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エリザベス女王崩御とチャールズ三世国王即位,世界に広がる緩やかな共同体-英連邦"コモンウェルス"の将来

2022-09-10 07:00:32 | 国際・政治
■一つの時代とともに
 一つの時代が終わった、もちろん日本から見れば友好国の君主という点なのですが70年の治世を次代に継承するという事は世界に少なからず影響があります。

 エリザベス二世女王陛下の崩御。女王陛下という尊称に慣れたイギリスは勿論、日本も含め国王陛下という言葉に慣れるには時間を要する事かもしれませんが、女王陛下はもともと日の沈まぬ大国と称された大英帝国からコモンウェルスという現代的な英連邦という繋がりに転換させるとともに、実のところ、この緩やかな連合体の維持に尽力されました。

 コモンウェルスという現代的な英連邦、これは緩やかな価値観の共同体となっています。イギリス国家元首との同君連合にはカナダやオーストラリアなど多くの国々が参加していますが、英連邦、正確には1949年にイギリスの国名は省かれており、さりとて共和制というコモンウェルスの訳語も意味が幅広く、次の訳語を考えるべきですが、意味は多きい。

 コモンウェルスは元々戦前のブロック経済を志向した組織ではありましたが、帝国特恵関税制度は戦時中に破綻しており、同君連合とも別の、元々は経済共同体でありながら高等弁務官を派遣し首脳会談も実施、人権擁護や経済上の障害等に対する寄り合い所帯的な、緩やかである為に権利も義務も乏しいが結ばれているという制度となっているものです。

 エリザベス二世女王は、この維持に尽力されました。勿論緩やかであり出入り自由である為にマレーシアやシンガポールも加入出来ていますが、ソロモン諸島始め権威主義的制度への移行には関与しませんし、過去にアメリカがグレナダ侵攻に踏切った際に英連邦に加盟し君主にエリザベス女王を冠していても、イギリス軍はグレナダを支援できなかった。

 緩やかな共同体、帝国特恵関税制度廃止後は貧乏人の寄り合い所帯と揶揄されるも不当な対外債務や外交的孤立に際しては高等弁務官の助言は大きな意味がありました、が、それ以上にコモンウェルスの意味は、インド始め人口の多い56か国が参加し、世界人口の三分の一が参加する、国連に次いで巨大な共同体が維持されている事には、存在こそ意味が。

 チャールズ三世国王も、コモンウェルス維持に尽力することでしょう。勿論日本にできる事は見守る事でしか無く、それ以上の事は有得ないのですが、こうした価値観の共同体が存在することは、緩やかであっても意味があるものです。ただ、緩やか過ぎる故に存在意義を加入国の国民に問われる事もあり、どのように推移するのかは、大きな関心事です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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