■第15旅団の沖縄南部防衛整備
第15旅団は現在、防衛上の空白地となっている沖縄県南部地域先島諸島へ来週新たに警備隊を新編し、駐屯させます。
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宮古警備隊が3月26日に新編、併せて宮古島駐屯地が開庁を迎えます。新設の宮古警備隊は第15旅団隷下部隊となり、第15旅団は2014年の旅団改編以来の増強改編となります。併せて南西諸島防衛は、先島諸島の防衛が事実上の防衛空白地帯でしたが、新中期防衛力整備計画とともに実施される石垣島への駐屯地新設と共に順次改善される事となります。
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沖縄県南部の防衛、これは先島諸島が何故脅威に曝されているかを理解する事で重要性が分ります。先島諸島は沖縄本島と台湾島の中間に位置、台湾有事の際には中国軍が米軍の介入を阻止する為に確保する必要があるのです。先島諸島に地対空ミサイルや地対艦ミサイルを中国が配置する事で米軍介入を阻止できる、確保出来ねば台湾有事は起こしにくい。
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台湾を護るために先島諸島に自衛隊を置くのか、と批判もあるかもしれませんが、言い換えれば日本の国土を悪用させない為の施策です。また台湾は日本の中東や欧州アフリカ東南アジアからのシーレーン上に位置しており、実際問題、太平洋戦争はここを失落した事で日本全土が飢餓状態となり、継戦能力を失いました。これは日本が仮に親中政策を執ろうとも中立を宣言し様とも、地形上の要点は変わりません。
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沖縄県南部、中国はヴェトナムやフィリピンから武力奪取した環礁を人工島化し、超水平線レーダーの建設や飛行場の建設、地対艦ミサイルや地対空ミサイル部隊の配置を行い、周辺海域への武力行使へ転用しています。戦争が起こる事はだれも望みません、沖縄県南部の守りを固める事は、日本が周辺地域での戦争を望まない事を明白に示す事とも、なる。
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第15旅団は那覇駐屯地に司令部を置き、第51普通科連隊、第15高射特科連隊、第15ヘリコプター隊、第15偵察隊、第15施設中隊、第15通信隊、第15後方支援隊、第15特殊武器防護隊、第101不発弾処理隊の2200名規模の部隊ですが、宮古警備隊の新編により2550名規模の旅団となります。しかし石垣島等へ、今後も旅団増強は続く事となります。
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12式地対艦誘導弾か88式地対艦誘導弾、03式中距離地対空誘導弾、宮古島には当面警備隊を中心とした380名程度の部隊が置かれるのみですが、将来的にはこれらの装備も配備されましょう。要するに奄美警備隊と同じ地対艦ミサイル中隊に地対空ミサイル中隊という陣容が宮古島にも整備されるという事で、更に石垣島へも数年内に警備隊が置かれます。
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沖縄本島に第15旅団隷下部隊は駐屯していました、那覇駐屯地と八重瀬分屯地に知念分屯地と勝連分屯地に白川分屯地と南与座分屯地、全て沖縄本島です。もう一つ、台湾近傍に与那国駐屯地がありますが西部方面隊隷下の沿岸監視隊が置かれるのみ、これが宮古島への警備隊駐屯により長大な沖縄県島嶼部での要点を確保する見通しだけは、付いたかたち。
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防衛上の空白地帯、宮古島を含む先島諸島には航空自衛隊のレーダーサイトが置かれているのみです。レーダーサイトには警備小隊も配置されていますが、空中機動部隊強襲等に対応できるものではなく小規模の遊撃部隊から本土の増援部隊が到着するまでの施設防護を担当する規模でしかなく、中国艦艇等が周辺を遊弋する中、懸念事項となっていました。
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宮古島駐屯地は26日の開庁と共に宮古警備隊が置かれますが、将来的には地対艦ミサイル中隊や高射特科中隊が配置される計画です。この地域へのミサイル配備は周辺国との関係に留意する必要も考えられますが、過去に北朝鮮弾道ミサイル実験が沖縄近海において実施された際、航空自衛隊が宮古島へペトリオットミサイルを展開させた事例はありました。
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ただ、見通しは付いた、としますのは、南西諸島防衛は非常に広大であり、冷戦時代の北海道防衛、陸上自衛隊は道北の第2師団を重装備で固めると共に戦車団や特科団の配置と第7師団の機械化部隊改編、本州の名古屋や広島と熊本等からの内地師団緊急展開準備等、防衛上の投入可能である資材の大半を準備していました。沖縄はこれで充分といえるのか。
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先島諸島は沖縄本島から375kmを隔てており、沖縄本島からは自衛隊の特科火力支援等は最大射程の地対艦ミサイルでも射程外です。そしてなにより、通信の維持だけをとっても衛星通信を除けば通信中継点さえありません。警備隊について、第8師団の奄美警備隊を紹介した際、警備隊は指揮機能に余裕を持たせ、増援中隊を受け入れる、と説明しました。
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警備隊の増援部隊を展開させる際、第15旅団の第51普通科連隊が展開する事となるでしょう、第51普通科連隊は旅団普通科連隊であり、隷下に3個普通科中隊を置いています。そして空中機動へ、ヘリコプター隊を有する編制が第15旅団の編成上特色です。ヘリコプター隊はUH-60JA多用途ヘリコプターとCH-47JA輸送ヘリコプター等を装備しています。
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UH-60JA多用途ヘリコプターとCH-47JA輸送ヘリコプター等は航続距離が1000km程度あり先島諸島は行動半径に含まれます、が数は充分ではありません。実はかなり前に第15ヘリコプター隊は第12ヘリコプター隊、北関東の名高い空中機動旅団の第12旅団型部隊、と聞いていましたので各8機を有していると解釈していましたが、どうも当方の勘違い。
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第101飛行隊という島嶼部を飛行できる高度な航空機が旅団改編前から配備されていました。南西諸島では本州に相当する広大な地域に島嶼部が広がり、救命救急支援に関する災害派遣に備えてのものですが、有事における部隊展開には空中機動を必要とする事も云うまでもありません。しかし、ヘリコプター隊は高性能機はありますが、規模として師団飛行隊を強化した程度、と。
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警備隊を隷下に二個、石垣島と宮古島に配備する一方で、沖縄本島には普通科連隊一個、というものでは警備隊を有事の際に増援する事が難しく、しかも先島諸島まで、これは京都広島間に匹敵し、ヘリコプターで移動するにも三重県明野駐屯地から静岡県富士駐屯地までの距離に相当、どのように増援を展開させるか現段階で万全とは中々言い切れません。当面の課題です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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第15旅団は現在、防衛上の空白地となっている沖縄県南部地域先島諸島へ来週新たに警備隊を新編し、駐屯させます。
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宮古警備隊が3月26日に新編、併せて宮古島駐屯地が開庁を迎えます。新設の宮古警備隊は第15旅団隷下部隊となり、第15旅団は2014年の旅団改編以来の増強改編となります。併せて南西諸島防衛は、先島諸島の防衛が事実上の防衛空白地帯でしたが、新中期防衛力整備計画とともに実施される石垣島への駐屯地新設と共に順次改善される事となります。
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沖縄県南部の防衛、これは先島諸島が何故脅威に曝されているかを理解する事で重要性が分ります。先島諸島は沖縄本島と台湾島の中間に位置、台湾有事の際には中国軍が米軍の介入を阻止する為に確保する必要があるのです。先島諸島に地対空ミサイルや地対艦ミサイルを中国が配置する事で米軍介入を阻止できる、確保出来ねば台湾有事は起こしにくい。
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台湾を護るために先島諸島に自衛隊を置くのか、と批判もあるかもしれませんが、言い換えれば日本の国土を悪用させない為の施策です。また台湾は日本の中東や欧州アフリカ東南アジアからのシーレーン上に位置しており、実際問題、太平洋戦争はここを失落した事で日本全土が飢餓状態となり、継戦能力を失いました。これは日本が仮に親中政策を執ろうとも中立を宣言し様とも、地形上の要点は変わりません。
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沖縄県南部、中国はヴェトナムやフィリピンから武力奪取した環礁を人工島化し、超水平線レーダーの建設や飛行場の建設、地対艦ミサイルや地対空ミサイル部隊の配置を行い、周辺海域への武力行使へ転用しています。戦争が起こる事はだれも望みません、沖縄県南部の守りを固める事は、日本が周辺地域での戦争を望まない事を明白に示す事とも、なる。
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第15旅団は那覇駐屯地に司令部を置き、第51普通科連隊、第15高射特科連隊、第15ヘリコプター隊、第15偵察隊、第15施設中隊、第15通信隊、第15後方支援隊、第15特殊武器防護隊、第101不発弾処理隊の2200名規模の部隊ですが、宮古警備隊の新編により2550名規模の旅団となります。しかし石垣島等へ、今後も旅団増強は続く事となります。
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12式地対艦誘導弾か88式地対艦誘導弾、03式中距離地対空誘導弾、宮古島には当面警備隊を中心とした380名程度の部隊が置かれるのみですが、将来的にはこれらの装備も配備されましょう。要するに奄美警備隊と同じ地対艦ミサイル中隊に地対空ミサイル中隊という陣容が宮古島にも整備されるという事で、更に石垣島へも数年内に警備隊が置かれます。
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沖縄本島に第15旅団隷下部隊は駐屯していました、那覇駐屯地と八重瀬分屯地に知念分屯地と勝連分屯地に白川分屯地と南与座分屯地、全て沖縄本島です。もう一つ、台湾近傍に与那国駐屯地がありますが西部方面隊隷下の沿岸監視隊が置かれるのみ、これが宮古島への警備隊駐屯により長大な沖縄県島嶼部での要点を確保する見通しだけは、付いたかたち。
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防衛上の空白地帯、宮古島を含む先島諸島には航空自衛隊のレーダーサイトが置かれているのみです。レーダーサイトには警備小隊も配置されていますが、空中機動部隊強襲等に対応できるものではなく小規模の遊撃部隊から本土の増援部隊が到着するまでの施設防護を担当する規模でしかなく、中国艦艇等が周辺を遊弋する中、懸念事項となっていました。
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宮古島駐屯地は26日の開庁と共に宮古警備隊が置かれますが、将来的には地対艦ミサイル中隊や高射特科中隊が配置される計画です。この地域へのミサイル配備は周辺国との関係に留意する必要も考えられますが、過去に北朝鮮弾道ミサイル実験が沖縄近海において実施された際、航空自衛隊が宮古島へペトリオットミサイルを展開させた事例はありました。
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ただ、見通しは付いた、としますのは、南西諸島防衛は非常に広大であり、冷戦時代の北海道防衛、陸上自衛隊は道北の第2師団を重装備で固めると共に戦車団や特科団の配置と第7師団の機械化部隊改編、本州の名古屋や広島と熊本等からの内地師団緊急展開準備等、防衛上の投入可能である資材の大半を準備していました。沖縄はこれで充分といえるのか。
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先島諸島は沖縄本島から375kmを隔てており、沖縄本島からは自衛隊の特科火力支援等は最大射程の地対艦ミサイルでも射程外です。そしてなにより、通信の維持だけをとっても衛星通信を除けば通信中継点さえありません。警備隊について、第8師団の奄美警備隊を紹介した際、警備隊は指揮機能に余裕を持たせ、増援中隊を受け入れる、と説明しました。
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警備隊の増援部隊を展開させる際、第15旅団の第51普通科連隊が展開する事となるでしょう、第51普通科連隊は旅団普通科連隊であり、隷下に3個普通科中隊を置いています。そして空中機動へ、ヘリコプター隊を有する編制が第15旅団の編成上特色です。ヘリコプター隊はUH-60JA多用途ヘリコプターとCH-47JA輸送ヘリコプター等を装備しています。
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UH-60JA多用途ヘリコプターとCH-47JA輸送ヘリコプター等は航続距離が1000km程度あり先島諸島は行動半径に含まれます、が数は充分ではありません。実はかなり前に第15ヘリコプター隊は第12ヘリコプター隊、北関東の名高い空中機動旅団の第12旅団型部隊、と聞いていましたので各8機を有していると解釈していましたが、どうも当方の勘違い。
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第101飛行隊という島嶼部を飛行できる高度な航空機が旅団改編前から配備されていました。南西諸島では本州に相当する広大な地域に島嶼部が広がり、救命救急支援に関する災害派遣に備えてのものですが、有事における部隊展開には空中機動を必要とする事も云うまでもありません。しかし、ヘリコプター隊は高性能機はありますが、規模として師団飛行隊を強化した程度、と。
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警備隊を隷下に二個、石垣島と宮古島に配備する一方で、沖縄本島には普通科連隊一個、というものでは警備隊を有事の際に増援する事が難しく、しかも先島諸島まで、これは京都広島間に匹敵し、ヘリコプターで移動するにも三重県明野駐屯地から静岡県富士駐屯地までの距離に相当、どのように増援を展開させるか現段階で万全とは中々言い切れません。当面の課題です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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