北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

沖縄県知事選いよいよ明後日 仲井間候補、伊波候補、ともに普天間の辺野古移設反対

2010-11-26 23:15:37 | 国際・政治

◆逃避続き“新”与党の普天間問題は総決算間近

 仙石官房長官への問責決議がいよいよ秒読み、と国会から伝えられています。尖閣諸島事案、北朝鮮韓国砲撃、ロシア大統領北方領土訪問、官房長官自衛隊暴力装置発言、防衛大臣民間言論封殺命令、法務大臣問責決議可能性。

Img_1791  普天間飛行場移設問題は安全保障一つとっても様々な事案が山積していて、完全に忘れられている可能性も危惧するのですが、明後日、この問題を左右する沖縄県知事選が投票日を迎えます。今日の緊張状態に鑑みれば、米軍の抑止力は、それを置き換える自衛隊の大規模増強と法整備を行わない限り日本と世界の安定に直接影響する問題に発展しかねない状況です。今回の沖縄県知事選には現職の仲井間知事、そして伊波氏が立候補しているのですが、注目すべきは両候補ともに公約には在日米軍基地である普天間飛行場の辺野古移設を明確に反対している、という状況があります。ただ、仲井間候補については沖縄の振興策を加味すれば妥協の余地があり、伊波候補は、普天間基地の県外か海外への移設を求めている、というところに注目が集まります。

Img_2046  未だに結論を出せない、というのは、一部からでているように“まだ政権交代したばかり、一年しか経ってない”、という浮かれた気分なのでしょうか。政府が、日米合意がありながらも具体的な政策は、今回の沖縄県知事選の結果を見てから最終的に判断する、という意思を表明しているのですが、上記のとおり双方とも、基地には反対です。しかも、民主党は既に鳩山内閣時代に辺野古移設で日米合意しており、これを継続させるという条件で菅内閣が成立しているにもかかわらず、与党民主党が沖縄県知事選に候補者を立てないという、責任逃れをきめこんでいる、というのがかなり大きな問題といえるでしょう。結局は強権発動を行うのか、日米合意を反故にして日本独自でロシア、北朝鮮、中国に対応できる強大な防衛力を整備するのか。

Img_1896  在日米軍の重要性は、直接的に考えるのではなく長期的に二段論法か三段論法で考えなければなりません。朝鮮半島と台湾海峡という、今日世界で最も大規模武力紛争の危険がある地域双方ににらみを利かせる沖縄本島は、中国の台湾への軍事的冒険を、台湾有事の際には費地全的に米国民保護に米軍が即応して対処できるという体制を築く事で、言い換えれば米中軍事衝突の大きなリスクを北京に提示する事でこの上ない抑止力とし、朝鮮半島に対しても米軍の素早い在韓米軍への増援体制を誇示する事で武力紛争への究極の抑止力としています。

Img_0686  台湾が盗られれば、日本が中東や欧州と繋がる海上交通路を、今度が台湾を根拠地に中国が押さえる事が出来、結果的に日中がシーレーンの争奪戦を行うのか、中国の恫喝に対して日本が主権を喪失するのか、究極の選択となりまして、結果的に太平洋の安定を損なう可能性に繋がります。台湾有事には、沖縄に第二空挺団を新編して即応し日本が対処する、決戦だ!、という姿勢でも日本が示せば話は違うのですが、これは現実的ではありますまい。もっとも、こういう姿勢を担えるほどであればここまで大きな日中問題は成り立たなかったでしょうけれども。

Img_0180  朝鮮半島有事にしても、対馬海峡を隔てて余りに日本は朝鮮半島と近すぎまして、ここでなにかあれば日本は大混乱になります。アメリカがくしゃみをすれば日本が風邪をひく、という言葉がありましたが、日本が風邪を引けば少なくない国が重篤状態になる、日本の経済的、工業生産における影響力は既にグローバルでして、これも問題があります。そもそも自衛隊創設当時は北方への脅威に長期的に備えるとともに、短期的には朝鮮半島情勢の突沸を警戒していましたので、西部航空方面隊には注力していましたし、九州に二個師団と中国地方にも師団を配置しています。これらカギを握るのが、緊急展開部隊、切り込み部隊である第三海兵師団や第31海兵遠征群といった在沖米軍です。

Img_0469  こうした状況下で、もっとも最初に沖縄県で在日米軍が日本全体に寄与する重要性と、日本が安定しているからこその安寧を得られる太平洋地域とグローバルな国際関係の意義を説き、膝をついてでも真摯に将来に備える事を行うべき政府が、朝鮮半島情勢にかこつけ来月までは不測の事態に備えて閣僚は東京を出無いように、と総理自ら、よくわからない理屈を提示している、というのが日本の不幸です。ここまで逃げの一手、無責任に終始してきたのですが、政府は沖縄県知事選と日米合意、自らがアメリカの昨年十一月までにと迫ったのに対して一方的に延ばし延ばし逃避してきた難題の総決算を迫られています。いまだ、政権交代果たした“新”与党という気分が漂う中、自己評価自己分析が出来ず、日米関係は良好、朝鮮半島事案での態勢は万全、尖閣諸島問題は国民が支持、と既に逃避といいますか亡国政府との実態になりつつある中ですが、決断すべきは逃避しないでほしいと切望する次第です。

HARUNA

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コメント (6)
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