北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

尖閣問題を受け、領海侵犯に対処する新法制定構想を官房長官が提示

2010-11-09 22:58:20 | 国際・政治

◆領海侵犯へ対処する法案、提出なるか?

 民主党政権が領海警備に関する新法を提示するようです、以下は日経新聞からの引用です。

Img_8482  領海侵犯対策巡り新法も視野 官房長官、尖閣問題受け ・・・2010/11/8 23:06 仙谷由人官房長官は8日の衆院予算委員会で外国船舶の領海侵犯などを取り締まる領域警備の強化を急ぐ考えを表明した。新法制定も視野に検討する。尖閣諸島沖での中国漁船の衝突事件を受け、迅速に対応できる体制づくりを急ぐ。 現行の海上保安庁法では、領海侵犯した民間船舶に状況に応じて武器を使用できるが、外国政府の船は対象外だ。相手が海保の能力を超える強力な武器を携行していても、海上自衛隊は海上警備行動が発令されないと武器を使えず、迅速な対応は難しい。

Img_3716  仙谷長官は同日の記者会見でも「海上の警察権行使のあり方、守備範囲の法整備はほとんどなされず、空白という認識を持っている」と指摘。新法制定に踏み切る場合、自衛隊の任務に領域警備活動を加え、武器使用も認めるのかが焦点になる。 菅直人首相は8日の衆院予算委で衝突事件のビデオ映像流出に関し「政府としては管理不行き届きだった。おわび申し上げたい」と陳謝したhttp://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C93819481E2EAE2E1988DE2EAE3E3E0E2E3E29F9FEAE2E2E2;bm=96958A9C93819695E2EAE2E09D8DE2EAE3E3E0E2E3E29F9FEAE2E2E2

Img_5135  第一次の対処として海上保安庁が対処に、海上保安庁の警備能力を超える状況に際しては海上保安庁が対処している期間に海上警備行動命令を発して海上自衛隊の対処に転換する、という方法が領海警備には求めらてていたのですが、昨今まで実現せずようやく実現端緒に就くようです。日本政府としては、これまで領海侵犯について取り締まる具体的な法体系が欠如していたという事実に驚きは禁じえないのですが、今回の事案を契機として領海侵犯に対する具体的な対処方針の制定、というのは歓迎すべき事例と言えるでしょう。先日もロシア海軍太平洋艦艦隊旗艦ワリヤーグが対馬海峡方面に出現するなど、尖閣諸島問題に端を発する一連の日中緊張関係は日中間の問題に留まらず広い方面に影響を及ぼしているようです。

Img_5593  こうした中で現在の政府は尖閣諸島事案に関するビデオ流出を受けて、そもそも秘密指定が為されていないにもかかわらず国家公務員法の守秘義務違反を掲げ、そもそも社会性の高い情報の開示については違法性阻却事由となり得るにもかかわらず証拠ビデオの開示の違法性を一方的に決めつけ、民主党政権は情報開示事件のほうに全力を傾注しているように見えました。一方で、もしかしたらば現政権は日本の国益を蔑にして国民の生命財産および基本的人権を危険にさらすのではないか、と危惧されている中の今回の提示となりました。

Img_3709  今回の提案が具体的にどのような法律として成立するのかは余談を許しませんが、自民党についてはこの法案については柔軟な対応を示す可能性があり、一種の与野党協調の手段となる可能性もあります。他方で、内容が領海警備に必要な条件を満たしていなければ自民党を始めとした野党からの対案提示も考えられ、国家の最も基本的な領土保全という行為がどのように実現するかは現時点で未知数なのですが、注意深く見守りたいです。

HARUNA

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コメント (6)
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