■特報:世界の防衛,最新情報
ユーロサトリでのボクサー装甲車各種派生型を見てみますと自衛隊もオーストラリア陸軍のようにこちらを思い切って500両程度導入しても良かったのではと思いました。
ドイツのクラウスマッファイヴェクマン社はボクサーレグアン機動架橋を発表しました。これは6月にパリで行われたユーロサトリ2022において展示されたもので、ボクサー装輪装甲車にレグアン架橋装置を搭載したもの、かなり大きな工兵機材ですが、ボクサーはモジュール装甲車として開発しており、その搭載による機動力の低下は最小限度とのこと。
レグアン架橋装置は14m型と22m型が開発されており、14mはレオパルド2A7を筆頭に各種戦車等が通行可能というMLC80規格、22m型は装甲戦闘車の大半が通行可能なMLC50規格に対応しているとのことで、戦車旅団配備と装輪装甲車主体の部隊毎に運用を変える事が出来、この二種類の架橋モジュールは短時間で換装可能と説明されています。
戦車橋などは戦車車体を応用しているものが多い中、ボクサー装輪装甲車はもともと高い防御力と共に機動性を有する装備で、舗装道路では戦車よりも早く不整地踏破力も高い。架橋部隊の行動は攻撃や接近経路の方向を示すと共に優先目標として攻撃されるものとなっています。敢えて装輪装甲車から派生型を開発した架橋装置は敵前渡河に際し有用です。
■RCH155自走榴弾砲
ボクサーが何でも積める事は知っていましたが。
ドイツのクラウスマッファイヴェクマン社はユーロサトリ2022において新型のRCH155装輪自走榴弾砲を発表しました。これは同社が製造しているボクサー装輪装甲車のモジュールシステムを応用し、現在ドイツ連邦軍の主力自走榴弾砲となっていますPzH-2000の火力を付与したAGM-155mm榴弾砲モジュールを搭載した自走榴弾砲です。
AGM-155mm榴弾砲モジュールそのものは、2014年に完成、無人砲塔システムを採用しており、これまでにMLRSシステムの車体部分に搭載し簡易52口径155mm榴弾砲とするなど、既に手頃な自走砲を求める各国に提示されましたが未だ成約はありません。RCH155装輪自走榴弾砲は、ボクサー装甲車に155mm砲反動に対応する事を確認し完成しました。
RCH155装輪自走榴弾砲はPzH-2000自走榴弾砲の後継という位置づけではなく補完という設計であり、現在のところドイツ連邦軍へ配備される計画はありませんが、クラウスマッファイヴェクマン社では既に配備されているボクサー装輪装甲車から改造が可能であるとともに、取得費用はPzH-2000自走榴弾砲よりも低く抑えられているとしています。
■RCH155の各種性能
19式装輪自走榴弾砲よりもこちらの方が遥かに生存性が高くしかも有用そうに思える。
ドイツのクラウスマッファイヴェクマン社が発表したRCH155装輪自走榴弾砲について、発表されている性能を見てみましょう。AGM-155mm榴弾砲モジュールをボクサー装輪装甲車に搭載した自走榴弾砲ですが、これは無人砲塔システムを採用しているため、RCH155装輪自走榴弾砲の乗員は操縦手と車長兼砲手の2名で運用できるものとなっています。
AGM-155mm榴弾砲モジュールは毎分6発から8発の射撃が可能、NATOが開発するJBMOU将来弾薬にも対応したシステムです。砲塔は360度旋回が可能となっており、そして遠隔操作方式の無人砲塔である為、乗員以外の大隊指揮所などから射撃の遠隔操作も可能であるとのこと。なお、現在のところ155mm砲弾の射程は54kmとなっています。
RCH155装輪自走榴弾砲のもう一つの興味深い点は、ボクサー装輪装甲車そのものが遠隔操作により自動運転に対応させる計画があり、言い換えれば155mm自走榴弾砲の無人運用が可能という事を意味します。装輪自走砲といえばトラック方式の簡易自走砲が近年注目されていますが、RCH155装輪自走榴弾砲はボクサーの汎用性を最大限発揮した装備です。
■リンクスにスパイク
大口径機関砲だけではやはり限界があるということなのでしょう。
ドイツのラインメタル社は開発している輸出用KF-41装甲戦闘車にスパイク対戦車ミサイル運用能力付与を実証しました。リンクスと愛称を冠するKF-41装甲戦闘車はドイツの重装甲戦闘車と呼ばれたプーマ装甲戦闘車よりも更に防御力を強化した、恐らく世界で最も防御力を高めた装甲戦闘車として2018年にユーロサトリ国際装備展で発表されました。
KF-41装甲戦闘車には30mmか35mm機関砲を備えたランス砲塔システムを搭載していますが、これまで戦車と遭遇した際には対処法がありませんでした。リンクスにはリンクス120として120mm滑腔砲を搭載した新型の開発がユーロサトリ2022において発表されていますが、こちらは歩兵の輸送ができません、そこでミサイル搭載が進められています。
スパイクLR対戦車ミサイルはランス砲塔システムにMELLS多目的ミサイル発射システムが内蔵式として追加されており、射撃に際しては展開させるもの。スパイクLRの射程は4kmで700mmの装甲を貫徹可能ですが、改良型のスパイクLR2は射程が10kmに延伸されています。KF-41装甲戦闘車はミサイルの搭載で高い対戦車能力を得る事となります。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
ユーロサトリでのボクサー装甲車各種派生型を見てみますと自衛隊もオーストラリア陸軍のようにこちらを思い切って500両程度導入しても良かったのではと思いました。
ドイツのクラウスマッファイヴェクマン社はボクサーレグアン機動架橋を発表しました。これは6月にパリで行われたユーロサトリ2022において展示されたもので、ボクサー装輪装甲車にレグアン架橋装置を搭載したもの、かなり大きな工兵機材ですが、ボクサーはモジュール装甲車として開発しており、その搭載による機動力の低下は最小限度とのこと。
レグアン架橋装置は14m型と22m型が開発されており、14mはレオパルド2A7を筆頭に各種戦車等が通行可能というMLC80規格、22m型は装甲戦闘車の大半が通行可能なMLC50規格に対応しているとのことで、戦車旅団配備と装輪装甲車主体の部隊毎に運用を変える事が出来、この二種類の架橋モジュールは短時間で換装可能と説明されています。
戦車橋などは戦車車体を応用しているものが多い中、ボクサー装輪装甲車はもともと高い防御力と共に機動性を有する装備で、舗装道路では戦車よりも早く不整地踏破力も高い。架橋部隊の行動は攻撃や接近経路の方向を示すと共に優先目標として攻撃されるものとなっています。敢えて装輪装甲車から派生型を開発した架橋装置は敵前渡河に際し有用です。
■RCH155自走榴弾砲
ボクサーが何でも積める事は知っていましたが。
ドイツのクラウスマッファイヴェクマン社はユーロサトリ2022において新型のRCH155装輪自走榴弾砲を発表しました。これは同社が製造しているボクサー装輪装甲車のモジュールシステムを応用し、現在ドイツ連邦軍の主力自走榴弾砲となっていますPzH-2000の火力を付与したAGM-155mm榴弾砲モジュールを搭載した自走榴弾砲です。
AGM-155mm榴弾砲モジュールそのものは、2014年に完成、無人砲塔システムを採用しており、これまでにMLRSシステムの車体部分に搭載し簡易52口径155mm榴弾砲とするなど、既に手頃な自走砲を求める各国に提示されましたが未だ成約はありません。RCH155装輪自走榴弾砲は、ボクサー装甲車に155mm砲反動に対応する事を確認し完成しました。
RCH155装輪自走榴弾砲はPzH-2000自走榴弾砲の後継という位置づけではなく補完という設計であり、現在のところドイツ連邦軍へ配備される計画はありませんが、クラウスマッファイヴェクマン社では既に配備されているボクサー装輪装甲車から改造が可能であるとともに、取得費用はPzH-2000自走榴弾砲よりも低く抑えられているとしています。
■RCH155の各種性能
19式装輪自走榴弾砲よりもこちらの方が遥かに生存性が高くしかも有用そうに思える。
ドイツのクラウスマッファイヴェクマン社が発表したRCH155装輪自走榴弾砲について、発表されている性能を見てみましょう。AGM-155mm榴弾砲モジュールをボクサー装輪装甲車に搭載した自走榴弾砲ですが、これは無人砲塔システムを採用しているため、RCH155装輪自走榴弾砲の乗員は操縦手と車長兼砲手の2名で運用できるものとなっています。
AGM-155mm榴弾砲モジュールは毎分6発から8発の射撃が可能、NATOが開発するJBMOU将来弾薬にも対応したシステムです。砲塔は360度旋回が可能となっており、そして遠隔操作方式の無人砲塔である為、乗員以外の大隊指揮所などから射撃の遠隔操作も可能であるとのこと。なお、現在のところ155mm砲弾の射程は54kmとなっています。
RCH155装輪自走榴弾砲のもう一つの興味深い点は、ボクサー装輪装甲車そのものが遠隔操作により自動運転に対応させる計画があり、言い換えれば155mm自走榴弾砲の無人運用が可能という事を意味します。装輪自走砲といえばトラック方式の簡易自走砲が近年注目されていますが、RCH155装輪自走榴弾砲はボクサーの汎用性を最大限発揮した装備です。
■リンクスにスパイク
大口径機関砲だけではやはり限界があるということなのでしょう。
ドイツのラインメタル社は開発している輸出用KF-41装甲戦闘車にスパイク対戦車ミサイル運用能力付与を実証しました。リンクスと愛称を冠するKF-41装甲戦闘車はドイツの重装甲戦闘車と呼ばれたプーマ装甲戦闘車よりも更に防御力を強化した、恐らく世界で最も防御力を高めた装甲戦闘車として2018年にユーロサトリ国際装備展で発表されました。
KF-41装甲戦闘車には30mmか35mm機関砲を備えたランス砲塔システムを搭載していますが、これまで戦車と遭遇した際には対処法がありませんでした。リンクスにはリンクス120として120mm滑腔砲を搭載した新型の開発がユーロサトリ2022において発表されていますが、こちらは歩兵の輸送ができません、そこでミサイル搭載が進められています。
スパイクLR対戦車ミサイルはランス砲塔システムにMELLS多目的ミサイル発射システムが内蔵式として追加されており、射撃に際しては展開させるもの。スパイクLRの射程は4kmで700mmの装甲を貫徹可能ですが、改良型のスパイクLR2は射程が10kmに延伸されています。KF-41装甲戦闘車はミサイルの搭載で高い対戦車能力を得る事となります。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)