◆仙谷内閣府特命担当大臣、747でダボス会議出席
防衛省HPに政府専用機の運行予定が発表されていました。29日から31日まで、東京国際空港とチューリッヒ国際空港を往復するようです。
政府専用機は、皆さんがジャンボジェットとして御存知のボーイング747-400を二機、航空自衛隊が運用しています。総理府予算で二機が導入されたこの機体は、B-747と称されています。個人的にはBでは爆撃機のような印象を受けますのでVC-747と称するのが正しいのでは、と思うのですが、鳩山内閣が出来ましてから外遊でかなりの回数が運用されているのですよね。しかし、航空自衛隊には、VIP輸送に用いるU-4という機体がありまして、何故に747にこだわるのか、と少し疑問に思ったりします。
政府専用機747は、首相や皇族の移動には必要な機体であると考えます。767や787ではなく、それ以前の外遊では日航の747を利用することが多かったから、747の必要性は理解できますし、一国の代表という機体なのですから、相応の大型機を、という観点から機種を選定する必要はありますし、随行員の同乗はもちろん、四発機ということでの安定性も無視できない利点といえます。しかし、ダボス会議出席のための内閣府特命担当大臣輸送の為に、要人輸送で150名、人員輸送では350名を輸送することが可能な航空機を運用する、というのは少しオーバーなのではないでしょうか。
この点、U-4はガルフストリーム社製のビジネスジェットで、乗員は操縦の2名に加えて19名が搭乗できるだけと、やや小ぶりではあるのですけれども、航続距離は12000kmあります。U-4は、2008年の北京オリンピックに際して、その開会式に出席した福田総理大臣を現地まで輸送するという任務に充てられていまして、既に海外へのVIP輸送にも実績のある機体です。日本の政府専用機として、747は必要でしょう。日本は地理的に欧州のように主要国間が近い訳でもなく、同盟国アメリカは太平洋の向こう側ですので、基本的に太平洋を飛び越えることができる機体は必要でしょう。しかし、現政権は、外遊の回数も多い事ですし、747への負担を考えればU-4の多用ということも考えるべきではないでしょうか。747は二機しか無いのですから、この点重要でしょう。
突き詰めて考えれば、747以外にVIP輸送に対応することのできる航空機がU-4、そして考えればYS-11もあるのですけれども、747と中間にあるべき航空機が航空自衛隊に配備されていない、というのが一つ考えるべき時期に来ているのでは、と論点を一歩進めることもできるかもしれません。例えばボーイング767、一時期は中古のボーイング767を政府専用機として航空自衛隊が導入するのでは、という話も流れていたのですが、どうなったのでしょうか。大臣クラスの輸送であれば、767や737でも対応できると考えます。そんなに人数が多数随行する、というわけでもないのですからね。
航空自衛隊では、空中給油輸送機としてKC-767の導入を進めており、現在最後の四号機が小牧基地に到着し、運用試験を行っています。KC-767は人員輸送に対応できるということではありますが、窓の無い明らかな空中給油機にVIPを搭乗させるのは、あんまりなのではありますが、767の運用基盤は構築されていることは確かなので、中古の767あたりを探してみては、と思います。ちなみに写真は757です。他方で、国際人道支援任務を考えれば自衛隊員の輸送を考えて747を増勢する、という選択肢もあるにはあるかもしれません。人数が人数ですので、U-4では不可能な規模、このあたり、日本航空が運用終了を計画している747-400あたりを1~2機、検討してもいいのでは、と考える次第です。
HARUNA
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