◆本日0000時、任務終了
本日16日0000時を以て海上自衛隊インド洋派遣部隊の長い任務が終了、撤収命令に基づき進路を母港へと向けた。
海上自衛隊のインド洋における補給任務は、戦闘行動の支援としては海上自衛隊発足以来最大の規模のものとなっており、補給任務は、単なる洋上の補給拠点を供するという意味以上に、NATO加盟国とイスラム世界という、利用されがちな安易な対立構造から離れて、テロリズムという理不尽な暴力に対して、秩序と安定を求める共同体、という構図を示すうえでも重要であった任務だ。
補給支援任務を開始した当時、海上自衛隊に、ましゅう型のような大型補給艦は整備されておらず、一個護衛隊群への補給支援を前提としている、とわだ型補給艦三隻と、海上自衛隊初の総合補給艦として建造された、より小型の補給艦さがみ、という四隻の補給艦が運用されているだけであり、2010年の今日、ましゅう型2隻に加え、護衛艦も、ひゅうが型の就役が始まっている、時代の推移を感じる印象を与える。
増強されたとはいえ、五隻の補給艦のうち、必ず一隻をインド洋洋上に遊弋させ任務に充てるというローテーションは、日本周辺海域での任務も展開する必要があり、加えて日本周辺情勢も従来からの任務に加えて、隣国の核実験や、島嶼部防衛任務の必要な国際情勢とともに、新しく弾道ミサイル防衛を任務に加えられるなど安穏とした情勢では必ずしもなく、期せずして2方面作戦を強いられることとなり、苦労もあったのだろう。
補給支援任務は終了したが、これに続く日本のテロとの戦いへの国際貢献の在り方については現段階では未知数だ。危険なアフガニスタンに決死の覚悟で民間ボランティアを自衛隊の護衛とともに投入し復興人道支援にあたるのか、民主党が野党時代から必要としていたテロ対策の恒久法を制定して再び補給艦を派遣するのか、再びイラクへの復興人道支援を模索するのか、未知数ではあるが、長きにわたったインド洋における給油支援任務は終了し、無事、撤収命令が発令されたことは一つの大きな区切りである。
HARUNA
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