◆アフガン派遣発表と普天間問題進展なし
本日午前中に菅首相は横浜市内でAPEC出席の為に来日中のオバマ大統領と日米首脳会談を行いました。
報道によれば、日米首脳会談は尖閣諸島問題を契機とした中国による日本の我が国領域への進出を中国海軍の太平洋進出と西太平洋の私物化に対処する観点からの中国牽制を含めた日米同盟深化により合意となり、中国によるレアアース輸出中断問題についても日米による掘削などの技術開発についても合意に至りました。
来月には日米共同訓練として九州沖縄方面において島嶼部防衛に重点を置いた実動訓練が実施、4万5000名と艦船航空機多数が参加する事となっていますので、今回の日米首脳会談の内容とその実行という意味での来月の訓練は今回の首脳会談の一つの大きな外交的メッセージとなるでしょう。
陸上自衛隊のアフガニスタン派遣を菅首相が検討している旨を説明し、2011年にも陸上自衛隊のアフガニスタン派遣が行われるとしました。陸上自衛隊のアフガニスタン派遣は現在米軍撤退が迫っている中急激に治安が悪化しており、ISAF部隊への攻勢が強まる中、医官と看護官を派遣するとのことです。
現在の情勢に鑑みるに下手に後方支援部隊を派遣する場合、余程の護衛をつけるなどしなくては自衛隊の海外派遣史上初めての状況に接する可能性もあり、慎重に慎重を期するべきと考えるのですが、どうなのでしょうか。NATOのISAF派遣部隊司令官などは、アフガニスタンに後方という概念はない、と明言しているのですし。
普天間飛行場移設問題ですが、11月の日米首脳会談までに具体的方向性、と2009年年内妥結を伸ばしに延ばしてここまで伸ばしたのですが、結局先送りとなるようで名護市移設を基本として今月末の沖縄知事選後に最大限の努力を行う、と言うにとどめました。日本の一方的な方針変更により移設計画は伸びまして、その分の無駄な予算支出も増えています。全く現与党は予算無駄遣いに無頓着なようです。
冒頭の日米同盟深化で一致したのに対して、同時に南西諸島における中国からの圧力を受けている状況を認識しつつも、その主体となるべき在沖米軍の移設を具体化できないというのは、現政権は景気刺激の公共事業として日中沖縄戦を誘致でもしているのか、と疑いたくなるほどで、とにかく具体的な施策を望みたい次第。
在日米軍駐留経費一部負担の思いやり予算問題では協議の加速を合意するとともに、このほか、安全保障関連では核セキュリティー作業グループの設置や北朝鮮の核武装解除に関する問題、イランのウラン濃縮に対する日米の共同歩調等で合意に至ったとのことで、会談の後、握手を交わしました。
HARUNA
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