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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】UGV無人地上車輛が拓く2020年代地上戦闘,テミス無人戦闘車両とRCV-L軽量ロボット戦闘車両

2022-10-10 20:02:56 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 自衛隊はこの分野で遅れている、という分野が年々多い事となっていますが民間の民需部門とも協力を積極的に進め官民一致で法改正も視野に進めるべき分野がある。

 UGV無人地上車輛は2000年代の無人航空機に続く2020年代の新しい潮流となるのかもしれません、一般論として無人航空機と比較し無人地上車輛には高い難易度が有ります、それは空を飛ぶ無人航空機は操縦者と管制装置との間に通信障害は無く、また空を飛ぶ限り気流や雨滴などはありますが地上のような樹木や建物といった障害物はありません。

 UGV無人地上車輛には無限の可能性があります、例えば従来の地上戦闘部隊は段列地域からの補給によってのみ攻撃衝力を維持していましたが、UGVによる補給は補給線の自由度をかなり高めるとともにもう一つ、UGVだけによる迂回攻撃など将来可能となります、これは戦術の大前提に自殺任務を避けるという原則がありますが、UGVはその限りではない。

 危険な任務として前衛や尖兵小隊などをUGVに充てるならば待ち伏せ攻撃により損害を避ける事が出来る、こうした視点ではなくUGVであれば人間では不可能な危険な迂回機動や包囲攻撃を採れると共に相手の意表を突く戦線形成が可能となります。可能性を考えての開発ではなく、可能性を開拓する事こそがUGV開発の要諦といえるかもしれません。
■スペイン,テミス導入
 日本はジムニーを無人化する実験を防衛装備庁が行いましたがその後の装備開発が実りません。

 スペイン陸軍はミルレムロボティクス社製テミス無人戦闘車両の導入を開始しました。これは2021年からスペイン国防省が開始した将来車両計画スコーピオン構想に基づく導入で当面は1両を評価試験に導入、テミス無人戦闘車両は2015年に開発され、樹脂製履帯方式の装軌車輛、重量は1.2tです。多段階の評価試験の第一段階が開始される事を示します。

 ミルレムロボティクス社はエストニアの無人車輛メーカーであり、メーカーとしては新興企業ではありますが最初に開発されたものが汎用自走車THeMIS、テミスと発音します。このテミスは一定以上の評価を集めており、同社では続いてタイプX自走車両の開発を進めています。エストニアはNATO加盟国であり、テミスはNATO各国でも評価が高い。

 テミス無人戦闘車両はマリ共和国における治安作戦に投入された際の高い稼働率と機動力が評価されており、日中温度が50度以上に達するマリの前線において330時間以上の稼働を達成し、更に火山性土壌という錯綜地形を1200km以上に渡り踏破したとのこと。最高速度は20km/hで操作範囲は1.5kmとなっていますが、30mm機関砲なども搭載可能です。
■米軍RCV-Lロボット導入
 米軍のロボットといいますと市街戦用のバックポッドなどが先駆者でしたが更に進んだ装備開発も進める。

 アメリカ陸軍はRCV-L軽量ロボット戦闘車両の開発に案する契約をストラトム社との間で締結しました。この計画は先行して技術構成要素が開発されたP-SAV全自動車輛研究に依拠するもので、プリメーターセイフ機能という全周警戒能力を付与されており、オートノマスビーグルシステムとして経験の浅い運用者が管制した場合でも的確な稼働が可能だ。

 ストラトム社はコロラド州ボルダーに本社を置く新興企業で、退役軍人を積極的に雇用し特に戦闘などで四肢に障害を負った退役軍人を経験と共に採用している企業です。そして同社はAMR自律型移動ロボットの開発分野で先駆者として知られ、軍用貨物輸送や燃料補給及び弾薬等の補給用に用いられ、MUM-T無人有人共同運用実験等に用いられるという。

 RCV-L軽量ロボット戦闘車両そのものはイギリスのキネティック社とアメリカのプラットミラーディフェンス社が開発に参画しています。その重量は3.85、自動運転の際に64.37km/hの最高速度を発揮し3.175tの物資を輸送可能、バッテリーとディーゼルエンジンによるハイブリッド動力を採用し、静粛が求められる際には電動駆動に切り替わります。
■ロボットの装甲化
 市販ドローンなど無人航空kには防弾などは皆無でしたが地上戦闘車両となるとそうはまいりません。

 エストニアのミルレムロボティクス社は防弾型のテミス無人戦闘車両を発表しました。これはユーロサトリ2022の会場にて初公開されたもので、防弾装甲部分はXTEKリミテッド社が開発に協力したとのこと。この無人防弾車両は2021年から両社の協力下で進められたもの、この新型無人車輛はオーストラリアとニュージーランドが導入を計画中です。

 テミス無人戦闘車両防弾型は特に通信システムと制御システムを中心に防弾構造が採用されており、この種の装備が有する致命的な難点に無人である事から歩兵の様に即座に反撃してくることが無い為に敵の狙撃などで延々と銃撃されるリスクがあり、所謂“チープキル”、安価な一発の小銃弾で急所を破壊され高価な無人車輛が全損する事態を避けるもの。

 ミルレムロボティクス社によれば、重要部分に対しては7.62mm徹甲弾からの防弾を想定していると共に全体的に5.56mm普通弾への防弾能力を付与している。ユーロサトリに展示された車輛では防弾装甲と共に12.7mm重機関銃RWS遠隔操作銃搭と発煙弾発射装置を搭載した武装型が発表、防弾による重量増大に際しても搭載能力の高さが示されました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-沖縄那覇,美栄橋の夜は豆腐餻とらふていと古酒の滋味で始まる

2022-10-10 18:22:33 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 熱さから暑さを跨いで涼しさを感じる今日この頃に日本の四季はまだ豊かだと気付かされると共になにかこう季節の移ろいは旅情を誘うのです。

 ふらり旅新居酒屋百選という番組がありまして、居酒屋探訪という2020年以降少々厳しい話題を、このCOVID-19コロナ禍下でも毎月一回の放映として継続しています。太田和彦さん案内の居酒屋だけではなく、旅の最中に居酒屋探訪を織り込んだ、旅はこう在りたい。

 あやしい探検隊という、太田和彦さんはかの作家でナチュラリストという椎名誠の主催した探検隊の初期メンバーであり、カヌー犬を提唱した野田知祐氏ら個性的な文化人野人とともに河原を旅しながらお酒を呑んでいたというのだから、世の中狭いとおもえるのです。

 沖縄、ふらり旅新居酒屋百選の記念すべき第百回、最初は百回で最終回と勘違いしていたのですが、まだまだ続くようで、その百回目の放映が先日ありまして、旅先に選んだのが、沖縄だ。沖縄は南西航空方面隊司令部も置かれる総監部の街、個人的にも行きたい街で。

 ふくろう亭、最近全く行けていない遠い島沖縄、しかし一泊する際は無難にゆいレール美栄橋駅周辺のホテルを選びますので、その美栄橋駅前にあります居酒屋さんや小料理屋さんというのは、敢えては調べないけれども、今どんな様子なのかなとは、おもうところで。

 太平古酒、これは津波古酒造という那覇市は与儀のお酒で、泡盛から始めたい最中に選んだ、30度とじっくり頂くのに適した酒精なのですが、ロックで、頂いたもののとろみと甘みと、そしてきつい香りとが折り合った、ふうとひと息はくと共に疲れが解れる様なもの。

 美栄橋駅前での夕餉は、ビールはべつのところで頂くとして泡盛と、そして、泡盛とともにだからこそ美味しく頂けるのか、ゴーヤのサラダから始めました。苦味が強すぎる、とは昔初めて口にしての感想なのですが、ここで頂くと、不思議に調和しているよう思える。

 豆腐餻、お恥ずかしいけれども冷奴のつもりで注文しようとしたらば女将さんにお教えいただいた発酵食品、チーズのようと表現されるのですが滋味と深みのある、要するに泡盛とよく合うのですよ。食文化というのは体系となっていて、その土地故の美味しさが、ね。

 咲元古酒、こちらは首里の咲元酒造さんの8年物といいまして、前回わたしが首里を探訪した際には首里城は火災前、朱色の城郭に心打たれまして、二杯目は首里の銘柄、としましたしだい。ちょっと度数が低めなので二杯目に落ち着きを持たせる清水の様なのど越し。

 らふてい、豚肉の角煮は、これはきけば醤油とともに泡盛で煮込んだものの味噌仕立てといいます。沖縄で実感するのは京都なんかと比べて伝統料理に大胆に肉料理が織り込まれていますから、要するにビーフだポークだを地酒に合せるのが自然に楽しめるのですよね。

 〆はおにぎりで。しかし、那覇市中心に繁華街では一杯やった後で〆にステーキを頂く、という話を聞きまして、これはほんとうなのかなあ、と思いつつ、確かに気軽に入れそうなお店のステーキ屋さんが深夜時間帯まで営業している、凄い健啖家揃いと驚かされた。

 地酒と合うものは、というよりも時のものの料理に合せて地酒が進化したと考えれば、これはある意味当然なのですけれども。こうしたところでは、時のものをちょっと食べて少し呑んで、少し頂いてちょっと呑む、そんな試行錯誤の様な夕餉と晩酌というのも愉しみ。

 ふらり旅新居酒屋百選の記念すべき第百回にてあの慎重な太田和彦さんが東京からは空路か海路でないと行けない沖縄を探訪した、こう番組を通して知りますと、全国旅行支援というGOTOトラベルの後継政策も始まりますし、なにかこう、旅に出たくなるものです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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クリミア大橋で大規模爆発-橋梁一部崩落,南部戦線ロシア軍兵站とロシア政治への打撃

2022-10-10 07:01:18 | 国際・政治
■臨時情報-クリミア情勢
 橋梁は戦略的要衝であり兵站の要となるのですが、ロシアが2018年に完成させたクリミア大橋はウクライナ領併合という政治的な意味を持つ一つのシンボルでした。

 クリミア大橋において大規模な爆発が発生し、橋梁の一部が崩落しました。原因は不明ですが、ロシア当局によれば橋梁を通行中であったトラックが爆発したとのロシア側の調査を発表しています。爆発は大規模なもので、トラックの隣を通行していた自動車も爆発に巻き込まれ、橋梁の下のアゾフ海で遺体が収容されるなど3名が死亡したとのこと。

 ケルチ橋という正式名称のクリミア大橋はロシア本土とクリミア半島を結ぶ自動車鉄道併用橋で、ロシア軍によるクリミア併合後に架橋、ウクライナ政府は武力併合による占領を常態化させるとして激しく反発していました。現地時間8日早朝に発生した爆発はそのまま併走していた貨物列車の燃料貨車を誘爆させ、数両の貨車が炎上する事態となりました。

 鉄道はロシア当局によれば8日深夜に旅客列車の運行を再開したとしていますが、自動車はしについては損傷が激しいとのことで、ロシアのクリミア占領統治にあたる現地当局では、トラックについてはアゾフ海を無料のフェリーにより通行させるとしていて、足止めとなった観光客には無料宿泊施設を用意しており、鉄道旅客輸送の停滞を示唆しました。

 爆破について、ロシア当局の発表によれば爆発したトラックはロシア南部の住民であるとしています。他方で、ウクライナ当局は関与を明言する発言は行っていませんが、関与を否定する発言もまた行っていません。このケルチ大橋はクリミア半島とロシア本土を結ぶとともに重要な戦略輸送拠点となっていて、橋梁破壊は政治的な影響のほうがが大きい。

 軍事的な影響は、橋梁のトラック輸送が不能となったという一点ですが、重ねてクリミア大橋が今後も攻撃されうるという、ロシア軍に警戒強化の負担を強いることとなります。他方で、トラックの爆発がテロによるものなのか、無人航空機などによる弾薬輸送トラックへの攻撃であるのか、橋梁に仕掛けられた爆発物が第一の原因か、現段階では不明です。

 ロシア軍の輸送は、ウクライナのアゾフ海沿岸都市であるマリウポリをロシア軍が占領されていますので、ロシア軍占領地を通ってのクリミア半島への輸送は不可能ではありません、しかし、占領地であり後方警備部隊を割いたまま輸送しますと、輸送部隊は格好の標的となり得ます。これは即座に南部戦線の弾薬や部品等兵站支援に直結することでしょう。

 武力併合したクリミア半島ではウクライナ軍特殊部隊によるとおもわれる遊撃戦が八月から九月に掛けて散発していました、これは結果的に東部戦線のハリコフ州でのウクライナ軍攻勢に先立ち、ロシア軍の兵力をクリミア警備強化に転用を強いる状況を造るためと考えられていましたが、橋梁攻撃は政治的に更に後方警備の強化を強いることとなります。

 ウクライナ政府は相次ぐ占領地での自国住民虐殺の判明に世論が激昂しており、クリミア奪還を支持する世論となっています。親ロシア住民でなければ拷問で場合によっては殺害、その親ロシアの定義はロシア兵の略奪強姦を黙認しろというものでは、受け入れる世論はありません。そして聖域とロシアが考えた橋梁で、爆発が起きた構図、影響は甚大です。

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