北大路機関

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北朝鮮ICBM大陸間弾道弾実験実施,射程1万4000km級-ロフヘッド軌道描き北海道渡島大島EEZ排他的経済水域内に落下

2023-02-19 07:00:58 | 先端軍事テクノロジー
■臨時情報-ミサイル防衛
 北朝鮮がICBM実験を強行しました。

 防衛省によれば昨日18日夕刻、朝鮮半島より弾道ミサイルが発射され、ミサイルは高高度に高い軌道を描いて飛翔するロフテッド軌道を描き、その後の解析によれば60分以上の飛翔時間などから通常の弾道ミサイルではなく、アメリカ本土を射程に収めるICBM大陸間弾道弾の実験であるとされ、射程は1万4000kmに達する可能性があるとのことです。

 日本時間18日1721時頃、今回のミサイル実験は正確には1721時に北朝鮮の首都平壌近郊より発射され、ミサイルは発射された後に上昇を続け1827時に北海道沖の日本海へ落下しました。この飛翔時間は66分間で、飛翔距離は900kmとのことですが上昇高度は最高到達点が5700km程度まで上昇、通常軌道で飛行した場合は1万4000kmの飛翔にあたる。

 北海道渡島大島、弾道ミサイルが落下したのは北海道の渡島大島沖、この島は奥尻島の南に位置するのですが、我が国EEZ排他的経済水域内に落下したとみられ、また同時刻にNHK函館放送局屋上カメラには落下する火球のようなものが映りこんでおり、時間帯などからみて弾道ミサイル本体の落下時間と一致、函館市内から映しこんだこととなります。

 ICBM,その射程の大きさから日本本土を射程としたものではありません、もちろんロフテッド軌道を描く事で落下速度を稼ぎ従来のミサイル防衛システムでの迎撃が困難となる懸念はありますが、ミサイル防衛技術は年々進歩していますし、なによりもロフテッド軌道を描く事で飛翔時間が十倍近く延伸される為、迎撃準備の時間は増えることとなります。

 日本の安全保障に無関係か、こう問われますと一概に無関係とは言えません、アメリカ本土、ワシントンDCを含む東海岸を射程に収めている為、北朝鮮軍事行動やミサイル攻撃に対して、アメリカの関与を消極化させる、具体的に言えばアメリカ本土を核兵器で脅す機能を持つミサイルであり、間接的に日本の安全保障に影響が及ぶ可能性はあるのです。

 また、アメリカ本土に弾道ミサイルが到達する懸念は冷戦時代にはソ連の大陸間弾道弾と潜水艦発射弾道弾のみであり、両国は核による共倒れ、相互確証破壊を回避する為に核軍備管理の枠組みを構築しましたが、中国の大陸間弾道弾保有数の爆発的増大、そして今回の北朝鮮ICBM整備は、従来の核軍備管理枠組が破綻しつつある、核戦争に近づいた事を意味します。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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