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プーチン大統領-ベラルーシ国内へ戦術核配備を表明,ルカシェンコ大統領の核兵器配備要請受け

2023-03-27 07:00:19 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 状況の推移を慎重に見守るべき事案です。

 ロシアのプーチン大統領はベラルーシへ戦術核兵器の配備を決定しました。これは冷戦時代には東西共に実施されていたものですが、冷戦終結後、戦術核兵器は実戦にて使用することへの禁忌という機運から前方へ配備せず後方に引き下げてきましたが、今回、プーチン大統領がその計画を発表したことで、ベラルーシとNATOの境界線緊張が懸念されます。

 戦術核兵器の定義は示されていません、核弾頭は昨年撃沈されたミサイル巡洋艦モスクワのP-700対艦ミサイルに装着することもできますし、通常弾頭型でも威力を発揮している仮ブル巡航ミサイルにも搭載することができ、ウクライナに対し既に多用しているイスカンデル短距離弾道ミサイルにも搭載できます、核砲弾という野砲から撃つものもある。

 広島型原爆程度か広島型原爆の数倍程度のものが戦術核兵器の定義に含まれまして、しかし一発で数十km四方を破壊する水爆、熱核兵器は戦略核兵器に含まれる。NATOはしかし、ロシアによるNATOへの核攻撃を警戒しており、冷戦以降も欧州NATO域内へアメリカがB-61核爆弾を前方展開しています、相手が使えばどう出力のものを使うとして。

 ベラルーシのルカシェンコ大統領が要望していた、今回のプーチン大統領によるベラルーシへの戦術核兵器配備は、ベラルーシ側の移行を受けてのものと説明しています。ただ、重要なのは、ベラルーシへ核弾頭を供与するというものではなく、ロシア軍の戦術核兵器運用部隊をベラルーシ国内へ展開、いわばロシア版ニュークリアシェアリングの表明です。

 いわば、とニュークリアシェアリングを例に出しましたのは、ロシア軍の戦術核部隊が展開するという名言であり、NATOが行う、受け入れ国での核兵器使用に限定し、受け入れ国の非戦闘員が巻き添えを食うために発射は受け入れ国が行わせる、という方式とロシアが実施する運用は別のものであり、使用はベラルーシ国内に限らない可能性もあります。

 核兵器による恫喝の一部ではないか。ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ侵攻開始以降何度も核兵器の使用や水爆などの戦略核兵器について使用を示唆し、全面核戦争をも辞さない姿勢を誇示し、いわば恫喝を行っています。今回のベラルーシへの配備についても、従来のものと同じ恫喝であり、こうした象徴的な意味合いでしかないのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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