■G20大阪サミット前の衝撃
主要20か国の首脳が大阪に一堂に会するサミットの直前に衝撃的な報道がありました。この衝撃は古くて新しい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/94/81890c5be897baa2f9ad763dbe8d0f90.jpg)
トランプ大統領が日米安全保障条約について、不平等条約である、と発言したことが複数のメディアにより報じられています。トランプ大統領は大統領選の時点から、日米安全保障条約の位置づけを不平等と発言しており、日本の核武装を認めるといった発言も含め、日本にも自助努力を求める発言を繰り返しており、今回改めて持論を発言したかたちです。
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日米安全保障条約解消も含めた発言が最近会ったとのブルームバーグ報道、これに対し、我が国では官房長官記者会見で取り扱われる事となり、アメリカ国務省も火消しに躍起となりました。そしてG20大阪サミットに向う機中においてトランプ大統領がアメリカ国内メディアFOXニュースのインタビューに応じる形で不平等だ、と改めて示した訳ですね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/c1/bd7e454fe0401c252c252764fdfbbed4.jpg)
日米安全保障条約第五条には日本国土が攻撃された場合のアメリカの関与に関する条文が明確に示されています。ただ、その条文は日本の施政権下にある領域に対する攻撃がアメリカの安全保障に影響が及ぶと判断した場合に共通の危険に対処する、と明示されています。日本が攻撃された場合でもアメリカの国益に見合わない場合は参戦義務はありません。
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不平等条約なのか、こう考えますと条約五条に明示されている“日本の施政権下にある領域”という部分がアメリカの視点から考えた場合、例えば北海道や沖縄に敵が上陸した場合はアメリカ軍が参戦する可能性はあるが、日本に限定されている為、アラスカにロシア方面から脅威が上陸した場合やハワイに中国方面からの脅威が来た場合はどうなるか、と。
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アメリカが攻撃された場合には自衛隊に参戦義務はないばかりか、基本的に日米安全保障条約はアメリカ本土が攻撃された場合に日本が何らかの措置を取る事は想定していません。これが短絡的に考えた場合、つまりポピュリズム的視点も含んだ場合ですが、不平等条約、と映るのでしょう。少なくとも日本国内に限られる片務的条約、と表現されてきました。
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米韓相互防衛条約や米比相互防衛条約、アメリカは冷戦時代にこの北東アジア地域だけでも数多くの国々と同盟条約を締結しています。それではこれらも不平等条約なのでしょうか。実は、日米安全保障条約に対して、相互防衛条約という名称が示す通り、実は条約上、アメリカ本土が攻撃された場合、韓国軍やフィリピン軍は直接行動する事となっています。
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アメリカ本土に着上陸の可能性、実は可能性としては非常に低いのです、アメリカは大陸国家ではあっても防衛戦略は海洋国家の指針を基本としており、本土防衛は国籍不明機の接近に対しても例えば9.11同時多発テロにおいて緊急発進の戦闘機部隊が本土に殆ど配備されていなかったように、本土決戦は想定していません。ここにリスクの低さがある。
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日米安全保障条約、憲法上軍隊を持たない時代に締結され、その後は自衛隊を海外派遣しない、という時代に改訂されました。この為、日米安全保障条約を日米相互防衛条約としない限り、片務的、という批判はアメリカから続くのでしょうが、アメリカ本土に着上陸自体の可能性というものは現実的に考えられず、柔軟に転換できないか、とも思います。
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日米相互防衛条約、とする事は現在の憲法施政下では難しい可能性があります。ただ、在日米軍が日本にとり必要であるのは、やはりこれも憲法の問題があるのです。日本本土へ着上陸や攻撃という事態が発生した場合、どうしても本土防衛の為には攻撃を行う国の航空拠点や港湾を叩く必要がありますし、それ以前に地域が安定していなければなりません。
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在日米軍基地に米軍が展開している事は、例えば台湾海峡周辺において不測の事態が発生した場合や朝鮮半島情勢が緊迫化した場合、日本のシーレーン上において重大な事態が発生した場合に、自衛隊は本土が攻撃された状況のような積極的な抑止戦略を取る事が、能力的にできたとしても憲法上執る事が出来ません、少なくとも何か起こるまでは抑止さえ。
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アメリカは日本が攻撃された場合でも参戦義務はありません、しかし、アメリカの安全保障上に影響が及ぶ可能性が生じた場合はアメリカの国内法と憲法に基づき参戦する事が出来る。その状況下で日本が多くの米軍基地を引き受けているのは、地域安定に、アメリカが居る事で海洋自由原則喪失や軍事力による領域変更が起こり難いという認識に基づく。
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在日米軍基地についても、実のところ嘉手納基地や横浜ノースドックに横田基地といった施設は、戦略拠点であり日本本土に具体的な武力攻撃は第二次世界大戦終戦後に着手された事はありませんが、後方拠点として活用されている、これはエネルギーや食糧を自給できない日本にとり本土だけが防衛出来ていても国が成り立たない矛盾への対応策なのです。
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一方で、在日米軍基地は北東アジア地域と西太平洋地域は勿論、日本を経由しアメリカ本土から中東地域や中央アジア地域へアメリカの抑止力を展開させる重要な拠点となっています。在日米軍基地が無ければ在韓米軍は成り立ちませんし、西太平洋地域での不測の事態に対しほぼ対処能力を喪失する事となります、アメリカにとって不可欠の拠点でもある。
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五条には日本に対して、と片務的な内容が明示されていますが、同時に憲法および国内法の下で共通の危険に対処する、と明記されています。言い換えればアメリカが憲法に戦争放棄と軍事力の不保持を明記したらば空文化する内容であり、これは同時に日本国憲法の下で対処すると明示した上で、領域の片務性をアメリカの施政権が及ぶ領域、ともし得る。
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日米安全保障条約は不平等条約、という批判がありますが、これは条文をしっかりと読まない事により生じる誤解が背景にあります。しかし、日本の施政下にある領域、此処に対して攻撃が行われた場合に、参戦するかを国内法に基づき検討するのですから、確実に平等とは言い切れない事も確かです。しかし、憲法上制約の多い日本には必要なのですね。
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日本の施政下にある領域、という部分を、将来この問題が繰り返し提起されるならば、日本かアメリカの施政下に在る領域に対し攻撃が行われた場合に自国の憲法および国内法に基づき共通の危険に対処する、と改め現行憲法下でのアメリカに対する武力攻撃が行われた場合に共同対処する、こう改める事も必要ではないでしょうか、そうする事でアメリカ世論を構成する誤解は解く事が出来ましょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
主要20か国の首脳が大阪に一堂に会するサミットの直前に衝撃的な報道がありました。この衝撃は古くて新しい。
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トランプ大統領が日米安全保障条約について、不平等条約である、と発言したことが複数のメディアにより報じられています。トランプ大統領は大統領選の時点から、日米安全保障条約の位置づけを不平等と発言しており、日本の核武装を認めるといった発言も含め、日本にも自助努力を求める発言を繰り返しており、今回改めて持論を発言したかたちです。
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日米安全保障条約解消も含めた発言が最近会ったとのブルームバーグ報道、これに対し、我が国では官房長官記者会見で取り扱われる事となり、アメリカ国務省も火消しに躍起となりました。そしてG20大阪サミットに向う機中においてトランプ大統領がアメリカ国内メディアFOXニュースのインタビューに応じる形で不平等だ、と改めて示した訳ですね。
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日米安全保障条約第五条には日本国土が攻撃された場合のアメリカの関与に関する条文が明確に示されています。ただ、その条文は日本の施政権下にある領域に対する攻撃がアメリカの安全保障に影響が及ぶと判断した場合に共通の危険に対処する、と明示されています。日本が攻撃された場合でもアメリカの国益に見合わない場合は参戦義務はありません。
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不平等条約なのか、こう考えますと条約五条に明示されている“日本の施政権下にある領域”という部分がアメリカの視点から考えた場合、例えば北海道や沖縄に敵が上陸した場合はアメリカ軍が参戦する可能性はあるが、日本に限定されている為、アラスカにロシア方面から脅威が上陸した場合やハワイに中国方面からの脅威が来た場合はどうなるか、と。
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アメリカが攻撃された場合には自衛隊に参戦義務はないばかりか、基本的に日米安全保障条約はアメリカ本土が攻撃された場合に日本が何らかの措置を取る事は想定していません。これが短絡的に考えた場合、つまりポピュリズム的視点も含んだ場合ですが、不平等条約、と映るのでしょう。少なくとも日本国内に限られる片務的条約、と表現されてきました。
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米韓相互防衛条約や米比相互防衛条約、アメリカは冷戦時代にこの北東アジア地域だけでも数多くの国々と同盟条約を締結しています。それではこれらも不平等条約なのでしょうか。実は、日米安全保障条約に対して、相互防衛条約という名称が示す通り、実は条約上、アメリカ本土が攻撃された場合、韓国軍やフィリピン軍は直接行動する事となっています。
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アメリカ本土に着上陸の可能性、実は可能性としては非常に低いのです、アメリカは大陸国家ではあっても防衛戦略は海洋国家の指針を基本としており、本土防衛は国籍不明機の接近に対しても例えば9.11同時多発テロにおいて緊急発進の戦闘機部隊が本土に殆ど配備されていなかったように、本土決戦は想定していません。ここにリスクの低さがある。
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日米安全保障条約、憲法上軍隊を持たない時代に締結され、その後は自衛隊を海外派遣しない、という時代に改訂されました。この為、日米安全保障条約を日米相互防衛条約としない限り、片務的、という批判はアメリカから続くのでしょうが、アメリカ本土に着上陸自体の可能性というものは現実的に考えられず、柔軟に転換できないか、とも思います。
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日米相互防衛条約、とする事は現在の憲法施政下では難しい可能性があります。ただ、在日米軍が日本にとり必要であるのは、やはりこれも憲法の問題があるのです。日本本土へ着上陸や攻撃という事態が発生した場合、どうしても本土防衛の為には攻撃を行う国の航空拠点や港湾を叩く必要がありますし、それ以前に地域が安定していなければなりません。
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在日米軍基地に米軍が展開している事は、例えば台湾海峡周辺において不測の事態が発生した場合や朝鮮半島情勢が緊迫化した場合、日本のシーレーン上において重大な事態が発生した場合に、自衛隊は本土が攻撃された状況のような積極的な抑止戦略を取る事が、能力的にできたとしても憲法上執る事が出来ません、少なくとも何か起こるまでは抑止さえ。
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アメリカは日本が攻撃された場合でも参戦義務はありません、しかし、アメリカの安全保障上に影響が及ぶ可能性が生じた場合はアメリカの国内法と憲法に基づき参戦する事が出来る。その状況下で日本が多くの米軍基地を引き受けているのは、地域安定に、アメリカが居る事で海洋自由原則喪失や軍事力による領域変更が起こり難いという認識に基づく。
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在日米軍基地についても、実のところ嘉手納基地や横浜ノースドックに横田基地といった施設は、戦略拠点であり日本本土に具体的な武力攻撃は第二次世界大戦終戦後に着手された事はありませんが、後方拠点として活用されている、これはエネルギーや食糧を自給できない日本にとり本土だけが防衛出来ていても国が成り立たない矛盾への対応策なのです。
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一方で、在日米軍基地は北東アジア地域と西太平洋地域は勿論、日本を経由しアメリカ本土から中東地域や中央アジア地域へアメリカの抑止力を展開させる重要な拠点となっています。在日米軍基地が無ければ在韓米軍は成り立ちませんし、西太平洋地域での不測の事態に対しほぼ対処能力を喪失する事となります、アメリカにとって不可欠の拠点でもある。
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五条には日本に対して、と片務的な内容が明示されていますが、同時に憲法および国内法の下で共通の危険に対処する、と明記されています。言い換えればアメリカが憲法に戦争放棄と軍事力の不保持を明記したらば空文化する内容であり、これは同時に日本国憲法の下で対処すると明示した上で、領域の片務性をアメリカの施政権が及ぶ領域、ともし得る。
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日米安全保障条約は不平等条約、という批判がありますが、これは条文をしっかりと読まない事により生じる誤解が背景にあります。しかし、日本の施政下にある領域、此処に対して攻撃が行われた場合に、参戦するかを国内法に基づき検討するのですから、確実に平等とは言い切れない事も確かです。しかし、憲法上制約の多い日本には必要なのですね。
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日本の施政下にある領域、という部分を、将来この問題が繰り返し提起されるならば、日本かアメリカの施政下に在る領域に対し攻撃が行われた場合に自国の憲法および国内法に基づき共通の危険に対処する、と改め現行憲法下でのアメリカに対する武力攻撃が行われた場合に共同対処する、こう改める事も必要ではないでしょうか、そうする事でアメリカ世論を構成する誤解は解く事が出来ましょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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