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35000発の不発弾処理完了、沖縄第15旅団第101不発弾処理隊

2015-03-05 23:30:00 | 防衛・安全保障
◆将来も続く沖縄不発弾処理
 朝雲新聞によれば、陸上自衛隊第101不発弾処理隊は35000発目の不発弾処理を完了した、とのこと。

 第101不発弾処理隊は第15旅団隷下の武器科部隊で、その歴史は沖縄返還と第1混成団創設から続いています。35000発目となった不発弾は、沖縄県浦添市内で遺骨収集作業中に発見された米軍御155mm砲弾で2月13日に処理完了、これが35000発目でした。

 不発弾発見の頻度はいったいどのくらいかと言いますと、沖縄県警からの第101不発弾処理隊への年間の不発弾処理要請は800件に上り、毎年の処理爆弾は重量にして20t、第101不発弾処理隊が処理したこれまでの35000発の不発弾は1720tもの重量となります。

 不発弾とは、爆弾や砲弾は非常に安定し爆薬を内蔵しており、元々簡単に爆発するものではありません、蹴っ飛ばしても落としても、火にくべても燃焼特性によっては爆発しません、砲弾用の炸薬には高熱で溶かして砲弾へ封入する製造方法もありますので安定しているのです。

 その砲弾や爆弾を戦闘や演習で使用する際に、主に先端、モノによっては底部に、信管、安全装置を外した瞬間に非常に敏感となる爆発物を取り付け、射撃や投下直前に安全装置の固定を外し、射撃時の猛烈な重力加速や、投下した際に掛かる風圧等を以て安全装置を取り外し、目標やその付近で爆発し被害を与えるのです。そして不発弾は何らかの事由により、信管が作動しないことで発生するもの。

 砲弾や爆弾は一割から多い場合で二割が不発弾となる傾向があり、信管の装着が正しく行われないもの、信管の安全装置が掛ったまま落下し地面に潜りこんだもの、落下の衝撃で信管が破損し正常に作動しなかったもの、急ぎ過ぎていて信管を付け忘れて使用したもの、原因はさまざまです。

 そして列挙した事由のうち最後を除けば正常に作動しなかっただけの爆発物で、これが道路工事や建設物工事などの際に強い衝撃が加わった場合には、稀に爆発することがあります。火薬は安定化していますので、罅が入り劣化していなければ、まだ生きている爆弾合砲弾はある、ということ。

 今回処理されました155mm砲弾の場合は状況にもよりますが地表に掘り出して爆発した場合有効弾片、人員を殺傷する破片が50m程度に飛散し、100m圏内でも負傷する危険があります。ですから処理する際には周辺数百mの住民を避難させ、爆弾や砲弾周囲を土嚢で囲み、処理薬筒を使い信管を取り外して処理するのです。

 戦艦の砲弾や爆撃機からの大型爆弾には1t級のものがあり、加害半径は数百mに及ぶのです。日本全国には爆撃と艦砲射撃により膨大な第二次大戦中の不発弾が存在していますが、とりわけ沖縄県では地上戦が展開されたと共に、戦後激戦地が宅地開発されたため、危険な不発弾が多く死亡事故も多々起きていまして、第101不発弾処理隊はまだまだ残る不発弾を順次処理し続けています。

北大路機関:はるな
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