北大路機関

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【防災速報】日本海沿岸津波注意報発令!マグニチュード6.8地震-山形県等に震度六強

2019-06-18 22:40:53 | 防災・災害派遣

 津波注意報発令中、沿岸部の方は海岸から離れて!

■■■新潟山形沖地震■■■
 此処より以下に掲載します情報は6月19日にNHK報道を参考に情報整理し、追記したものです。

 マグニチュード6.7の地震は18日2222時頃に発生し、新潟県村上市で震度六強が観測されています。地震の震源は山形県沖の日本海で震源の深さは14km、余震も多く発生し19日0057時に最大震度4の余震が発生しました。地震が海底であった為、1mの津波が予想、気象庁により津波注意報が発令されましたが、19日0105時に注意報は解除されています。

 津波について。地震発生とともに震源が海底であり規模も大きかった事から、気象庁は石川県から山形県にかけての日本海沿岸に津波注意報を発表しました。最大1mの津波が警戒されていましたが、到達した津波は新潟県新潟港で10cmの津波観測、山形県酒田港や石川県輪島港などで微弱な津波を観測しています。19日0105時に注意報は解除されています。

■■■各地の被害状況■■■
 此処より以下に掲載します情報は6月19日にNHK報道を参考に情報整理し、追記したものです。

 負傷者は26名、19日1100時時点でのNHK報道で新潟県と山形県及び石川県と宮城県の広範で転倒等による負傷者の通報がありました。東北電力発表等をNHKが伝えたところでは地震直後から新潟県と山形県で発生した停電は19日0720時時点までに復旧しました。また、庄内空港と秋田空港と新潟空港に佐渡空港と福島空港は被害がありませんでした。

 被害状況について。JR羽越線は、新潟県村上と山形県酒田間で運転見合わせ、新潟県村上市内では複数個所で落石が確認され、国道345号弘法トンネルや県道鶴岡村上線村上市岩崩地区等役24kmの区間が19日昼前の時点で不通、市内で50棟以上の建物に被害がありました。山形県鶴岡市南部三瀬地区では地震直後から断水が報告され復旧作業が進みます。

 JR鶴岡駅前では液状化被害が発生しました。駅前駐車場の一部が液状化し駐車車両等が埋没しています。建物の被害では広範に家屋の屋根瓦や壁面が損傷すると共に、酒田市や三川町でブロック塀や神社の鳥居倒壊、大型商業施設や病院施設ではボイラー破損や水漏れと断水等損害が報告、山形県鶴岡市の温海地区では地割れが複数個所で発見されています。

■■■防衛省自衛隊の対応■■■

 此処より以下に掲載します情報は6月19日に防衛省報道発表を参考に情報整理し、追記したものです。

 防衛省の対応について。自衛隊では震度五強以上の地震発生や津波注意報及び警報発令時に航空機を発進させ、情報収集に当ります。2239時石川県小松基地F-15戦闘機2機、2252時宮城県霞目駐屯地UH-1映像伝送機1機、2305時青森県三沢基地F-2戦闘機2機、2306時山形県神町駐屯地UH-1多用途ヘリ1機、東北地方の部隊が続々と離陸してゆきました。

 情報収集、2314時群馬県相馬原駐屯地OH-1観測ヘリ1機、2318時京都府舞鶴航空基地SH-60哨戒ヘリ1機、2320時青森県八戸航空基地P-3C哨戒機1機、2322時東京都立川駐屯地UH-1映像伝送機1機、2325時神奈川県厚木航空基地P-1哨戒機1機、小松基地U-125救難機1機、2334時青森県大湊航空基地SH-60,秋田県秋田分屯基地UH-60が続く。

 航空機による情報収集で最も対応が速いのは五分間待機、国籍不明機の日本防空識別圏接近へ備える全国の戦闘機部隊で小松基地のF-15が最初に離陸しました。目視で火災の有無や停電を確認するだけでも大きな意味がありますが、F-2戦闘機等は低空侵攻用ポッドが夜間情報収集に役立ちますし、最新のF-35は操縦士のヘルメットに暗視画像を表示できます。

 初動対応部隊、陸上自衛隊全国の駐屯地にはFAST-Forceという災害初動対応部隊ああり、新潟県新発田の第30普通科連隊が2305時に情報収集へ村上市へ、秋田駐屯地の第20普通科連隊が酒田市へ向け2359時にFAST-Forceを出動させています。また、揺れの大きな東北上越地域14の自治体へ連絡幹部をはじめ地方協力本部等要員も情報交換へ出動しました。

 津波注意報の発令と共に海上自衛隊艦船も日本海へ出動しています。日本海沿岸は舞鶴地方隊管区であり、0101時に舞鶴地方隊の掃海艇のとじま、佐渡沖へ向け緊急出港、0120時に水中処分母船1号が同じく佐渡沖に向けて出航しています。航空情報収集では特段の被害は確認されず、また、津波被害も地上に達したものは極小規模なもの、幸いでしたね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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F-35A三沢沖墜落事故と飛行再開目処【2】何故航空自衛隊は105機追加調達を継続するのか

2019-06-18 20:11:23 | 先端軍事テクノロジー
■対米配慮や貿易赤字の的外れ
 F-35戦闘機墜落事故の後に今後のF-35追加調達について懐疑的な報道が、特に二月のF-2墜落事故と比較し、多いような印象があります。その背景に誤解も感じる。

 F-35は欠陥機という報道やトランプ大統領との日米貿易摩擦解消へ更に105機を調達する、というもの。F-35はもちろん現在主力のF-15から頭上を往く旅客機のボーイング737からボーイング787まで、完璧に欠陥の無い航空機というものはありません、問題は運用と共にアップデートできるか、ということ。また105機の追加も新しい話ではありません。

 政府は昨年12月の新防衛大綱閣議決定において、旧式化するF-15戦闘機の後継へF-35戦闘機105機の追加調達を発表しました。先月のトランプ大統領国賓来日に際し、護衛艦かが艦上でのトランプ大統領演説でもこの点が取り上げられています。ただ、昨年の105機追加とは別に日米首脳会談で更に105機を追加する、と誤解されている方も多いようです。

 F-35の追加導入について、憶測報道でしょうか、その理由に対米配慮や対米貿易黒字相殺という視点が示されていました。実はF-35以外にも第五世代戦闘機にはF-22戦闘機という選択肢がありまして、実は航空自衛隊も当初希望していました。また、第4.5世代戦闘機として、F/A-18E戦闘攻撃機やF-15E戦闘爆撃機、EF-2000戦闘機等選択肢はありました。

 しかし、F-22戦闘機はアメリカ空軍専用の機体であり、基本的に対外供与は幾つかの同盟国に対しアメリカ議会が過去否決しています。もっとも報道の対米貿易黒字相殺が事実であればF-35よりも遥かに取得費用が大きなF-22が妥当となります。現実問題としてF-22導入は現実的ではなく、他の選択肢が無かった、妥当な判断であったとは思うのですが。

 F-35A追加発注は最初の42機導入が決定と同時に予測できました、その理由は三菱小牧FACOの建設です。FACOとは最終組立施設であり、アメリカ以外には日本とイタリアの在るのみです。この建設には一説には四百億円程度の設備投資が行われており、一機当たりの費用に置換えるならば、42機の組立施設にこれほどの投資を行う事は不自然でしょう。

 105機の追加調達はアメリカへの配慮ではないか、と思われるかもしれませんが、航空自衛隊は1971年より導入したF-4EJ戦闘機後継として42機のF-35A戦闘機を取得、続いて導入する105機のF-35Aは1981年より導入しましたF-15J戦闘機の後継機です。F-4戦闘機が古くなった事は事実ですが、続くF-15Jも新しい戦闘機ではない事もまた事実です。

 F-4老朽化は事故率の増大に直結します。現実問題として旧式化したF-4戦闘機は過去に滑走路上での火災事故や部品脱落事故の頻度が上がっており、戦闘機としての性能もさることながら、戦闘機部隊基地が人口密集地に隣接している我が国では、部品や機体、国民感情として老朽化が危険度を時と共に増し続ける機体を維持する必然性は、薄いでしょう。

 古い戦闘機は、構造改修と換装する事で運用は可能です。例えばF-15戦闘機も主翼等の構造材を交換する事である程度の延命は可能ですし、電子装備を新型に置換えれば第一線での運用に耐えます。ただ、電子装備の換装はF-15J近代化改修として行われていますが、一回で42億円程度要し、三度重ねればF-35A取得費用を凌駕します。これは効率的なのか。

 EF-2000戦闘機の事例では、EF-2000は初期型のトランシェ1から最新のトランシェ3Cまで改修と続けており、トランシェ3Cではレーダーが自衛隊F-2戦闘機やF-35戦闘機と同じAESAレーダーを搭載する事となりました。ただ、改修一回にやはり日本のF-15J改修と同程度の費用を要し、イギリス等一部EF-2000保有国は早期退役を開始させています。

 第4.5世代戦闘機は第五世代戦闘機と比較し運用の根本から異なりますが、例えば一個飛行隊をF-15戦闘機の18機と飛行隊長機という編成から、F-4戦闘機時代の一個飛行隊24機編成に回帰する等、定数を増やす前提であれば対応も出来た可能性があります。つまり、F-35Aの105機を取りやめ、例えばF-15Eを140機取得する、という代替案は有り得ます。

 F/A-18EやF-15EとEF-2000であれば、日本国内でのライセンス生産が可能であり、日本国内で予備部品を製造できるならば稼働率を高める事が出来ますし、F-4のように長期間の運用も可能でしょう。また、上記近代化改修費用を丹念に捻出し続けるのであれば、第五世代戦闘機脅威へも対処可能でしょう。ただ、これが財務当局と国民の理解を得られるか。

 実のところ、F-35A戦闘機の105機追加取得に対して、懐疑的な報道を行う識者や解説員の方に聞きたいのは、F-15Jの代替機をどうするのか、という事です。F-22導入日米交渉を行う選択肢、F-15Jを全面的に機体を改修し半世紀以上使う選択肢、一世代前のF/A-18EやF-15Eを大量取得する選択肢、思い切って増税し緊急予算を組み国産の選択肢、等ある。

 報道は自由ですので、F-35以外に選択肢があるような表現を行うならば、例えばオールジャパンで第五世代戦闘機の運用研究を進めて採算度外視で国産機をF-15の老朽化が一線を越える前に緊急開発する提案や、第4.5世代戦闘機を第五世代機の次に導入する妥当性を示した上で取得する等具体的事例を出し、他に選択肢はあったのだ、と論じてほしいですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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