◆極東方面への緊張波及はあるか?
ロシアが印象は3月10日、ロシアの欧州上戦力削減条約からの脱退を一方的に宣言した、とのこと。

欧州通常戦力削減条約は1992年に東西冷戦の終結を受け、欧州とロシアが1975年からのヘルシンキ会議に基づく相互信頼醸成措置の枠組みを発展させる形で成立したウラル以西の全欧地域における通常兵器の配備全体量へ上限を設けた具体的な軍備管理枠組みです。

全体としてはロシア側に不利な内容ではありましたがソ連崩壊に伴う経済混乱と共に、ウラル以西の兵器配備を前提としていたため、通常戦力を旧式兵器縮小により数値を満たすと共にウラル以東へ移転する措置を採ったものがあり、結果的に極東地域の兵力不均衡の要因となる可能性が指摘されてきました。

欧州における通常戦力を削減、これも各種装備を明確に定義づけ縮小する合意が冷戦終結後に合意に至り妥結したことは東西冷戦終結の象徴的な事例として多くの外交研究や合意形成論にレジーム論などの研究対象となってきましたが、今回のロシア離脱により実質的に崩壊へ移行していることとなります。

ロシアだ隊の要員はウクライナ問題に端を発する欧州とロシアの相互不信の増大であり、ロシア軍の行動活性化と、NATOが新たに緊急対応部隊の新編及び待機部隊の能力向上などの施策を提示したことで、現時点で直接の摩擦は経済制裁の分野にありますが、軍事的緊張が高まる状況を反映しての事でしょう。

ウラル以西の、という地域的枠組みではありますが、ウラル以東、極東地域への影響は短期的に見た場合通常戦力の増減などが顕著に昌二我が国防衛と安全保障に影響することは少ないかもしれませんが、欧州とロシアの関係悪化は、価値観を共有するステイクホルダーとして欧州との関係を重視する我が国とロシアの関係にも影響を及ぼす事は必至です。

一方で、欧州通常戦力削減条約は、戦車など各種装備に定義を明確に示しましたが戦車や装甲車に火砲などの世代差による性能の差異は盛り込まれておらず、特にソ連崩壊後の恐慌状態が長く継続したロシアは通常戦力の近代化が大きく遅れており、最新鋭装備を近代化し数的削減に対し質的向上を果たした欧州との差異は大きくなったという背景はあるやもしれません。

近年は資源輸出などにより経済的成長を取り戻しつつあるロシアは通常戦力の近代化を冷戦後の遅れを取り戻すよう進めてはいますが、全大漁が大きすぎるため近代化の割合は低く、資源価格の暴落と経済制裁により思う通りの進展を将来的に維持できるかは不確定要素を含むようになってきました。

背景には欧州とロシアの相互不信がある事は確かなのですが、通常戦力削減条約の戦力削減枠組みを、装備品の世代による戦力均衡を期したものへ発展させなかった不作為もあります。一方でこの枠組みは一種シナジー効果をもたらす象徴的な相互理解の多国間関係でもあったため、ロシア脱退宣言の衝撃は非常に大きいと言えるでしょう。
北大路機関:はるな
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
ロシアが印象は3月10日、ロシアの欧州上戦力削減条約からの脱退を一方的に宣言した、とのこと。

欧州通常戦力削減条約は1992年に東西冷戦の終結を受け、欧州とロシアが1975年からのヘルシンキ会議に基づく相互信頼醸成措置の枠組みを発展させる形で成立したウラル以西の全欧地域における通常兵器の配備全体量へ上限を設けた具体的な軍備管理枠組みです。

全体としてはロシア側に不利な内容ではありましたがソ連崩壊に伴う経済混乱と共に、ウラル以西の兵器配備を前提としていたため、通常戦力を旧式兵器縮小により数値を満たすと共にウラル以東へ移転する措置を採ったものがあり、結果的に極東地域の兵力不均衡の要因となる可能性が指摘されてきました。

欧州における通常戦力を削減、これも各種装備を明確に定義づけ縮小する合意が冷戦終結後に合意に至り妥結したことは東西冷戦終結の象徴的な事例として多くの外交研究や合意形成論にレジーム論などの研究対象となってきましたが、今回のロシア離脱により実質的に崩壊へ移行していることとなります。

ロシアだ隊の要員はウクライナ問題に端を発する欧州とロシアの相互不信の増大であり、ロシア軍の行動活性化と、NATOが新たに緊急対応部隊の新編及び待機部隊の能力向上などの施策を提示したことで、現時点で直接の摩擦は経済制裁の分野にありますが、軍事的緊張が高まる状況を反映しての事でしょう。

ウラル以西の、という地域的枠組みではありますが、ウラル以東、極東地域への影響は短期的に見た場合通常戦力の増減などが顕著に昌二我が国防衛と安全保障に影響することは少ないかもしれませんが、欧州とロシアの関係悪化は、価値観を共有するステイクホルダーとして欧州との関係を重視する我が国とロシアの関係にも影響を及ぼす事は必至です。

一方で、欧州通常戦力削減条約は、戦車など各種装備に定義を明確に示しましたが戦車や装甲車に火砲などの世代差による性能の差異は盛り込まれておらず、特にソ連崩壊後の恐慌状態が長く継続したロシアは通常戦力の近代化が大きく遅れており、最新鋭装備を近代化し数的削減に対し質的向上を果たした欧州との差異は大きくなったという背景はあるやもしれません。

近年は資源輸出などにより経済的成長を取り戻しつつあるロシアは通常戦力の近代化を冷戦後の遅れを取り戻すよう進めてはいますが、全大漁が大きすぎるため近代化の割合は低く、資源価格の暴落と経済制裁により思う通りの進展を将来的に維持できるかは不確定要素を含むようになってきました。

背景には欧州とロシアの相互不信がある事は確かなのですが、通常戦力削減条約の戦力削減枠組みを、装備品の世代による戦力均衡を期したものへ発展させなかった不作為もあります。一方でこの枠組みは一種シナジー効果をもたらす象徴的な相互理解の多国間関係でもあったため、ロシア脱退宣言の衝撃は非常に大きいと言えるでしょう。
北大路機関:はるな
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