリントン墓地に日本の閣僚が行ったら花を捧げる。では、ベトナム戦争が正しかったのか。東京大空襲は明らかな陸戦法規違反だが、あれが良かったのか悪かったのか。そんなことで慰霊のあり方が変わってはいけない」――

 聡明な頭をしている。理路整然、説得力抜群。冷静沈着なる判断能力。言っていることの正当性は素晴らしい。

 断るまでもなく、発言の全ては靖国参拝をした者による靖国参拝を正当化する文脈で成り立たせている。

 フランス、アメリカ、イギリス、オランダの植民地政策が植民地住民に対して差別や抑圧を伴った、基本的人権を認めない非道・不当な支配であったとしても、そのことを基準に日本を開戦に向かわせた対アジア植民地化の国家的侵略意志を比較して、まだ罪が軽いのではないかと、そのことを以って侵略戦争を正当化できるわけではない。

 フランス、アメリカ、イギリス、オランダの植民地政策はそれぞれの国の植民地政策ごとに個別に判断し、個別に評価されるべきものであって、日本の開戦時の国家意志にしても、戦争行為そのものの正当性にしても、戦争時に於ける占領下の住民に対する取り扱いにしても、個別に判断し、個別に評価しなければならないからだ。

 俺は一人しか殺していないが、あいつは二人も殺しているからと、二人を殺した殺人者との比較で一人を殺した殺人者の罪が判断され、評価されるわけではなく、それぞれの殺人行為を個別に判断、評価し、罪が決定されるのと同じであろう。

 もし高市早苗の言っていることが正しいとすると、日本の戦争の被害を受けたアジアの国々にしても日本の侵略戦争をフランス、アメリカ、イギリス、オランダの植民地政策との比較で判断し、評価することが正しい歴史認識だと要求することになる滑稽な現象が生じることになる。

 アジアの国々にとって日本の侵略という戦争行為そのものはあくまでも個別の問題であるはずだ。このことを無視している点、日本の立場からのみの視点に立った、如何にご都合主義の言葉かが分かる。

 当然、「外交問題になること自体がおかしい」と言うこと自体がおかしいことで、外交問題となっていい靖国参拝となる。

 高市早苗は個別的評価対象を相対的評価対象にすり替えて日本の戦争の正当化を謀るゴマ化しを働いたに過ぎない。

 高市早苗が後段で「(米国の)アーリントン墓地に日本の閣僚が行ったら花を捧げる。では、ベトナム戦争が正しかったのか」と言っていることはベトナム戦争は間違った戦争だと位置づけた言葉の意味となる。

 ベトナム戦争は間違った戦争だったが、アーリントン墓地にはそのような間違ったベトナム戦争に加担して戦い、死者となった兵士が眠っていても、日本の閣僚が訪米した場合、アメリカ国家の間違った戦争、アメリカ人兵士の間違った戦争加担に関わらず花を捧げると言っていることになるはずだ。

 このことを踏まえるなら、高市早苗の発言の全てが靖国参拝を正当化する文脈で成り立たせている以上、日本の戦争は間違った戦争――侵略戦争であり、靖国神社に眠る兵士は日本の間違った戦争――侵略戦争の加担者たちだったとしても、それでも日本の閣僚たちは花を捧げるという意味とならなければならない。

 いわば高市早苗は日本の戦争を侵略戦争だと認めていることになる。侵略戦争だったが、フランス、アメリカ、イギリス、オランダの植民地政策との比較で日本の侵略戦争の正当化を謀った。

 「東京大空襲は明らかな陸戦法規違反だが、あれが良かったのか悪かったのか。そんなことで慰霊のあり方が変わってはいけない」と言っていることは意味不明だが、無理に解釈するなら、アメリカは東京大空襲で陸戦法規違反を犯したが、それでも訪米すれば、アーリントン墓地に訪れ、花を捧げる、陸戦法規違反だからと言って「そんなことで慰霊のあり方が変わってはいけない」と言う意味なら、同じく日本の戦争を侵略戦争と認め、靖国神社に眠る戦没者が侵略戦争の加担者たちであったことを認め、その上で「そんなことで慰霊のあり方が変わってはいけない」と言ったことになる。

 安倍晋三は間違っていない戦争だとし、高市早苗は間違った戦争だとしている。この矛盾にどう整合性をつけるのだろうか。

コメント (1)
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