北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【京都幕間旅情】東寺-紅葉,東寺から羅生門は黒澤明監督の映画と宮川一夫カメラマンの技法

2024-12-18 20:24:41 | 写真
■紅葉を撮影する
 拝観と散策の際のふと思った事をつらつらと。

 東寺の紅葉、東寺といえば桜、という印象が、特に不二桜が東寺を代表する情景となっているものですから感じ入るものなのだけれども、こう、巡ってみますと紅葉の情景が素晴らしい。そして今年はやはり紅葉も遅めなのだという印象が更に深く。

 紅葉を撮影する際に、わたしが疑問に感じるのは、椛を最拡大してで、構図を決めている方が多く、ああ云った写真を撮影する方には、東寺の椛、という葉の形状から直ぐに見分けられるものなのかなあ、と思ったりするのですけれども。

 東福寺の三つ葉楓、ではないのですが、わたしの場合は、確かに植物学的に葉をみただけでどこなのかわかるような鑑識眼がほしいところなのですが、ちょっとそうした才能はなさそうですので、紅葉と伽藍、さくらと伽藍、伽藍を第一に考えます。

 伽藍と紅葉、という構図は、実は簡単そうで難しい、こういうのも、紅葉は一年に一定期間、鮮やかに彩るだけなのですが、木々に、ある一定の角度で素晴らしい情景を醸すというのは実は一日の中で一瞬ということもありますので、その瞬間を収めたい。

 順光と逆光、不思議なもので青椛と紅葉と、写真の中では逆光は、まあ大空を白く染めてしまいますし建物も影のように黒く塗りつぶしてしまうものではあるのですが、桜花や紅葉、青葉というものは逆に際立てているように感じられるのですよね。

 羅生門、黒澤明監督の映画作品にて宮川一夫カメラマンの、あえて近畿とされた逆光を情景の撮影にうまく描きこむ手法で、世界の絶賛を浴びたことがありまして、あの時代はモノクロなわけですから物凄い発見と挑戦だった訳ですが、それをまねて。

 東寺から羅生門といいますと、映画作品は兎も角としてなにかこの距離的な親近感がわいてしまうのですけれども。紅葉を逆光で撮影しますと、当たり前ですが椛は太陽光を透かして色彩を強調しますので、不思議と情景を際立たせる構図となります。

 宮川一夫カメラマンの技法、と表現しますと妙に格好よくなってしまうのですが、この逆光を紅葉に活かすもう一つの理由は、レンズに直射日光が当たるのを椛が防いでくれますので、被写体として考える伽藍というものも思いの外逆光の影響を受けない。

 写真撮影、寺社仏閣の拝観と一つのつきものとして考えている東宝は、よく見せる写真というものはある程度布教の一助となってこうしたWebなどで広まってくれる、ここまで考えて拝観者に撮影を許してくれているのではないか、という事でして。

 清水寺のような観光寺を例に挙げますと、観光寺と呼ばれてもいい、その分ひとりでも観音信仰に近づいてもらって興味を持ってもらえれば、というかんがえ方を清水寺の北法相宗の高僧の方がはなした、という話題を知りまして、なるほどなあとおもった。

 紅葉は、伽藍と共に撮影しなければ、此処に来た意味がありませんが、しかし、実のところ、此処は素晴らしい情景だ、という木々の配列との出会いを経験しましても、翌年には気が育ってしまったり、逆に枝が切られたりして口径が無くなる別れが稀に。

 カメラと共に拝観する、それは一つの一期一会の風景に向き合う事でもあり、また伽藍と共に醸す歴史を写真という事で残してゆくという意味合いもありますので、歩むとともに真剣に情景と向き合う散歩も、中々奥ゆかしくて、愉しいものなのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【京都幕間旅情】東寺-紅葉,五重塔包む絶景の紅葉!平安遷都以来の寺院を彩る天然色の椛紅葉

2024-12-18 20:00:47 | 写真
■東寺-紅葉
 このお寺はは桜が美しいのですがこのように紅葉も美しいという話題です。

 東寺、南区九条町の、というよりも京都駅新幹線ホームからも見える京都を代表する建物の一つが当時の五重塔なのかなあ、と思う印象的な情景を醸していまして、しかし京都の平安遷都の頃から今に至るも同じ場所に立地する寺院となっています。

 延暦15年こと西暦796年に桓武天皇がこの平安遷都に際して造営した寺院であり、そもそも南都六宗からの独自性を政治に反映するべく、ということは平安遷都の目的のひとつでしたから、今寺社仏閣に溢れる京都に最初二つのみ認められた官寺のひとつ。

 京都散歩、東寺のあたりは一つ突き抜けて東寺が存在感を護すものの、勿論探せば幾つも歴史湛える寺社仏閣はあるものの、大きな伽藍はこの一帯で一つ突き抜けて拝観者を迎える風情を醸しています。その当時も、実は紅葉の名所となっていまして。

 西寺と東寺、平安遷都に際して、左右対称に造営された平安京の玄関口にあたるこの一角に東寺が、その西に西寺が造営されました。ただ、西寺はいま西寺あとという石碑が講演に佇むのみとなっていまして、再建する試みさえありません。

 鎮護国家の密教寺院、西寺が再建される事がない背景には、結局京都という町は自由な街並みを目指していたもので、平安遷都の当時に構想された画一的は左右対称の都市計画は都市部の膨張とともに自由という概念に置き換えられ今に至る為なのですが。

 五重塔、やはりこの寺院を象徴する建物は、京都最古の高層建築物という五重塔を望見した際の事でしょうか。これも幾度もの建て替えと修復を重ねているのですが、それは同時にこの情景風景が京都のなじみ深い風景として定着しているにほかなりません。

 徳川家光の寄進により寛永21年こと西暦1644年に再建された五重塔、実はこの京都散歩に際しまして、敢えて東寺を散策しましたのは、この紅葉のきかんに京都文化財特別公開としまして、五重塔内部を拝観できる、というものがこの日の散策の趣き。

 両界曼荼羅や真言八祖像を描いた東寺、といいますのも過日、高雄の神護寺を拝観しました際に、もちろん神護寺も多くの歴史を湛えていて、源頼朝さえかかわりある寺院なのだけれども、印象深く感じたのは映画の空海に描かれたような弘法大師空海で。

 空海の寺院、この東寺が永らえたのは、もちろん平安遷都以来の官寺という荘厳美麗な歴史が彩ることは確かなのだけれども、もうひとつの官寺である西寺が廃れていったことと整合性がありません、それは東寺には新しい役割があったゆえ。

 治水、という面から、西寺が廃れた背景というものはもう一つあり、そう、東寺と西寺という視点に立って京都を見ますと、堀川通などいまの京都の中心線からずれていることが東寺の平安遷都における都市計画から見出すことができるでしょう。

 長岡京からの平安遷都は治水計画の失敗で行政機構を含め定期的に浸水被害を受けていたために廃都せざるをえなかったという事情があるのですけれど、西寺も同じように浸水被害が続いたことで、幾度か復旧するものの長期的には蜂起された歴史が。

 紅葉の東寺、さて、南都六宗から距離を置いた日本ですが、仏教は変化する宗教であり、空海により大陸からつたえられた密教の寺院ということで、当時は新しい役割を担う事となりまして、いま、紅葉に包まれている情景をお伝えする事が出来るのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【榛名備防録】中華民国台湾防衛力強化,M-1A2Tエイブラムスに続いて必要な”イージス艦”の取得

2024-12-18 07:00:01 | 国際・政治
■イージス艦が必要
 こんごう竣工が1993年ですので日本では普通の存在となっているのがイージス艦なのですけれども。

 中華民国台湾、このほどM-1A2エイブラムス戦車の引き渡しを受け、近接戦闘能力が大幅に向上したのですが、今後の課題はイージス艦とF-35戦闘機など第五世代戦闘機の導入というところでしょう。特に海軍は現在、小型艦中心のゲリラ戦のような運用を想定した改編をすすめており、既存水上戦闘艦艇の旧式化が深刻な課題となっています。

 イージス艦、台湾海峡有事の際、現在の台湾海軍主力はOHペリー級ミサイルフリゲイトを原型とする成功級となっています、これはターターミサイルシステムを搭載した、建造当時は相応に強力な艦艇となっていましたが、Mk13発射装置の発射速度やターターシステムの能力顕界などで、2020年代の水上戦闘において性能十分とは言いがたいのだ。

 台湾海峡有事の際には、おそらく人類が歴史上経験したことのない水準で、高度な水上戦闘艦が入り乱れる海上戦闘となるでしょう、こうした状況に、ターターシステムだけで対応することは難しく、また台北などの主要都市を弾道ミサイル攻撃から防護するためには、ミサイル防衛能力を有するイージス艦を太平洋側に展開させるほかありません。

 イージス艦の台湾引き渡しは、可能性としてあるのか。世界ではほかにもAPARシステムやホライゾンシステムなど防空艦はあまたあるのですが、中距離弾道弾を迎撃できる能力を有しているのはいまのところイージスシステムのみ、ほかの艦艇にはせいぜい短距離弾道弾、具体的には准中距離弾道弾は限定的に迎撃できる可能性があるシステムはあるが。

 アメリカがイージスシステム供与に踏み切るかが重要です、現時点では難しい、それはイージスシステムの機密性とともに、これを引き渡すことは技術支援などで台湾とアメリカの防衛協力をもう少し進める必要があるため、中国政府を刺激することとなる。ただ、この覚悟を込めて供与するとアメリカ政府が決断するならば、話はずいぶん違ってくる。

 HIMARSにAH-64EとM-1A2T,それにF-16Vという。台湾の装備を考えますと野砲も旧式化が進んでいるため、例えば120mmRTやM-777といった火砲が一門でも多く必要ですし、なにしろ相手が大きくなりすぎていますので最大限の能力構築が必要です。しかし、イージス艦はいくつかの問題を一気呵成に乗り越えうる、ひとつの分水嶺を構成できるかもしれません。

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