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普天間飛行場移設先に海上自衛隊大村航空基地案 琉球新報が報じる

2010-01-05 23:51:40 | 国際・政治

◆現実的には難しい案

 琉球新報などが報じた記事によれば、普天間基地代替施設を長崎県の海上自衛隊大村航空基地に建設する構想が政府内にあるとのこと。大村航空基地は、哨戒ヘリコプターを運用する第22航空群が展開している基地だ。

Img_4043  毎日新聞1月3日:米軍普天間飛行場の移設問題について長崎県大村市の松本崇市長は09年12月31日、「普天間移設に関し、最初から聞く耳を持たないというわけではない」と述べ、大村市の海上自衛隊大村航空基地への移設について政府から要請があれば検討する考えを示した。琉球新報社のインタビューに答えた。一部週刊誌は、政府が普天間基地の移設先として大村航空基地を候補地とする検討を始めたと報じた。松本市長は報道について、「全くの寝耳に水で驚いている。政府からは報道後も特に説明はない。国会議員に確認したが『そんな話はない』と否定された」と述べ、市としては当面、静観する考えを示したhttp://mainichi.jp/area/okinawa/news/20100103rky00m010006000c.html

Img_4158  記事を読み解くと、現時点では多数ある案の一つであるとみられ、現在政府部内で検討されている沖縄本島近傍の伊江島、沖縄県内の下地島が普天間代替施設を受け入れる基地基盤として成り立ち得ないとの批判から、比較的人口密集地に近く、加えてアメリカ海軍揚陸艦が前方展開する佐世保海軍施設にも近い大村航空基地が、その名前として挙げられたようだ。大村航空基地にはSH-60J/Kが多数展開しており、回転翼航空機の運用基盤は確立している。一方、自治体に打診などは行われておらず、従って具体案としてだされたものでもない、という位置づけにみえる。

Img_4146  どの程度現実性のある意見かは別として、大村航空基地は、沖縄本島の海兵隊戦闘部隊との間で距離が離れすぎているという問題がある。海兵隊とヘリコプターは一心同体である。そして、戦闘部隊は基本的に海兵隊グアム移転後も沖縄に駐留することとなっている。無理を乗り越えて、どうしても、というのであれば陸上自衛隊第四師団の一部部隊を沖縄に振り分け、逆に海兵隊の訓練や駐留を九州にシフトする必要も出てくるが、キャンプオオムラ、というものは現実的に考えにくい。また、九州は演習場の不足という問題もあり、加えて、海上自衛隊の航空群が展開する以上、現状のままでは大村に受け入れることも難しい、拡張が必要となろう。このように、大村移転案というものは、少し現実から乖離しているように思えてくる。

HARUNA

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コメント (6)
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