■次の標的は“統合打撃戦闘機”
トランプ氏、ボーイングにF18戦闘機のコスト算定要請 F35対抗機、との報道です。この発言を受け、製造費用見直しなど、大きな混乱が生じました。長期的な政策を近視眼的に見直しては、かえって長い目で見れば高い費用が掛かる事を忘れてはなりません。
これはアメリカの通常戦力による優位とこれに依拠する核戦力の優位性を揺るがす可能性があります。トランプ氏、F-35の開発費高騰に嫌気をさし、F/A-18E改良型に注目しているようです。これはF/A-18E改良型としてステルス性を向上させた新型機を開発しており、トランプ氏はこのコスト計算を要請したものでしょう。ボーイング社によりばF/A-18Eよりも遥かにステルス性などが向上しF-16程度の費用に抑えられる新型機となります。
ただ、F/A-18Hとなるのでしょう新型機はステルス性強化へ機体制御システムなどを再設計する必要があり、コスト高騰の可能性を秘めています。もともとF-16程度の費用となる見通しであったF-35のように安易に新型を検討する事は逆に混乱を兼ねきかねません。ロッキードマーティンはこのほど、F-35戦闘機の新規契約分より契約価格を大きく縮減する方針を明示しましたが、これにより生じる影響は未知数です。
トランプ氏、F35の巨額費用を批判し削減を宣言、との報道。次の標的は“統合打撃戦闘機”、というところでしょうか。トランプ次期大統領によるF-35開発費高騰の批判は繰り返し行われているものですが、もともとAV-8とF-16にF/A-18、F-117を置き換える野心的な計画なのですから無理は開発開始の時点から認識されていました、開発期間の延長と共に部分的にEA-6の後継機を担うねらい、F-22の製造費用削減を受ける分さらに高性能化を期してF-15Cの後継も含み、高騰したもの。
仮にF-35を中止しますと、これがアメリカ海空軍と海兵隊を支えた幾つもの機種という柱を一本の大きな大黒柱で支える構想がご破算となるのですから、新しい機種を幾つも、そして大黒柱によりかかる新型機も再設計する莫大な費用が生じる、トランプ氏が示すようなF/A-18改良型を基本とし、アメリカ級揚陸艦に搭載可能な垂直離着陸攻撃機、F-22生産再開による制空戦闘機維持、EA-18海空軍採用、F-117を受け継ぐ開発中止のFB-22等ステルス攻撃機、別々に開発し量産する必要性が出る。
F-35開発中止示唆に対し、ロッキードマーチン社のマリリンヒューソン最高経営責任者は製造費の縮小を約束しました。F-16-79のような開発当時まだ高価であったF-16Aへ旧式のF-4戦闘機要J-79エンジンを搭載した廉価版を開発、純粋にF-35も空対空戦闘に特化した廉価なレーダーに切り替え、エンジンをF-119の単発に置、更にEO-DAS複合光学装置等をオプション扱いとすれば、かなり費用が削減可能です、性能は著しく下がりますが、F-35を単純にF-16のステルス型後継機、としか認識しないのであれば充分でしょう。
F/A-18Hといっても簡単ではありません。F/A-18改良型を推すトランプ次期大統領の発言は一部政治的なものが含まれます。現在生産型のF/A-18Eを量産するのはボーイングセントルイス工場ですが、ボーイングセントルイス工場はこのままF/A-18Eの受注が無ければ2018年に生産ラインを閉じ、事実上セントルイス工場では生産する航空機が無くなり閉鎖される事となります。
セントルイス工場の生産を維持するにはF/A-18Eか改良型の生産を継続する他ないのですが、海軍は必要なF/A-18Eを減耗予備も含め受領し若干数追加、電子戦型のEA-18Gも所要数全てを受領し、見込める輸出先への全ての輸出も完納が見えており、昨今、改めてF-35Cの製造遅れを理由としまして海軍向けのF/A-18E増産を決定し数年間猶予を得ているのですが、更に次の戦闘機計画が無い場合、工場閉鎖として長期的に次の量産計画への障害が及ぶ懸念が現実味を帯びてきました。
しかし、この発言が市場に与える影響は無視できません。F-35は多国間共同開発計画であり、開発国は主開発国にアメリカとイギリス、部分開発国にオランダとイタリアが、部品開発国にカナダ、オーストラリア、ノルウェー、デンマーク、トルコ、が並ぶ。三菱重工は契約により三菱FACOとして日本国内へ最終組み立て施設を建設中ですし、下手をすれば雇用流失に繋がるとして三菱FACO自体の話も反故にされかねず、問題は重大です。
そして、F-35は価格高騰と仕様変更により、これも開発計画が手直しで長期化した故の手直しが長期化を招く悪循環が要因なのですが、アメリカ空軍は1763機を調達しますが、他の開発国や導入国は650機を調達予定で、性能低下や生産数激減となれば出資金返還を求める国際訴訟へ発展する可能性があり、支払った場合、ロッキードマーティン社の資本力は軍事産業としては世界有数でも巨額過ぎ耐えられず倒産の懸念が生じます。
アメリカ海空軍と海兵隊が将来戦闘機として多くの予算を投入し、同盟国の多くが関与したF-35、これを開発するロッキード社は、相次ぎ変更される技術仕様や要求仕様、更に費用縮減として開発中止に追い込まれた様々な予備技術により結果的に開発計画が延伸しています、ここまでコストが高騰したのは開発中の方針変更と開発費用削減の小手先の工夫が全部裏目に出た部分が大きく、一番損失が少ない事は計画通りに予算と開発や量産を変更せず継続する、遠回りに見えて唯一の近道なのかもしれません。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
トランプ氏、ボーイングにF18戦闘機のコスト算定要請 F35対抗機、との報道です。この発言を受け、製造費用見直しなど、大きな混乱が生じました。長期的な政策を近視眼的に見直しては、かえって長い目で見れば高い費用が掛かる事を忘れてはなりません。
これはアメリカの通常戦力による優位とこれに依拠する核戦力の優位性を揺るがす可能性があります。トランプ氏、F-35の開発費高騰に嫌気をさし、F/A-18E改良型に注目しているようです。これはF/A-18E改良型としてステルス性を向上させた新型機を開発しており、トランプ氏はこのコスト計算を要請したものでしょう。ボーイング社によりばF/A-18Eよりも遥かにステルス性などが向上しF-16程度の費用に抑えられる新型機となります。
ただ、F/A-18Hとなるのでしょう新型機はステルス性強化へ機体制御システムなどを再設計する必要があり、コスト高騰の可能性を秘めています。もともとF-16程度の費用となる見通しであったF-35のように安易に新型を検討する事は逆に混乱を兼ねきかねません。ロッキードマーティンはこのほど、F-35戦闘機の新規契約分より契約価格を大きく縮減する方針を明示しましたが、これにより生じる影響は未知数です。
トランプ氏、F35の巨額費用を批判し削減を宣言、との報道。次の標的は“統合打撃戦闘機”、というところでしょうか。トランプ次期大統領によるF-35開発費高騰の批判は繰り返し行われているものですが、もともとAV-8とF-16にF/A-18、F-117を置き換える野心的な計画なのですから無理は開発開始の時点から認識されていました、開発期間の延長と共に部分的にEA-6の後継機を担うねらい、F-22の製造費用削減を受ける分さらに高性能化を期してF-15Cの後継も含み、高騰したもの。
仮にF-35を中止しますと、これがアメリカ海空軍と海兵隊を支えた幾つもの機種という柱を一本の大きな大黒柱で支える構想がご破算となるのですから、新しい機種を幾つも、そして大黒柱によりかかる新型機も再設計する莫大な費用が生じる、トランプ氏が示すようなF/A-18改良型を基本とし、アメリカ級揚陸艦に搭載可能な垂直離着陸攻撃機、F-22生産再開による制空戦闘機維持、EA-18海空軍採用、F-117を受け継ぐ開発中止のFB-22等ステルス攻撃機、別々に開発し量産する必要性が出る。
F-35開発中止示唆に対し、ロッキードマーチン社のマリリンヒューソン最高経営責任者は製造費の縮小を約束しました。F-16-79のような開発当時まだ高価であったF-16Aへ旧式のF-4戦闘機要J-79エンジンを搭載した廉価版を開発、純粋にF-35も空対空戦闘に特化した廉価なレーダーに切り替え、エンジンをF-119の単発に置、更にEO-DAS複合光学装置等をオプション扱いとすれば、かなり費用が削減可能です、性能は著しく下がりますが、F-35を単純にF-16のステルス型後継機、としか認識しないのであれば充分でしょう。
F/A-18Hといっても簡単ではありません。F/A-18改良型を推すトランプ次期大統領の発言は一部政治的なものが含まれます。現在生産型のF/A-18Eを量産するのはボーイングセントルイス工場ですが、ボーイングセントルイス工場はこのままF/A-18Eの受注が無ければ2018年に生産ラインを閉じ、事実上セントルイス工場では生産する航空機が無くなり閉鎖される事となります。
セントルイス工場の生産を維持するにはF/A-18Eか改良型の生産を継続する他ないのですが、海軍は必要なF/A-18Eを減耗予備も含め受領し若干数追加、電子戦型のEA-18Gも所要数全てを受領し、見込める輸出先への全ての輸出も完納が見えており、昨今、改めてF-35Cの製造遅れを理由としまして海軍向けのF/A-18E増産を決定し数年間猶予を得ているのですが、更に次の戦闘機計画が無い場合、工場閉鎖として長期的に次の量産計画への障害が及ぶ懸念が現実味を帯びてきました。
しかし、この発言が市場に与える影響は無視できません。F-35は多国間共同開発計画であり、開発国は主開発国にアメリカとイギリス、部分開発国にオランダとイタリアが、部品開発国にカナダ、オーストラリア、ノルウェー、デンマーク、トルコ、が並ぶ。三菱重工は契約により三菱FACOとして日本国内へ最終組み立て施設を建設中ですし、下手をすれば雇用流失に繋がるとして三菱FACO自体の話も反故にされかねず、問題は重大です。
そして、F-35は価格高騰と仕様変更により、これも開発計画が手直しで長期化した故の手直しが長期化を招く悪循環が要因なのですが、アメリカ空軍は1763機を調達しますが、他の開発国や導入国は650機を調達予定で、性能低下や生産数激減となれば出資金返還を求める国際訴訟へ発展する可能性があり、支払った場合、ロッキードマーティン社の資本力は軍事産業としては世界有数でも巨額過ぎ耐えられず倒産の懸念が生じます。
アメリカ海空軍と海兵隊が将来戦闘機として多くの予算を投入し、同盟国の多くが関与したF-35、これを開発するロッキード社は、相次ぎ変更される技術仕様や要求仕様、更に費用縮減として開発中止に追い込まれた様々な予備技術により結果的に開発計画が延伸しています、ここまでコストが高騰したのは開発中の方針変更と開発費用削減の小手先の工夫が全部裏目に出た部分が大きく、一番損失が少ない事は計画通りに予算と開発や量産を変更せず継続する、遠回りに見えて唯一の近道なのかもしれません。
北大路機関:はるな くらま
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