北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

トマホーク巡航ミサイル導入検討は政治主導装備調達か自衛隊オペレーションリサーチに基づく導入要請か

2022-10-29 20:01:44 | 国際・政治
■トマホーク導入論考察
 トマホーク導入論について今回はその背景を考察すると共に気になった点を一つ挙げておきましょう。

 F-15戦闘機近代化改修、今回のトマホークミサイルについて、12式地対艦誘導弾システムの改良型開発に時間を要するという実状もさることながら、政府は安倍政権時代にスタンドオフミサイルとしてF-15戦闘機に搭載する射程1000km程度の空対地ミサイルを導入する計画がありました、ただ、この改修計画に現在、大きな遅れがあり停滞している状況だ。

 岸防衛大臣時代、F-15戦闘機の近代化改修に問題が生じていました。改修によりスタンドオフミサイルを搭載する方針でしたが、岸大臣は商社出身故のコスト管理の厳しさがあるのでしょうが、改修を担当したボーイング社が開発費用を当初の四倍まで肥大化させ、コスト管理に失敗、改造費だけで三菱重工のF-2戦闘機新造費用に迫る改造費となりました。

 試作改修は実施される方針ですが、なにしろボーイングが三菱よりも安価な費用を提示したために決定したF-15の改修費用を、ボーイングが一方的に増額し続け、三菱の提示見積もりを遙かに越える金額を提示、これを受け2020年に岸大臣は改修計画の凍結を発表し、この遅れがそのまま、自衛隊にスタンドオフミサイル導入の遅延にも繋がったかたち。

 トマホークミサイルは、言い換えればスタンドオフミサイルの導入と12式地対艦誘導弾システム改良型、当初は二種類の隙間ないミサイルにより北朝鮮のミサイル脅威に立ち向かう方針であったのでしょうが、F-15改修の目処が立たないために、手っ取り早い選択肢として、既に完成度の高いトマホークミサイルを導入する方針を考えたのかもしれません。

 反撃能力を考えるならば、例えばNSM海軍ストライクミサイル、ノルウェーが開発した射程350kmのミサイルで欧州からアメリカ軍とオーストラリアが採用、昨今は東南アジア諸国でも採用の流れがある装備、こうしたミサイルをF-2戦闘機から投射する選択肢もあるのかもしれませんしF-35戦闘機でJSMミサイルを用いる選択肢も、有るはずだ。そして。

 政治主導で実任務を考えず、こうした装備が欲しいという考えが先行しているのではないか、この点を危惧します。もちろん、過去に策源地攻撃能力が検討された際、自衛隊が研究を行い、トマホークはXX発なければこの任務は失敗するか所要の期間内に成果を発揮出来ない、こうしたような結論が在って政治がトマホーク導入に動いたならば、別ですが。

 オペレーションリサーチ、自衛隊は任務として付与された作戦領域においてその能力研究を行っています、これは過去昭和の時代に三矢研究という、当時懸念された朝鮮戦争の停戦崩壊を念頭に自衛隊の作戦運用や有事法制のあり方などを独自研究したところ、国会で政治問題化しました。故に越権となる部分は政治判断を仰いできたという歴史があります。

 政治はいわば防衛研究のifという想定を自ら封じたのですから、自衛隊に付与していない任務について、策源地攻撃や邦人輸送など、こんな事もできないのか、という発言を行う権限を、こうした研究を政治が禁じたことで自らの責任領域へ併呑し今に至ります。故に自衛隊として、命じられなければオペレーションリサーチはできないという事なのですね。

 具体的に政治は、自衛隊に対して明確な任務を示す必要があります。"北朝鮮のミサイル発射施設を破壊せよ"もしくは"移動式発射装置を含めて破壊せよ"、"ミサイル部隊指揮中枢を麻痺させ日本への攻撃を遮断せよ"、こうした能力を求め、自衛隊側が"現有の装備ではXX日要する"とか"新たにAAという装備と弾薬をXXt追加することで可能"と応じる構図です。

 オペレーションリサーチに基づかず、"政治決定でトマホークミサイルを導入する"ことが先行している、実のところ懸念する点はここにあります。その懸念の背景には"破壊する北朝鮮ミサイル発射装置の位置を発見する手段"と"核ミサイルを識別する能力"、"長射程兵器攻撃への戦果確認の手段"というようなものが議論されないゆえ、どうしても気になるのだ。

 トマホーク導入を先行させる前に、まず自衛隊へ"統合任務部隊編成"を前提として、政治が反撃能力を具体的に整備する場合、めくら撃ちでは効果がありません、作戦を所管する航空自衛隊と恐らく海上自衛隊、また地対艦ミサイルの後継装備を所管する陸上自衛隊との間で議論し、どう行った装備が必要なのかを自衛隊が研究するよう政治が命じるべきです。

 めくら撃ちでは効果がない、一例としてあげますと、ロシア軍は今年八月までにウクライナへ600発の弾道ミサイルや巡航ミサイルを打ち込んでいますが、ウクライナの作戦能力を麻痺させるには至っていません。オペレーションリサーチに基づく結果としてのトマホークと云う選択肢なのか、それとも軍事雑誌に政治家が影響されただけか、この点が気になるのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都,二条通沿いビストロで頂くカツレツはソース共々美味を愉しむ

2022-10-29 14:14:37 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 紅葉はまだまだだろうと思われるかもしれませんが一番最初に色づき葉を落としてしまう桜並木は今頃が丁度良い色合いで今週末は是非京都散歩をお勧めしたい。そして美味しいものもお勧めしたい。

 頂妙寺という、京阪三条から川端通を数分ちょっと下鴨神社の方へ散策していますと至る寺院がありまして、観光寺院ではなくしかし寺域が広い、人のあふれる観光の時期などに紅葉メイショやハナミ名所の雑踏に疲れたとき、心の休息に寺で自分と向き合うのに良い。

 ここのランチは手頃な価格帯なのだけれども信じられないほど店の雰囲気と味がちょっとおすすめしたい。ビストロ、こう銘打っているのですが1998年に当地で創業したお店です。確かこのあたりの山の麓の良い大学の友人、が勧めていたので至ったお店と記憶する。

 店内はそれほど広いというわけでもなく、大きめのテーブル席を独り占めできるかというのは繁盛している故に叶わない、けれども窓辺のテーブルは、ちょっともっとすいている時間帯を探したいものですが、ちなみにランチは1430時まで営業しているという余裕さ。

 ビストロはこの頂妙寺の直ぐ北にありまして、32系統バスが走るのですが、一車線の静けさのあるとおり、よくよく考えればここが二条通で、二条城の前に至る通りです。コースランチも美味しそうですが、妙に手頃感あるおすすめランチにスープを追加してみた。

 いい店だ、こう勧めるのは、テーブルクロスがわたしの秘密キッチンと同じものを使っていたためでして、それほど高価なものではないけれども普段使いには使いやすさとセンスが光る、こういうものは周波数のように合う人には合い、好みで分かれるのかもしれない。

 さくり、というナイフを挿しこんだときの印象で、ソースが染み込んでいるのにカツレツの食感を残しているのはさすがの調理法の妙というところなのでしょうね。そして、口に運びますと弾力は確かに、しかし堅いというわけではなく、そしてソースが巧く絡む。

 ビーフさんはコロナ禍とともにいろいろ自炊グルメを研究しまして、グリルやビーフシチューはもちろんローストビーフやビフカツ、大和煮まで海軍教本を参考に仕上げたのですが、ポークというのはビーフよりも素材は安価であるものの調理法が奥深いという印象で。

 ホワイトバランスの関係で美味しそうに写らないなあ、と思いつつ、この日は曇天、ただ、曇りのホワイトバランスで撮影すると、何か違う気がしてしまいます。料理を撮影するのも、カメラ機種によっては難しいものだと写真の奥深さ、美味しさ伝える難しさを考える。

 珈琲も、こうは考えたのですが両隣が年輩の方のワインまではいる少々にぎやかなところをマスクなしで進められていまして、いやわたしはまだ先が短くないので健康第一、と思い、なにしろこんな時代、早々と撤収しました。まだまだそんな時代は続いていると思う。

 ソースが決め手なのだろうなあ、こう考えるのですがさすがに調理法の秘伝を聞くわけにも行かず、CIAやMI6やDESEにS&Bみたいな方法で調べるわけにも行かない、こう思っていました方は秘伝のトマトソースが持ち帰りように販売、こちらもお勧めできるものです。

 ビストロヴェルジュ、VERJUSと云うのがお店の名前で、総監部の街舞鶴の府庁所在地である京都にあります、榛名さんの総監部グルメ日誌というのに京都市と舞鶴市では距離が凄いのではというお話も頂きましたが、京都には美味しいものがある。居心地良いお店ですよ。

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政府-トマホーク巡航ミサイル導入を検討,北朝鮮弾道ミサイル実験続く中のイージスアショア建設中止後の代案

2022-10-29 07:00:52 | 国際・政治
■国産巡航ミサイルへの繋ぎ
 トマホークを検討という報道がNHKの政治ニュースとして流された際には少々驚かされました。

 政府はトマホークミサイルの購入についてアメリカ政府との間で調整を行うべく検討に入った、27日から国内メディアが一斉に報道を開始しました。国産装備がそろうまでの暫定的な措置とされていますが、ただ陸海空どの自衛隊が所管するのか、いつごろか、どの程度の数のミサイルを調達するのか、こうした具体的に踏み込んだ段階ではないようです。

 北朝鮮が28日にも短距離弾道ミサイルを二発立て続けに日本海へ発射し、この実験では従来より低い高度を高速で飛翔するなどミサイル防衛システムを突破する新技術開発を進めており、一方ミサイル防衛について、2020年に中止となった陸上配備型ミサイル防衛システムイージスアショアの建設中止など、防衛以外の抑止力を検討するかたちといえます。

 トマホークミサイルについては政治家や識者のレベルではその必要性について議論したという話は側聞しますし、その可能性に関する憶測や新聞報道なども存在していましたが、トマホークミサイルの導入が2022年にも改めて報道されたかたちです。この背景には策源地攻撃能力、近年は敵基地攻撃能力、その整備が具体的に進められている点があるのです。

 12式地対艦誘導弾システム、現在の防衛大綱では"島嶼部防衛用高速滑空弾"として自衛隊が現在装備している装備体系よりも一段長い射程の装備の開発が進められています。その射程は2000km程度となり、これならば本州中央部以北からも南西諸島島嶼部へ到達する射程が求められています。この装備を弾道ミサイル攻撃への反撃能力に転用する考えだ。

 新型地対艦ミサイルの開発は進められていますが2026年頃まで時間を要する、この観点から、当座しのぎのためにアメリカからトマホーク巡航ミサイルを実施しよう、こういう構想とのこと。トマホークミサイルは地上発射型も開発されていますが、例えば海上自衛隊の護衛艦でMk41垂直発射装置を有する護衛艦からはトマホークの搭載改修が可能です。

 トマホークは優れたシステムですが、自衛隊は策源地攻撃能力や敵基地攻撃能力に反撃能力と、幾つも名称が変わる同様の任務を求められるものの、北朝鮮の移動式ミサイル発射器の現在位置を即座に把握する偵察能力など、ミサイル単体を導入しても防衛力整備が完成する訳ではないという実情があります、政治はここまで踏み込んだ上でのトマホーク導入論なのか、気になるところです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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