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イスラエル情勢-邦人安全情報と周辺地域事態拡大懸念,総力戦へイスラエル挙国一致内閣結成と人道回廊確保

2023-10-13 07:00:20 | 国際・政治
■臨時情報-イスラエル情勢
 事態拡大の懸念はありますがイスラエル国内の邦人への邦人救出作戦の必要性は現時点では回避出来そうです。

 イスラエル在留邦人について。西村康稔経済産業大臣は10日の閣議後記者会見において、当該地域に就業する邦人について、ほぼすべてが退避を完了したと発表しました。ハマスによる攻撃開始の時点では約30の現地企業などで邦人が就業中であったとのことですが、今回のハマス攻撃による邦人被害は確認されていないという僥倖でした。

 邦人安全情報について。シリアへ緊張が拡大する懸念です。NHKは12日2130時報道においてシリア国営放送を引用する形で、イスラエル空軍が首都ダマスカスと北部アレッポの飛行場を攻撃したと報じました。イスラエル空軍は周辺国のイラン系軍事組織施設などを定期的に空爆していますが、北部のアレッポが空爆されるのは異例と言えます。
■挙国一致内閣を結成
 予備役30万以上の動員は東日本大震災の際の自衛隊被災地10万名の緊急展開の様に世界を驚かせました。

 イスラエルは挙国一致内閣を結成します。イスラエルは内政の混乱から短期間で連続し首相が交代する不安定な国内政治の時期が続いており、政権に返り咲いたネタニヤフ政権の権力基盤もかくたるものではありませんでした。しかしネタニヤフ首相は11日、最大野党で首相も経験したガンツ前国防大臣と会談し、挙国一致内閣結成で合意しました。

 40万名ちかい予備役兵力の動員が進み、総力戦体制に近づいているイスラエルにおいて、政権の安定を何より重視した形です。他方、ハマスについては、意見の一致に至っておらず、停戦交渉を呼びかけつつイスラエルへのロケット弾攻撃を継続し、拉致した人質の解放交渉さえ端緒についていません、このまま地上戦となるのか、人道的な懸念事項です。
■人道回廊設置の動き
 PKO国連緊急軍を派遣し人道回廊を確保するのが理想なのですがグテーレス国連事務総長は単に呼びかける以上のことをしていません。

 ガザ地区へのイスラエル軍地上侵攻懸念について人道回廊設置の動きです。アメリカのブリンケン国務長官は12日、イスラエルを公式訪問しイスラエルのネタニヤフ首相との間で意見交換を実施、ガザ地区はハマス大規模攻撃から3日を経て現在イスラエル軍が封鎖していますが、人道回廊設置をエジプト政府とともに協議中であると明らかにしました。

 ブリンケン国務長官は、ネタニヤフ首相との会談に続いて、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ自治区暫定自治政府アッバス議長とも会談の方針を示しており、ガザ地区へのイスラエル軍攻撃が行われた場合の200万ちかい非戦闘員の保護について意見交換を行うものとみられています。人道回廊設置は地上戦開始準備についての最終段階も意味します。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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