北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

対領空侵犯措置任務と増大する緊急発進へ、量的強化の必要性Ⅳ JAS-39は分散運用可能

2015-03-21 00:05:00 | 北大路機関 広報
◆JAS-39は分散運用可能
 航空自衛隊の今までの戦闘機から見たJAS-39は散々な評価というのが前回、しかし、兵站基盤が薄い状況下においても運用できるというものは非常に大きな強みです。

 たとえばJAS-39を3機から6機程度分散運用する際、一回二回の作戦運用ならば5tトラック3台、一定期間でも5tトラック9両に整備器材と燃料弾薬を搭載し飛行場に展開することで、運用基盤が整います、移動管制塔用車両1両・弾薬運搬車2両・燃料車3両・整備器材車1両・指揮通信車両1両・人員輸送兼自活車両1両、というもの。

 実際にはここに警備班の四輪駆動車が2両と携帯地対空誘導弾組用の車両1両が加わるのですが、これだけの車両が展開することで3機を緊急発進や航空阻止に対応できる最小限の部隊が展開できるのです。最小限でも、戦闘機が展開した島はその周辺に敵戦闘機を容易に寄せ付けません。

 JAS-39は、原型機でAMRAAMを運用可能なPS-05/Aレーダーとデータリンク装置CDL39を搭載、エンジンはF/A-18CのF-404が原型のRM-12,軽量ですが充分機動性がありますし、対案攻撃能力が元々盛り込まれています、何より航空機に対艦ミサイルを搭載したのは世界でもスウェーデン空軍が最初ですから、ね。

 飛行場に空輸展開する場合には、自走する必要が無いので、C-130H輸送機1機でJAS-39戦闘機を短期間であれば3機運用する機材を運搬可能で、航続距離は短いのですがデータリンクにより必要な運用を行うことで、一旦離陸すれば地上からの支援が無くとも防空作戦や航空阻止作戦へ参加可能です。

 整備も高度に自動化されており、重整備以外はエンジン交換を含め全線にて対応可能、トラックに搭載された機材だけで補給なしでも6日間程度の作戦運用が可能、再発進はエンジン起動中に実施した場合で空対空戦闘時10分間、空対地戦闘20分間での武装と燃料補給が可能、といいます。

 これをF-15戦闘機で実施する場合、燃料車は大型トラックではなくトレーラーの大型車両が必要になりますし、エンジン整備ひとつとっても双発機であり、整備には人員と時間を要します。特に前線基地で運用しない前提にて設計されていますので、元々こうした運用を想定していません。この差異こそがJAS-39の強みといえるわけです。

北大路機関:はるな
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コメント (3)
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