北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【日曜特集】第7師団創設56周年記念行事(20)実射で始まる障害処理-戦闘工兵は陸自の弱点(2011-10-09)

2022-10-30 20:21:20 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■戦闘工兵は陸自の弱点
 第7師団祭の展示は迫力と共に色々と考えさせられるものがあるのです。

 92式地雷原処理車、東千歳駐屯地祭では、撃ちます。ええっ撃つのかあ、と驚かれる方が多いのは実は私も初めて見た際には驚かされたのですが、ごうっというロケットの点火と共に発射してゆきます。もちろん実爆展示までは行わないのですが、凄い迫力といえる。

 東千歳と当日に大久保駐屯地祭がありますが、施設科部隊の駐屯地であっても流石に92式は発射できませんので、精一杯の工夫が展示される、しかしこちらでは撃てる、駐屯地祭のプログラムを見ますと、だいたい同時刻にこの障害処理展示を行っているのは面白い。

 静内駐屯地祭では87式自走高射機関砲が実弾射撃を展示しますし、第7師団の管区内というのはこうした展示で北海道の広さを実感します。一方でこの施設科部隊の展示ですが、陸上自衛隊の問題を誇示しているようで、早々にどうにかしなければならないとおもう。

 戦闘工兵は陸上自衛隊の弱点で、90式戦車や現在では10式戦車、物す凄い機動力を発揮します。他方で自衛隊の戦闘工兵装備は73式牽引車の派生型を中心としたものであり、要するに機動力がまったく第二世代戦車の水準を出ていないのです、これではおいつけない。

 施設科部隊は先鋒ではありませんが、戦車部隊のすぐ後ろに展開し、障害処理に際しては即座に戦車の前に出なければなりません、地雷原処理、障害除去、架橋、攻撃に際して相手が地雷をばら撒いたり、撤退時に橋を爆破したり、ビルを倒壊させ障害構築した場合に。

 戦車部隊が前進する場合に24時間でどの程度前進するか、機動力を考えれば200kmは前進し得る、するとその最中に幾つの橋梁を渡河し、相手の工兵能力からどの程度の地雷原を処理しなければならないか、手間取れば24時間で10kmも前進できないこととなる。

 90式戦車に充分随伴できる戦闘工兵装備が必要で、地雷原処理能力を持つ排土板付の車両と、架橋装置及びクレーンなどのアタッチメントを持つ装甲施設車輛が、現在装備として無い状況は、せっかくの戦車の能力を十全に活かせないような状況をしめしています。

 北海道の広さ、特に突破ではなく迂回機動などをとるならば、この北海道の広さはNATO防衛正面のスヴァルキギャップや冷戦時代の西ドイツに在ったフルダギャップで想定されたような戦闘は有り得る。日本は狭いので機械化部隊は、という人は地図をみていない。

 南西防衛と云いますが、沖縄本島でも全長は100kmもあり、現在スウェーデン軍がロシア脅威を受け戦車を中心とした機械化部隊を展開させているゴトランド島の全長よりも若干長いのです。財務当局などは機械化部隊に良い顔をしないでしょうが、限度があると思う。

 障害処理を支援するべく戦車部隊が射撃位置に進出しており、上空からはAH-1S対戦車ヘリコプターが警戒にあたっています。そして、日本ばかり見ていますと気付かない事なのでしょうが、AH-1S対戦車ヘリコプターの旧式化はかなり深刻でして、更新が必要です。

 自衛隊装備の多くは旧式化と老朽化、そしてミサイル防衛という1990年代に突如突き付けられた任務を受け整備費用が嵩んでいる為に気付きにくいのですが、機械化部隊の限界を下回っている状況、ヘリコプターの減勢が任務に対応する限度を下回りつつある状況が。

 2011年の行事写真ではあるのですが、ヘリコプターは防衛費の不足から耐用年数一杯で後継機なしのまま退役、73式装甲車は来年制式化50年を迎えエンジン改修など行われないままです。次の戦争も震災も来ないとよいのですが、祈るだけと対策しないでは違うのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】五〇周年迎えた阪急5300系電車-クラシカルな鋼製電車は準急で京都本線を京都大阪結ぶ

2022-10-30 18:22:41 | コラム
■マルーンの丸な電車
 マルーンカラーの形状は古いといいますかクラシカルな電車は日常に溶け込んでいます。

 5300系、見慣れた阪急電車の一系統なのですが、なんとデビューは1972年、つまり今年2022年は5300系電車50周年という、改めてみれば頑張っている電車なのだなあ、と感心してしまう電車です。車体は昔ながらの鋼製、車内は阪急らしい木目調と緑の座席です。

 京都本線用の電車として運用されていますが、これは潜航して神戸本線へ導入された5000系電車の京都本線仕様へ車体寸法を改めたという設計でして、準急と云えばこの車輛、という印象が無いでもない、最近の直線で構成された電車よりも丸み或る形状が特徴と思う。

 特急として2010年まで運行されていた、準急と云う印象は此処から来るのでしょうか。特急運行を外れた背景には阪急電鉄は2010年からワンハンドルマスコン方式という、加速も制動も一つの操作桿で対応する電車へ特急を統合した為でして、5300系も速度ははやい。

 5300系、見慣れた阪急電車なのですけれども2020年から廃車が始っているといい、それでも阪急電鉄の電車は物持ちが良いなあと思いつつ、ちょっと日常風景はかわりはじめた。

 特急と云えば9300系、この直線チックな形状がこれから阪急の基本形になってゆくのですが、看板電車となる特急はこの9300系で京都本線は主力を構成している訳でして、ロングシートの5300系なんかとくらべればクロスシートの9300系は特急らしい乗り心地という。

 9300系が新しかったころは、6300系特急との並びを撮るぞとの意気込みばかりで、5300系も3300系も、2300系さえも、ああ古い車両か、とひとくくりにしていました。一応2300系を中心に撮影はしていましたが、日常風景にそれ程に溶け込んでいたといえるものですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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嘉手納基地F-15C/D戦闘機撤収を国防総省が発表,来月から二年間でF-35AかF-15EX戦闘機により機種更新

2022-10-30 07:01:50 | 防衛・安全保障
■在日米軍から去るイーグル
 イーグルはまだまだ新しいと考えているのは日本でファントムを覚えているかたが居る故でしょうか。

 アメリカ国防総省はアメリカ空軍で沖縄県の嘉手納基地に配備されているF-15イーグル戦闘機の新型機への更新に着手すると発表しました。。この計画は11月1日から開始され、F-15C戦闘機とF-15D戦闘機の老朽化を背景に段階的に更新、古い戦闘機は撤退する方針とのことで、11月1日は間もなくですが後継戦闘機について明確な発表はまだありません。

 嘉手納基地、アジア地域最大規模の空軍基地である嘉手納基地にはF-15戦闘機二個飛行隊が展開、第18航空団に所属しており、第44戦闘飛行隊、第67戦闘飛行隊が展開、過去には18機編成の3個飛行隊が展開していたのですが、この二つの飛行隊は24機を定数としていて、基地全体で48機が配備されています。航空団は給油機や早期警戒管制機も持つ。

 F-15,老朽化というのは、嘉手納基地に配備されたF-15C戦闘機は空軍で40年以上を経過した機体があるため、より新型の機体へ置き換えるということ。アメリカ国防総省は後継機種を明示していません、ただ機種としては二機種が検討され、最新の改良型戦闘機F-15FX戦闘爆撃機か、第五世代戦闘機であるF-35A戦闘機の名が挙がっているようです。

 沖縄への配備はF-35かF-15FX,こう検討されF-16の名が挙がらない背景には、アメリカ国防総省が進めるアメリカ政府のインド太平洋戦略の重要性、特に中国との関係について中国本土にもっとも近いアメリカ空軍戦闘機部隊である第18航空団、実際に嘉手納基地の北東アジア地域におけるポテンシャルを重視している証左といえるのかもしれません。

 嘉手納基地へ、同時に論点になっていることとしまして、いまのような特定の飛行隊を常駐させる方式を継続させるか、航空団隷下の飛行隊をローテーション配置させる方式へ転換するかという。なお、段階的に機体を交代させるとのことですが、二年間での機種転換完了を構想しているとのこと。またKC-135空中給油機なども世代交代が始まるでしょう。

 嘉手納基地のF-15,しかし長らく見慣れた戦闘機であることも事実です。日常的に並ぶイーグルの姿が転換することは寂しくも感じるものなのですが、同時にイーグルは航空自衛隊がようやく那覇基地に二個飛行隊をそろえている段階です。F-15は日本では当面改修し運用を継続する方針ですが、アメリカでは老朽化した認識であり、撤収を開始するのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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