北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

新砕氷艦しらせ 南極観測支援へ昭和基地に初入港

2010-01-12 23:45:55 | 海上自衛隊 催事

◆積雪と氷床に苦戦!

 海上自衛隊の新砕氷艦しらせ、が南極大陸の昭和基地へ初入港を果たし、就役後最初の南極観測支援任務が成功した。

Img_2716_2  海上自衛隊は、海上保安庁の砕氷船宗谷に続き、砕氷艦ふじ、砕氷艦しらせ(初代)を運用、南極観測支援任務に充てている。最初の砕氷船宗谷は船の科学館に展示されているが、総トン数4100㌧、非常に小さく、もともと砕氷艦として建造されたわけでもないこも踏まえれば、これでよく南極まで航海したものだ、と思ったのだが実際、何度も難渋し、ソ連やアメリカの大型砕氷艦に助けられている。60年代には、原子力砕氷艦を、という声もあったようだが、新鋭の専用砕氷艦ふじ、は通常動力として完成した、現在の新しらせ、は基準排水量12650㌧、満載排水量22000㌧、連続1.5㍍の砕氷能力を有する。

Img_2691  南極観測船しらせ、昭和基地接岸 予定より6日遅れ・・・【昭和基地=南極観測隊同行記者】南極観測船「しらせ」が10日午後11時30分(日本時間11日午前5時30分)、昭和基地に接岸した。例年の約2倍の厚さの氷と積雪に進路を阻まれ、当初の予定より6日遅れでの到着。第51次南極観測隊の輸送、観測計画に影響が出るのは必至だ。昨年5月に完成したばかりのしらせにとって、初めての同基地接岸。船首に散水装置を備えるなど、世界トップクラスの砕氷能力を持つ同船だが、基地沖20キロの辺りから厚さ2~3メートルの氷と1~2メートルの積雪に苦戦した。11日未明から、船と基地のタンクを直接パイプでつないで燃料を送る「バルク輸送」が始まり、雪上車による観測・設営物資の輸送も順次行う。接岸場所が見える「見晴らし岩」では、既にヘリコプターで基地入りしている51次隊員や、約1年前から南極に滞在する50次越冬隊員がしらせを出迎えた。2010/01/11 10:32   【共同通信】http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010011101000082.html

Img_2461   当初、新砕氷艦は20000㌧型を建造する構想があったのだが、財政状況を考慮して12650㌧となった。もともと平成16年度予算に盛り込まれる予定であったのだが、南極観測支援を行う文部科学省が予算を捻出できず、設計予算のみ通った経緯があり、平成17年度予算せ建造、文部科学省予算で建造し、海上自衛隊が運用する、という方式を採っている。旧しらせ、艦橋には、荒れ狂う南極海を航行している際の物凄い船体動揺を傾斜計が記録しているが、新しらせ、も今回の南極観測支援任務で大きな動揺が記録されたことだろう。新しらせ、の南極処女航海を迎えたのは例年以上の積雪と連続破砕能力の限界に迫る分厚い氷床、気候変動か、単なる異常気象か、これらを調べることも南極観測の任務として挙げられ、その支援を行う第一歩を、新しらせ、は無事実施中である。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする