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インド洋対テロ海上阻止行動給油支援再開特別措置法を自由民主党が参議院へ提出

2010-11-08 23:06:20 | 国際・政治

◆野党がインド洋給油支援再開特別措置法を提出

 自民党が参議院へインド洋対テロ海上阻止行動給油支援に関する再開の特別措置法を提出しました、朝雲新聞からの引用です。

Img_19848 11/4日付ニュース トップ :給油活動再開特措法を提出 自民が参院へ・・・ 自民党は10月26日、今年1月に終了したインド洋でテロ対策海上阻止活動に従事する外国艦船への補給支援活動を再開するため、新たに「テロ対策海上阻止活動及び海賊行為等対処活動に対する補給支援活動特別措置法案」を参院に提出した。 同法案は、テロ対策海上阻止活動・海賊行為等対処活動を行う諸外国の軍隊等に対し補給支援活動を実施し、わが国を含む国際社会の平和と安全の確保に資することが目的。

Img_16260  基本原則として、補給支援活動の地域は、いわゆる非戦闘地域のインド洋の公海などとすると規定。対象とする活動の定義では、テロ対策海上阻止活動を行う諸外国の軍隊等のほか、ソマリア沖での海賊行為等対処活動も対象にしており、自衛隊に属する物品及び役務の提供(艦船等の燃料油の給油又は給水を内容とするものに限る)に係わる活動――としている。 物品貸付、譲与については無償で行うことができるとしているほか、実施計画の決定・変更内容、支援活動が終了したときの結果を遅滞なく国会に報告することも定めている。 武器使用基準は、自己保存型に限定し、法律の期限は当初2年、延長は2年以内としている

Img_17941  民主党は国際協力に関する恒久法を制定するとして特別措置法による自衛隊派遣を野党時代に批判していましたが、恒久法、覚えているのでしょうか。現在のように尖閣諸島における事案を契機として日中関係が緊張を強いられ、一方で日米関係が普天間問題の日本側による一方的な変更と遅延の申し入れにより緊張状態が生じている中にあって、日米間の協力関係を象徴づける何かしらの事例というものが必要です。特にアフガニスタン情勢が再度激化の様相を見せ始めている中で議会中間選挙において勝利したアメリカの野党共和党はオバマ大統領が進める撤退計画に反対し、アフガニスタン情勢が安定化するまでの期間、米軍の駐留を継続できるよう提唱しており、この時期にアフガニスタンにおける米軍の任務を補完できるインド洋対テロ海上阻止行動給油支援の位置づけは、民主党が野党時代に提案していたアフガニスタンへの陸上自衛隊派遣ほどではありませんが、かなり大きなものです。

Img_18323  海上自衛隊の艦艇運用を考えれば、現在もソマリア沖海賊対処任務に護衛艦を派遣している点に加えて、旧式化する、とわだ型補給艦の代艦さえ建造できない状況下、護衛艦数も延命している状況にある訳で、そのローテーションは決して楽なものではないのですけれども、前向きに検討されるべきでしょう。民主党は野党時代にインド洋給油支援をアフガニスタン政府が評価していない、という点ばかりを強調していたのですが、内陸国に海上阻止行動の評価を聞いた故の評価であり、対テロ国際協調の面、参加する艦艇を派遣する各国の評価は高いものでした。

Img_17664  民主党は、外交に対する確たる方針を持たず、闇雲な徒手空拳の状態で全方位外交を個々に行っています。こうしたなかで決定したのが野党時代、そして総選挙に臨む際にも掲げていたインド洋対テロ海上阻止行動給油支援の中断でした。しかし、領土問題における外国への譲歩では歴代内閣でも類を見ない与党ですが、政権公約の内容には譲歩を許さないという姿勢を貫いており、ここで国益の観点から方針転換を行い得るか、政策ごとの与野党間協力が可能なのか、ということが注目されます。

HARUNA

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コメント (2)
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