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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

尖閣海保記録映像のYOUTUBE流出事案について 国家公務員倫理法の観点

2010-11-05 21:23:36 | 国際・政治

◆過程に問題あるが公務員内部告発の可能性も 

 国家公務員倫理法第一条  この法律は、国家公務員が国民全体の奉仕者であってその職務は国民から負託された公務であることにかんがみ、国家公務員の職務に係る倫理の保持に資するため必要な措置を講ずることにより、職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り、もって公務に対する国民の信頼を確保することを目的とする

 尖閣諸島での日中間の緊張は、領海侵犯していた中国側漁船が拿捕された経緯が中国側の主張では一方的に漁船に対して日本側の巡視船が体当たりを行い拿捕したものだ、という主張に対して日本側の漁船が我が日本の巡視船に対し意図的に衝突を繰り返した、という主張と大きく食い違ったため、果たしてどちらが正しいのか、という事で日本側が記録しているビデオの存在に注目が集まりました。

 本日未明、尖閣諸島の中国漁船による海上保安庁巡視船への衝突事案について、わが国領海内での不法操業や海上衝突防止法違反の映像44分が画像投稿サイトYOUTUBEへ流出しました。流出した映像は巡視船二隻への衝突を記録した映像について六分割して配信したもので、海上保安官が臨検を行うまでの様子は記録されていません。民主党政権はわが国の世論を刺激して中国側に不快感を持たれたくないとの中国第一という配慮から尖閣諸島事案に関するビデオの一般公開を控えてきまして、一部国会議員へ6分と大幅に編集した動画を今月一日に限定的に公開したのみでした。今回流出した44分は議員へ限定公開された内容よりも長い事となります。

 果たして流出させたのは海上保安庁か検察関係者なのか、もしくは政治家なのか。今回の流出は、先日発生した警視庁の公安部内部資料がPCのデータ共有ソフトと連動する不具合により流出した事案とは異なり、意図的にYOUTUBEに掲載されたものです。政府としては公開を控えたいとしてきた映像について、これが意図的に掲載された、という事は一つの問題ではありますが、一種の内部告発ともいえるものです。もちろん、厳重に保管されている情報が流出したという事案は、仮に流出させたのが公務員であるのならば国家公務員倫理法にも抵触するともいえ、これが励行される訳ではないのですけれども、国家公務員は中国人民に奉仕するものではなく日本国民に奉仕する立場にあるのですから、公開の手法は非難されるべきでしょうが、公開した事は国家公務員倫理という点から、全て非難する事も出来ないように思います。

 民主党は野党時代、内部告発者保護制度の制定に積極的でした。現在の公益通報者保護法は労働基準法に関連するものですからこの法律の範疇ではないのですが、公務員による内部告発を目指した“ハトミミドットコム”を開始したのは民主党です。国益と公益のための今回の行動、自らが責任を負う、非難される立場になれば倒閣運動だ、と叫ぶのはナンセンスですが、情報公開、公益情報者、という観点から今回の事案は見てみる必要もあるのではないでしょうか。

HARUNA

コメント (20)
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